2010年以降レベルの経済成長を続ければ、消費税を毎年1%ずつ上げ続けるのと同じくらいの税収が増えます。
例えば、2010年から2012年の間では、年平均で2.5兆円もの税収が上振れました。

アベノミクスが本格的に始まってから、2015年度にかけては、消費税分を差し引いても、税収は年平均で約2兆円も増えていたのです。
2兆円――。これは、消費税1%分に相当する額です。もし2014年に増税していなければ、もっと税収が増えていたとすら指摘する専門家もいます。
その額は、消費税2~3%分にも相当したかもしれません。
逆に今後、消費税の影響で景気が冷え込めば、消費税1~2%分くらい、簡単に減ってしまうかもしれません。

経済成長で、これほど税収が大きく増えたのには理由があります。
それは、それまで税金を払っていなかった赤字企業が、税金を払えるようになったからです。
2009年度の赤字企業は72.8%ありましたが、2015年度には66.4%にまで減少しました。
赤字企業が減った結果、法人税と所得税の税収が底上げされたのです。
これでも赤字企業の数は、かつては4割や5割しかなかった時代もありました。
もっと赤字企業を減らせば、税金を払える企業が増え、税収が跳ね上がるのです。
しかも、赤字企業を減らせば、社員の給料が増え、労働環境が悪いブラック企業も減る。経済成長を優先した方が、働きやすくなるというメリットもああります。

「増税しないと財政再建できない」というのが財務省の主張ですが、その"お手本"とも言うべきギリシャの状況を見れば良く分かります。
ギリシャでは、2009年の失業率は9%でしたが、財政再建のために、増税や緊縮財政などを行った結果、15年の失業率は、25%にまで悪化。一人当たりの名目GDPも24%減りました。
財政再建を優先したあまり、国内の経済がめちゃくちゃになり、失業者であふれかえっているギリシャを見れば、増税と経済成長が両立しないことを意味することが分かります。

社会保障のためであれば、低所得者の家計に最もダメージを与える消費増税はなおさら肯定できません。
増税で痛めつけた貧困層に、お金を分配するのなら、最初から苦しめなければ良いと思います。
低所得者の生活を楽にするのなら、減税が一番ではないでしょうか?
減税による景気回復で、自分で医療費や介護料などを払える人が増えれば、社会全体の負担も軽くなり、負担が軽くなった分の財源を、他の必要なところに投資できるようになります。