4月から展示開催する牧野伊三夫さんと、AD富田さんが、OFS gallery の視察に。

 

これまでリモートでのやり取りばかりで、PC画面越しでは伝わらなかった店内の様子を確認。

牧野さんが目に留めるのは、元工場だった面影が残る天井や、ガラス窓、ネオン看板、電信柱。

グラビア撮るカメラマンさながら「いいね、いいね」と言いながらカメラに記録。

 

ざっと店内を確認後は「ギャラリーに来るまでの道のりが魅力的じゃないとね!」と、チラシに載せる地図を手書きするそうで、店から恵比寿駅まで目印になりそうな建物の写真を撮りながら移動。

 

時に、目的の建物へまっしぐら、横断歩道を斜めに突進。

後ろから「牧野さん、轢かれる轢かれる!」と言いながらフォローする私達。

 

恵比寿三丁目の交差点を超えると急に町並みの変わる白金。

昭和の雰囲気が残るOFS付近を気に入ってくれた牧野さんの、お眼鏡にかなったのは

 

•ハチロー(洋食屋)

•鳥平(焼き鳥屋)

•中村商店(金物屋)

•むー(鉄板焼き)

 

最終的にどこが地図に載るかは、お楽しみ。

 

そして、この日のもう一つの目的。

はじめましての打合せから、いつしかモチベーションアップの合言葉になっていた「珍味亭」を目指し西荻窪へ移動。

 

電車内。牧野さんの背中には、重そうなリュックが背負われていて、その中身は「柱時計」。

スマートウォッチの代わりでは決してなくて、壊れてしまった柱時計を直せる場所が同じく西荻窪にあって

修理の予約をしているのだという。

 

珍味亭へはやる気持ちを抑えつつ、まずは古時計屋「とらいふる」へ。

 

 

 

古時計や古道具が所狭しと並ぶ店内。

時計を動かす重要なネジが傷んでいたらしく、修理代が驚きの額だったけれど、大切な時計を直すのに、二つ返事の牧野さん。

テストで鳴らした「ボ〜ン」という音は、柔らかく重みがあった。

 

空っぽになったリュックを背負い直し、念願の「珍味亭」へ。

2年振りの来訪は気合の入り方も違うようで、1つしかない3人席を狙って、開店前より並ぶ。

 

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しかし待つ間にも周辺を囲む飲み屋が気になり、覗き込みながら、ウロウロ。

西荻飲み屋街の雰囲気が似合いすぎる。

 

散歩の達人の表紙みたい。

タイトルは「酒場100軒」でしょう。

 

メインのページ。心の一軒「珍味亭」

 

対談ページ。「相棒とともに歩んだ20年」

 

この席でお酒を交わす人々の、肩や頭のもたれた壁が擦れて色あせた様子に、感じられる歴史。
いつしか話は展示から大きく反れ、深まる夜。
 
展示情報は間もなく解禁。
 

 

太田莉菜の不在」展。


プロセスも何も、もう明後日からなので、本日は設営。

この企画を太田さんと共同で立ち上げたADの矢後直規さんは、グングン行く人。


これ良くないですかー?

これやりたんですよねー。

資料更新してるけど見てくれてますかー?

(私 : スミマセン!まだです!)


ポジティブな言葉を頭の上からポンポン発しながらラッタラッタ歩いてくるという(あくまで勝手な)イメージ。


こちらもなんか、大体「いいですね!」って言っちゃうマジック。気をつけないと大変な事に。


けれど、そんな矢後さんから、ある意味目が離せない人が、きっと沢山いる。今日の設営にも、お手伝いの方が何人も。


皆で壁を押さえるの図。


何となく返ってくる言葉は予想しながらも「お手伝いの方いっぱい来てくれたんですね」と声をかけると「あれですかね。僕の人脈ってやつですかね!」と思った通り返してきたので、白眼をむいて差し上げましたが。本当にそう、人脈ですね。


そんな矢後さん、今回沢山の作品とグッズを制作。作品には手書きの貴重な1点ものも。


某先輩に「寝ている間以外、ずっと描いてなよ」と言われた通り、年末年始もこの前の三連休も、ずっと描いていたみたいです。


そして設営中も。


描く。(左手の位置がポイント)


かく。


描き続ける!


4月の展示に向けて。(展示内容はまだ未発表)

この日は展示まで意外と時間がない事に気づいて、牧野さんとADの富田光浩さんに急遽リモート会議を設定してもらう。

 

画面の向こうで少し疲れた様子の牧野さんに、「急に呼び出して失礼したかな」と心配していたら、どうも新しく作る便箋について、活版印刷屋さんに持ちかける提案(お金の事)で計算機を叩いていたのだそう。

 

見せてもらった収支計画に驚く。計画内容ではなくて、提案する為に作られた、その表に。

 

罫線も数字も全て鉛筆での手書き。

思わず「Excelじゃないんですね!」と言葉が漏れたが、実際には、そのアナログさというより、表の美しさに驚いていた。

 

牧野さんは、会場構成も、展示情報をまとめも、ほぼ手書きのもので、それを見るたび、これが既に作品のように感じる。

 

今回は、収支計画なのでお見せ出来ないが、毎回、最初に見せてもらうのが役得に感じるそれらの作品を、公開してもいいよ、とご本人に承諾を得たので一部公開。その便箋の構造をまとめたもの。

 

 

後々のメールのやりとりで、数字と交渉に疲れた牧野さんから「銭湯に行きたい」発言。

高円寺にある小杉湯の名前が出たので検索してみると、「小杉湯となり」活動などの記述もあり、とても魅力的な場所。

 

OFSの付近にある、今は「アクアガーデン」になった「三越湯」もかつては風情のある風貌だったと写真を送ってくれた。

 

そんな話をしていたら、無性に銭湯に行きたくなり、1日リモート篭りっきりノーメイクの顔を、帽子眼鏡マスクで隠し、近場で探した気になる銭湯へ。

 

この日はボンタン湯で、銭湯は廃れているんだろうという自分の予測に反して、結構な人で賑わっていた。

 

すぐ目の前に、裸の知らない人が、きっと普段は見せない無防備な顔で座っていたり、浴場に飾られてる近隣のお店の広告看板が、シンプルなデザインで可愛いかったり。

 

湯舟に浮かぶボンタンと一緒に茹だりながら、牧野さんが「何はなくてもいいが、東京での暮らしに銭湯がないと耐えられない」と言っていた意味が、分かった気がした。

 

1ヶ月に2〜3回くらい、銭湯を巡ってみようかな。

 

因みに牧野さんが印刷会社に持ち込んだ便箋は、無事提案が通って、OFSでの展示が初お披露目になる事に。楽しみ!

 

 

 

 

OFS企画で開催した「DRAFTの本棚・宮田識相談室」企画の為、1日DRAFTへ。

 

相談室に応募してきて下さった方々の相談立会で、私も一緒に宮田さんのお話を聞く。

 

グループ相談も可にしていたが、何方も個人で申し込んで来て下さり、その勇気に感心したのだけど、聞くと「こんな貴重な機会はないと思ったから、むしろ一人で来たいと思った」とのことだった。

 

それぞれに約2時間。

頭の中に浮かんだことを自分で認識する前に言葉に出す宮田さん(頭の回転が早い)の話が、一瞬軌道を外しそうになりながらも戻ってきて、思わぬタイミングで相談者さんの琴線に触れる瞬間。
 

あ、今、もしかしたら、この方の人生を変えた瞬間を見ているかもしれない、と思う事が何度かあった。

 

相談者さんも、宮田さんのお話に一生懸命耳を傾けながら聞いていると、急に自分の核心に矢が飛んでくるので、空気と表情がクワッと変わる。私は心の中で驚きと、正直「おそろし...」という気持ちになる。

 

最初は宮田さん自体がOKしてくれるとは思っていなかった企画。

 

私は直接、宮田さんの下で働かせてもらった事はないが、キギの植原さんや良重さんから「宮田さんは良く人を観察していて、その適正をわかっている」と聞いていた。この相談室の会話で、それが見えてきた気がした。

 

今日交わした言葉や、聞いた言葉を文章にまとめたら、一体何ページになるんだろう。