~追跡!甲冑男~


 私たちの前に現れた甲冑男。


 私たちは逃げ出した甲冑男を追った。


 「現れた、まちがいなく甲冑男だ!今追跡中!」


 私たちの前を走る鈴城くんが通信機で瞳美たちに知らせる。


 「わかったわ、私たちもそっちに行くから、危険な深追いはしないでね。」


 「了解。よし行くぞ!」

 

 鈴城くんダッシュ!


 あわわわわ、そんな全力で走られたら私とみゆみゆ追いつけないよあせる


 あっというまに鈴城くんの背中が小さくなっていく。


 私とみゆみゆがトンネルから出るか出ないかのうちに、鈴城くんは甲冑男が逃げた角を曲がっていた。


 「このままじゃ鈴城くんたち見失っちゃう・・・!」


 「だ、大丈夫です、私が・・・。」


 そうか、ある程度離れてもみゆみゆが透視してくれれば・・・。


 角を左へ曲がる。


 「瞳美たちこっちへ来るって言ってたけど、私たちの位置とか分かるのかな?」


 「私がチェックして連絡してるから大丈夫だよ、ちとせちゃ~ん。」


 私の持ってる通信機からくーみーの声が。


 「くーみー。」


 「瞳美さんたちは回り込むようにして、鈴城訓と反対方向から甲冑男に接近して行ってるわ。あと5分くらいで接触するかも。」


 「そ、そう?」


 「わっ!」


 みゆみゆが声を出す。


 「な、なに!?」


 「前・・・」


 私たちが走っている先の道を”目あり君”が横切っていった。


 いつの間にどこをどう通ってあんなとこまで・・・ていうかやっぱ夜道に人形は怖すぎる。


 私たちが”目あり君”の後を追うように角を曲がると、ずっと先の十字路に鈴城くんがいた。


 辺りをキョロキョロ見回している。


 ようやく鈴城くんに追いついた。


 「鈴城くん・・・。」


 「残念だけど見失った・・・。」


 「くーみー?」


 「ごめんなさい、こっちも分からなくなっちゃった。地下に潜ったのかも・・・。」


 地下って・・・この道路のどこの下?


 右手の方からみさとたちも走ってきた。


 「見失ったようね。」


 「ああ。」


 「仕方ないわ、今日はこれまでにしておきましょう。」


 残念だけど、とりあえずこれ以上走るのはダメそうなのでよかった。


 「ちとせたち疲れただろう、さあこれを飲むがいい。さっきその辺の自販機で買ってきた。」


 「ありがとう・・・


 みさとったら気の利いたことを・・・。


 みさとから渡されたジュースを開ける。


 ブシュッ!シュワーーーッ!!


 ・・・炭酸飲料だった。



 ~つづく~