~オバケ屋敷~


 夜の12時を回った。


 そろそろ例の”甲冑男”捜索開始の時間だ。


 準備を・・・ってみさととかみゆみゆ寝てるし・・・。


 みさとの額には”絶好調!!”と書かれたシールが。・・・いつ貼ったんだ、それ。


 「ほら、寝てる人起きて~、そろそろ出るわよ~。」


 「紅白のトリか~」


 ・・・いつの時期の話ししてんのよ。


 「ん~・・・」


 目をこすりこすり起き上がるみゆみゆ。


 みゆみゆファンが見たら”萌え~”とか言いそうな様子だ。


 実際隠れみゆみゆファンは少なくないとか・・・今話すことでもないか。


 「さっき話したとおり、グループを二つに分けて捜索開始するわよ。」


 グループ分けはこう。


 私と鈴城くんとみゆみゆ、瞳美とみさとと現地集合のググ。


 くーみーは連絡要員と、くーみーが作った移動カメラ”目あり君”で私たちが探している場所以外の探索で自宅待機だ。


 「ちとせと一緒がよかったのに・・・。」


 「夜道でちとせとあんたを一緒にするのは危険すぎるわ。」


 「どーゆー意味だ。」


 色んな意味でだ。



 0時半を過ぎたところで、私たちはくーみーのお家を出た。


 街灯はあるけど、やっぱり暗い。


 街の中心から離れていることもあってか、車もそんなに通らない。


 私たちはくーみーの家から少し離れた角で、それぞれのグループに分かれた。


 ウヨーン・・・。


 後ろから聞こえるモーター音は”目あり君”。


 小さな人形の形をしているけど、夜道を進む人形ってちょっと怖すぎじゃない?


 振り返ったらホラー映画だよ。


 そのホラー映・・・”目あり君”とも次の角でお別れ~。


 「甲冑男はともかく、ほんとにオバケでも出そうですね。」


 みゆみゆは私と腕を組んで体を密着させている。


 おかげであったかいんだけど・・・。


 「みゆみゆ、鈴城くんいるんだから、どうせなら鈴城くんと腕組んで歩いてた方がよくない?」


 なんて暇つぶしにみゆみゆいじり。


 「え・・・そ、そんな・・・ダメですよ、恥ずかしいです。」


 相変わらず素直な反応だなあ。


 でもひょっとしてみゆみゆ鈴城くんの事好きなのかな。


 結構組んで行動することもあるみたいだし。


 たまにチラチラ鈴城くんのこと見てるし・・・。


 あんまりその辺つっこむのもみゆみゆ困るだろうし、私の想像の範囲に収めておこう。



 ・・・10分ほど歩きまわった。


 歩くほどに辺りに家も少なくなっていく。


 そんな中、山の裏手の道に出た。


 正面を道路が横切って、右手の先は・・・トンネルが遠くに見える。


 道路を挟んでそこにあったのはちょっと古びた洋館のような建物だった。


 車は全然通らないけど、私たちは横断歩道に回って向かいの歩道に進んだ。


 「わあ・・・こんな建物あったんだ。」


 「オバケ屋敷みたい、住んでる人いるんでしょうか?」


 「さあ、おれもよく知らないなあ。ずっと前からあるみたいだけど。」


 甲冑男とオバケ屋敷みたいな洋館って、これは偶然なのかな・・・。



 ~つづく~