~甲冑男~


 果報は寝て待て。・・・なんて話でもないだろうけど。


 ここ数日はとくに依頼らしい依頼も無く・・・。


 「何にも無いと暇じゃのう・・・ちとせ~結婚式の予行演習でもするかあ。」


 「誰と誰の結婚式よ。」


 「もちあたしとちとせ。ドレス着るのはあたしの方ねん。」


 「私もドレスの方がいいんだけど・・・って何の話よ。」


 「わあ、式のときは呼んでくださいね。」


 「みゆみゆ、真に受けないでよ汗。」


 タタタタ・・・と部室に迫ってくる足音が。


 ガラッ!


 「面白い話しを聞いてきました!」


 飛び込んできたのはくーみーだった。


 「・・・薫ちゃんのお見合いがまた失敗したのか?」


 ポカーン!!


 「ぶっ!」


 ・・・どっからかテニスボールが飛んで来てミサトの後頭部に直撃した。


 「ごめ~ん!そっちにボールいかなかったあ?」


 ラケットを持った薫先生がこっちに走ってきている。


 私はボールを拾って窓越しに薫先生に渡した。


 「ナイス・コントロールです。」グッド!


 「?ありがと。」



 ・・・で、先生も去ってくーみーの話の続き。


 「面白い話って?」


 「最近町で噂になっている話なんですけど。」


 イスに腰掛けながら続けるくーみー。


 「”甲冑男”が出没するらしいんですよ。」


 「蚊取り線香を頭に乗っけて歩いてるヤツでもいるのか?」


 「それは”殺虫”。”甲冑”です、鎧をきた何者かが深夜の町を動き回っているらしいんです。」


 「・・・変わった趣味の人ですね。」


 「何かのイベントの練習とかじゃないの?私はこの町に来たばかりだから知らないけど、鎧を着けたお祭りとかないの?」 


 「そういうお祭りあるけど全然時期が違うし、なによりその鎧というのは西洋の鎧みたいなの。」


 「昔のヨーロッパの騎士みたいな?」


 「はい。」


 「・・・何だか不気味ですね。」


 「ずいぶん昔のモノクロB級ホラー映画みたいなのりだ。」


 ・・・みさと、普段そういう映画観てるの?


 「ふふ・・・面白いじゃない。その甲冑男とやらの正体探ってみましょう。」


 「じゃあ次のミッションは。」


 「作ろう!巨大蚊取り線香!」


 ポカ~ン!


 「ごめ~ん!」


 次のミッションは”探せ!甲冑男!!”に決まったのでした。



 ~つづく~