~エミー~


 謎の生物事件が終わって、次の話題となったのは私の能力(ちから)のことだった。


 他のみんなもそれぞれ不思議な能力を持っているから、それほどの驚きはなかったようだけど。


 んで、不思議研究部部室。


 「結局、謎生物はカキ氷の思い出だけが甘酸っぱいメモリーとして残ってしまったよ。」


 カキ氷作ってないでしょーが。


 それにカキ氷があんたの初恋か。


 「それにしてもすごかったですね、ちとせセンパイ。背中からグワーーッて」


 と熊が立ち上がったようなポーズを取るみゆみゆ。


 くそう、いちいち可愛い。


 「あれは結局なんなの?式神とか?」


 「・・・私にもよく分からないの、いつのまにか私の影に潜んでて・・・。」


 「ペットにしてたというわけか。」


 「そいうわけじゃない。」


 「ちとせってあたしのことばに反論してばっかだ、個人攻撃な反抗期か、ちくしょう。」


 ・・・ほっとこう。


 「エミーってあのモンスターさんの名前ですよね?何か意味があるんですか?」


 「・・・うん。・・・昔飼ってたネコの名前なの。なんとなくそう付けちゃって・・・」


 「ネコちゃん。」


 「どうりでちとせ、ネコミミが似合うはずにゃん。」


 ・・・ネコミミとか付けたことないけど。


 「なるほど、そういうことか。」


 指定席のロッカーの上からググの声。


 「なるほどって、何がなるほどなの?」


 「君の影に潜んでいるものさ。それは君の言うネコのエミーだ。」


 「えっ・・・でもエミーはずいぶん前に・・・。」


 「君の影のエミーは、ネコのエミーが死んだ後に現れたんじゃないのかい?」


 「あ・・・そう、エミーのお墓を作って・・・それからだったと思う。」


 「君は本当にエミーを可愛がっていたんだね。エミーは死んだ後も君の側にいたいと思ったらしい。だけど普通の魂の状態ではこの世界に長く留まれない、だから君の守護霊の力を借りて君の影に留まり、君を守ることにしたんだ。」


 「・・・エミーが・・・そう言ってるの?」


 「ああ。君の側にいられて嬉しそうだよ。」


 私はイスから立ち上がって、窓からの光で出来た自分の影を見た。


 その影にあのエミーがちょこんと座って私を見上げてるような姿が見えた気がした。


 私はしゃがんで影に触れてみた。


 「・・・エミー・・・」


 指にフワッと暖かいものが絡んだ・・・。


 「エミー・・・ありがとう・・・。」


 ありがとう、私の大切なお友達・・・。



 ~つづく~