~謎
生物・完結編~
迫ってくる新聞部・部長の寺沢さんとヌメヌメ生物。
「くそー、シャーベットはさっきので無くなってしまった。今からカキ氷じゃ間に合わないか!?」
氷のセットしていないカキ氷機をシャカシャカ回しているみさと。
だからそういうのどっから出してるんだ!
「先生たちは本橋さんたちと避難して!」
合流してきた寺沢さんと本橋さんを先生たちに預けて避難を指示する瞳美。
「分かったわ、気をつけて。」
美和子先生もみんなの能力(ちから)、やっぱり知ってるみたい。
先生たちは旅館の方へ急いだ。
それと行き違いになるようにググが木の上に現れた。
「ググ!」
「なんだか外が騒がしいようだったのでね。決着を付けるならさっさとした方がいい、旅館の人たちが騒ぎに気づいてやってくると何かと面倒だ。」
「でも氷もう無いんだよ~。」
シャカシャカシャカ・・・。
「これで・・・!」
サッとお札を取り出す瞳美。
「・・・宇宙生物にお札って効くんですか?」
「やっぱり無理かしらね。」
ヌメヌメ生物はすぐそこまで迫っていた。
・・・ほんとはあんまり使いたくないんだけど・・・。
「エミー!!」
叫ぶ。
すると、私の影から半透明の何かが出現して、勢いよくヌメヌメ生物に向かっていった。
「な・・・なに!?」
私の背中にいたみゆみゆはちょっと吹き飛ばされる形になってしりもちをついた。
ヌメヌメ生物の体に飛び込んだ”エミー”が体を発光させると一瞬にしてヌメヌメ生物は蒸発していった・・・。
・・・これが私の能力(ちから)。
また使うことになるとは思わなかったけど・・・。
ヌメヌメ生物が消えたのを確認できたと同時に私は意識を失ってしまった・・・。
・・・周りで人の声がする。
みゆみゆ・・・くーみーも・・・。
・・・そうか、さっき気を失って・・・。
「・・・」
ゆっくり目を開いてみた。
目の前にみさとのドアップがあった。
「うわっ!みさと!?」
飛び起きた。
「あ、ちとせセンパイ気が付いたんですね、よかったー!」
みゆみゆが抱きついてきた。
「びっくりしたよ~、急に倒れるから・・・。」
くーみーも私の腕を掴んできた。
「・・・ごめん、私気絶しちゃって・・・。」
「あんなの見たんじゃ気を失うのも当然。」
なんとなく事情をぼかしたような言い方の瞳美。旅館の人たちに私たちの能力を詮索されないためなのかもしれない。
「ちぇっもう少し寝ててくれたらあたしのチューで目覚めさせられたかもしれないのに・・・。」
一難去ってまた一難寸前だったか。
「ごめんね。でももう大丈夫だから。」
ほんとに何でも無いので掛かっていた毛布をどかした。
「よかった、でも私は結局全然あの生き物の写真とれなくて残念。」
カメラを手にため息の本橋さん。
「・・・ところで部長、何しにここまで来たんですか?」
「え・・・」
「部長まで来る予定は無かったですよね?」
「ああ・・・まあそうだけど。」
他のみんなは部長のその”理由”を薄々感じ取っているようだけど・・・。
「ノーノー、ニブニブだぞうっちゃん。」
「?」
「本橋センパイが心配で来たんですよね、寺沢センパイ。」
「あ・・・いや・・・」
みるみる真っ赤になっていくな寺沢さん。
さすがに本橋さんも気づいみたい、こっちも赤くなっていってるし・・・。
「・・・いつも危ない所でも平気で出かけていくから・・・。」
「だ、だって・・・特ダネ撮って、部長に認められたいから・・・。」
ハートなオーラがお部屋に充満してきたぞ~。
「あ~あ~もう勝手にやってくり、あたしらの用は済んだから帰ろうぞ。」
「そうね。」
・・・こうして謎の生物事件は終わった。
ちなみに、手元に残ったあの黒い石は、どういう仕掛けか生物が消滅したのに合わせるように、町に持って帰る頃には崩れて消えてしまっていった。
念のためその後ググが夕霧山を調べて回ったらしいけど、他にの黒い石や生物は発見されなかったようだ。
ほんとに宇宙から来た生物なのか結局謎が残ったままなところもあったけど、これにてミッション終了。
~つづく~