~何かいた!~
ちょっと恥ずかしい思いをしてからその翌日。
謎の生物探索二日目。
昨日の瞳美の言葉の通り、予感の周りから重点的にみんなで調べてみることにした。
「ちとせちゃ~ん♪」
昨日の夜以来、ずっと仲良しになったくーみー。
朝食の時はみさとと私の横の席の取り合いみたいになってたな。
二人に挟まれる形にして事なきを得たけど。
「何か見つかった?」
「ううん珍しいものは特に無いみたい。」
「そう?」
少し離れたところで私たちの様子を見ているみさと。
「くわああ、ちとせあたしだけでなくくーみーまで手なずけたかあ・・・。」
・・・手なずけたってなんだ。
「あれ?そういえばググ見てないけど・・・。」
「ああ、今回は自分の出番は無さそうだって、お部屋で寝てる。」
ググ、ネコ満喫中か。
「ねえちょっと来て!」
遠くの方から本橋さんの声がした。
みんながそっちに集まる。
先生たちはどこを探しているのか近くに見当たらなかった。
本橋さんが立っていたのは山道付近の岩の前。
「何かあったの?」
本橋さんはしゃがんで岩陰を指差した。
「これ・・・。」
・・・!
そこにあったのは、私たちが見つけた半分解けたような昆虫と同じような状態になっていたトカゲの死骸だった。
残っているのは後ろ足と尻尾の体の4分の1くらい。
「それに見て。ここから・・・」
本橋さんは岩陰から茂みの方へ指を動かした。
何かが通った後のように草が別れている。
「これは・・・。」
「もしかすると、例の生物が通った跡か?」
「それにしては大きいわね、話しだと縦に30センチくらいのナメクジみたいなやつだったそうだけど、これ横に30センチくらいない?」
「今度は横に膨らんで座布団ナメクジになったか?」
どっちにしても会いたくないなあ。
「行ってみましょう。確かめなくちゃ。」
そう言って本橋さんはカメラを手に茂みの奥へ。
「本橋さん!」
私は慌てて本橋さんの手を掴んだ。
「危ないよ、何がいるか分かんないのに・・・」
「でも・・・」
「みゆみゆ」
「はい」
瞳美の声にみゆみゆが茂みの方へ目を向けた。
茂みの奥を透視しているようだ。
「・・・あ、光る生き物が見えます。ちょっと大きなマクラくらいの大きさです。」
「ちとせのマクラくらいか?」
・・・みさと、私の部屋に入ったことあったっけ?
「そんなに大きくなってるの?」
「とにかく行ってみよう。トカゲがそいつの仕業ならこの先何を襲うか分からない。」
鈴城くんが先頭になって茂みへ入っていく。
これから私たちが遭遇しようとしている生き物は間違いなく普通の生き物じゃない。
私たちは茂みの奥へと進んでいった・・・。
~つづく~