~妖怪の噂~
休み時間になると、レイさんの周りに人が集まり質問の雨あられだ。
ちょっと変わった雰囲気を持っているためかみんなレイさんに興味津々といったところか。
耕太のヤツ、矢継ぎ早にあれこれ聞いてるけど、現代とはズレのあるレイさんとは時々トンチンカンなやりとりになる。
・・・レイさんと住んでるんだから、ちょっとはこっちに話し振ってくれてもいいのに。
「・・・他のみんなどうしてるかな。」
バカはほっといて他の精霊さんたちの様子でも見てこよう。
「アカネ、トイレか?」
「・・・違うわよ。」
紗枝にそう返して席を立つと教室を出た。
廊下に出ると中庭の方で女の子たちの声がした。
何事かと窓から下を見てみると・・・。
エンさんが数人の女の子たちに囲まれていた。
スラっとしててかっこいいもんなあエンさん。
早速女の子のファンが付いたみたいだ。
向かいの一年生の校舎の様子が見えた。
ラミちゃんとモモちゃんはクラスが隣同士か・・・うわ、それぞれの教室で男の子たちに囲まれてる。
あれ?フウちゃんは見当たらないな・・・。
移動しようとしたとき、二つ先の教室からスイちゃんが出てきた。
「まあ、アカネさま。」
スイちゃんは私に気が付くと、小走りな感じで私に寄ってきた。
その後から男の子たちも付いてきた・・・。
「・・・スイちゃん、いきなりモテモテみたいだね」
「モテ・・・?よく分かりませんけど、みなさん優しくしてくださいます。ただ・・・」
「ただ・・・なに?なんか変なことでもされた?」
「いえ・・・あどれすを教えてほしいと言われたのですが、何のことだか分からなくて・・・。」
ああ、そういうことね。
「ねえこの子の知り合い?」
男の子の一人が私に話を振ってきた。
「まあ・・・そうだけど?」
「じゃあスイちゃんのアドレス知ってるよね、教えてくれない?」
「知らない・・・て言うか、スイちゃん携帯とか持ってないし。ねえ。」
「はい・・・携帯が何か分かりませんが。」
「うそ!今時!?」
まあ少なくともスイちゃんたち、今時の子じゃないし。
・・・結局、そのまま廊下の立ち話で休み時間終わっちゃったじゃない。
ようやくお昼休みになって、とりあえずみんな集合となった。
目立たないように理科室などのある、あまりお昼休みとか人の来ない校舎の屋上に続く踊り場に集まっている。
「みんなどう?休み時間の度にすごいことになってたようだったけど。」
「楽しいよ、みんな可愛いって言ってくれるし。」
「私も。アイドルみたいって言われたけど・・・アイドルってなに?」
「あはは・・・そう?・・・そういえば、フウちゃんはあんまり見かけなかったけど。」
「フウは一緒の教室だけど、休み時間はすぐどっか行っちゃうんだもん。」
「・・・騒がしいのは、苦手だから。」
フウちゃんおとなしいもんね。
「・・・でも、アカネさまは別。アカネさまの側ならずっといたい。」
あら、可愛いこと言ってくれる♪
「アカネさま、噂を聞いたのですが。」
「噂?なに?」
「はい、知り合いが妖怪と遭遇したという人がいる話しを耳にしました。」
「あ、それ私もなんか聞いたよ。」
「妖怪・・・やっぱり現れてるのね。」
私たちは噂の出所の人を探してみることにした。
~つづく~