~七星が来た!~


 電車に揺られること約一時間、静かな無人駅に降り立った。


 「ここずっと前におじいちゃんと来たことがあるよ。」


 「そうなんですか?」


 改札口を通って駅の外へ。


 ・・・駅前なのにあんまり家が無いなあ。前来たときとほとんど一緒だ。


 「えっと・・・ここからどこへ行くの?」


 「この町で一番高い所にある七星神社です。」


 それも知ってる。やっぱりおじいちゃんに連れて行ってもらった所だ。


 そんな小さい頃から今日という日の伏線が張られていたのだろうか。



 レイさんは普通に歩いていこうとしたが、たぶん日が暮れるので近くまでバスで向かうことにした。


 ・・・。


 「・・・ってバス一時間前に出てるじゃん。」


 停留所の時刻表を見て驚く。


 ほとんど一時間に一本あるか無いかだ。


 仕方ないので見つけたタクシーで行った。予定外の出費だ・・・。



 町から山道へ入り、神社の入り口の鳥居の前でタクシーを降りた。


 ここからさらに何十段もある石段を登らなくてはならない。


 見上げただけで疲れる・・・。


 「さあ行きましょう。」


 涼しげな笑顔だね、レイさん。



 ・・・足パンパンのような状態でようやく石段を登りきった。


 水をくれ。


 と、神主さんだろうか、前からこちらに人が来る。


 ・・・なんで手に腹話術の人形を持っているのだろう。


 「やあ、アカネちゃんよく来ましたね。泰造さんから今朝連絡がありましたよ。」


 おじいちゃんと同じくらいの・・・やっぱり神主さんのようだ。


 ・・・なんで腹話術の・・・。


 ちなみに泰造さんというのはおじいちゃんの名前だ。


 「あ・・・こんにちは、アカネです。」


 「はい、私はこの神社の神主をさせていただいている柳沼と申します。で、そちらが・・・」


 「初めまして、レイと申します。」


 「おお、あなたが七星の。いやこの目で見る日がくるとは。嬉しくも思いますが、それは妖怪が活動を始めた証しでもあり、なんとも複雑な気持ちです。」


 私は水を飲みたい気持ちです。


 「それではこちらで仲間を呼ばせていただきたいのですが。」


 「ええ。ではアカネちゃん、お茶でも準備していますので後でお越しください。」


 「あ・・・は、はい。」


 去っていこうとする神主さん。


 「あ、あの柳沼さん。」


 「はい?」


 「さっきから気になっていたんですけど・・・その腹話術の人形は・・・。」


 「趣味です。」


 特別な意味は何も無かった。


 

 「アカネさま。私の仲間を呼び出します。」


 柳沼さんがいなくなり、神社の参道に立つレイさん。


 「・・・一つ聞いていい?」


 「はい、何でしょう?」


 「レイさんの仲間を呼び出すって、ここでないとダメだったの?」


 「・・・そういうわけではありませんが、ここはこの付近で一番霊力が集まる場所なので、最も早く仲間が召喚できる場所なのです。」


 「他の場所だと時間がかかるっていうこと?」


 「まあそういうことになります。」


 ・・・。


 「素朴な疑問なんだけど、ここに来るまでの時間考えたら私の家で召喚しても時間的には同じだったりしなかったの?」


 「・・・・・。」


 「・・・・・。」


 「まあそれは気づきませんでした。」


 ええ~~~っ!?


 「と、とにかく召喚しますね。」


 真っ赤になって準備を始めようとするレイさん。


 アニメだと私たぶん今真っ白になってるよ。



 体を一回転させたレイさんはいつもの服装へ。その手にはバトンのようなものがあった。


 レイさんは体を軸に地面にバトンで円を描くように回転しはじめた。


 「大地に眠る精霊たちよ、我が声に応えここに集え・・・」


 レイさんの回転が速くなるにつれその体から光が放たれていく・・・。


 「エン!スイ!ラミ!フウ!モモ!セキ!」


 なあああーーーっと眩しくて目を開けていられない閃光。


 空からこちらに向かってくる光の筋が見える。


 あれは・・・!


 光の筋が集まるように神社めがけて飛んできたかと思うと・・・一際眩しい輝きが起こり、それはやがて静かに消えていった。


 ようやく普通に目が開けられる状態になった私が見たものは、レイさんを中心にズラリと並んだ女の子たちだった・・・。



 ~つづく~