~ホラー・ハウスを出て~
”ホラー・ハウス”から出てきた。ちょっと足ガクガクかも。
前に真由たちと入ったときは最後なんて四つんばい状態になっちゃって、出口から出てきたとき外にいた人たちに笑われてめちゃめちゃ恥ずかしい思いしたもんなあ。
でも今日は綾香ちゃんがずっと守ってくれた。
綾香ちゃん、常に私とオバケの間に立つようにしてくれて・・・頼もしかった。
中で私が転んじゃったときとか(怖くて周りとかよく見ていられなかったし)、追いかけてきたオバケに
「動けない相手まで脅かさないで!」
とか大声出すんだもん、オバケ役の人(たぶんアルバイトの人)も私も思わずポカンとしちゃう場面とかあったりして・・・怖かったけどあれは可笑しかったなあ。
「お~いこっち~」
私たちより先に出ていた真由とちひろがホラー・ハウスの近くにあるベンチに座って私たちを呼んだ。
私と綾香ちゃんはベンチへ。
「今日はほふく前進で脱出じゃなかったね。」
と真由。・・・この間のは四つんばいでしょうが。
とりあえず合流して次の場所に移動しようとした時だった。
ホラー・ハウスの横にあるトイレから出てきた二人の女の子とすれ違おうとした直前、その女の子の一人がこちらを見て”あっ”というような顔をした。
「・・・結城さん?」
お互い立ち止まった。どうやら女の子たちは綾香ちゃんを知っているらしい。綾香ちゃんも女の子たちを知っているようだ。・・・前の学校のクラス・メートなのかな?
「やっぱり結城さん。久しぶり~」
笑顔で綾香ちゃんに話しかけてきた。
「そっかあ、元気になったみたいだね。よかったあ。」
「・・・ええ。」
綾香ちゃんも笑顔で答えるけど、ちょっとテンション下がってる感じ。
”・・・元気になったみたい”ってどういうことなんだろう。綾香ちゃん病気でもしてたのかな。
綾香ちゃんに視線を向ける私。と、相手のもう一人の女の子が私を見て、驚いた顔をして横の子の服の袖を引っ張った。
「なに?」
「ちょ、ちょっと・・・あの子。」
明らかに私を見て言ってるなあ。服を引っ張られた子も私を見る。
二人して目を見開いて、まるでゾンビにでもであったような顔してる。
私?一回後ろに振り返ってみた。・・・やっぱり私を見て驚いているみたい。
「・・・うそ・・・」
??何がウソ?
二人の様子と私を見て綾香ちゃんがはっとしたような顔をした。
「あ・・・違うの、この人は今の学校の友達で・・・」
綾香ちゃんはホラー・ハウスの中のときのように私と女の子たちの間に入ってきた。
「・・・そ、そうなんだ。でもびっくりしたあ・・・。」
よく分かんないけど、私そんなにびっくりするほど変なとこあった?
「それじゃ、あの私たち友達待たせてるから。」
「あ、そうだ・・・じゃあね。」
そう言って女の子たちは半ば逃げるように立ち去ってしまった。・・・一体なんだったんだろう。
あ、あの子達こっちをちらっと振り返っていった。
そんなこともあったけど、それから夕方近くまで遊んで私たちは家へと帰った。
綾香ちゃん、あの女の子たちに会ってから元気なかったなあ。
帰りの電車の中でもほとんどおしゃべりに入ってこなかったし・・・。
楽しいはずの一日も、なんだかすっきりしないものが残る一日になってしまった。
~つづく~