絵本・オブ・ワンダー ~こどものとも編~ | 南空知文庫

絵本・オブ・ワンダー ~こどものとも編~



 今記事を含め2回に渡りお届けする「絵本・オブ・ワンダー」・・・・の一回目は{ こどものとも編 }です。


 特に50代・40代・30代辺りの方で、幼少時に{ こどものとも }絵本群に出会い、未だに深い思い入れのある方というのは、ことのほか多いのではないでしょうか。


 ”ぐりとぐらシリーズ”・”だるまちゃんシリーズ”等、ロングランで愛されているこの絵本群の中から、幼少時の私を”アチラ側”へ連れて行ってくれた幾つかを紹介いたします。



 

 { やっぱりおおかみ }


 乾いたユーモアと深い孤独、そして茫洋とした爽快感に満ちたエンディング・・・・


 立川談志師曰く、「絵本ていうのは、そんじょそこらのガキには書けねぇよ、酸いも甘いも知り尽くした大人の所業だぜ。」


 ・・・というお言葉が骨の髄まで実感できる作品ス。


{ ささき まき・作・絵 }
南空知文庫




 { のんびりおじいさんとねこ }


 寝ているか食べているかの猫と、のんびりおっとりな漁師のお話。


 「いいかげん鯵の切れっ端には飽きたニャ~、もっと食い応えのある魚が食いたいニャー!!」


 そんな感じの猫の一言に、海の男たる爺の血が静かに起動する・・・・


 ラストの大喜びでカジキに齧り付く猫の表情がたまりません。

{ 西内みなみ・作 わかやま しずこ・絵 }
南空知文庫




 { まのいいりょうし }


 息子の七つのお祝いを御馳走で祝うべく猟に出かけようとした時、手から銃を滑らせ床に落とし、で、銃の先端が妙な角度で曲がり・・・・


 「おとう、こいつはゲンが悪い・・・、今日は猟には行かねぇーでくれろ。」


 「なあに、心配すんな、たんと捕ってくるからよぅ。」


 「おとう・・・・。」


 そこからダイハードもビックリの超絶なる”ライク・ア・ローリング・ストーン”ばりの猟が始まろうとは・・・・


 全身に獲物を縛り付けた帰還シーン(表紙)に感動です。


{ 瀬田貞二・再話 赤羽末吉・絵 }
南空知文庫


 


 { えんにち }


 全編セリフ無し、家に居ながらにしてお祭りの出店巡りが楽しめるという・・・・


 背景の色が昼から徐々に夜に変わっていく演出が”気分”です。


 表紙の”変身忍者・嵐、スペクトルマン、秘密のアッコちゃん”等のお面群が時代っすねぇ。

 
{ 五十嵐豊子・作・絵 }
南空知文庫




 { てがみのえほん }


 確か{こどものとも}の何周年記念での企画本だった様な・・・


 ということで、歴代絵本出演者?(ぐりとぐら・もじゃもじゃペーター等)から{こどものとも編集部}にきた手紙を載せるという設定でした。


 これはもう単純に、様々な画材(クレヨン・マジック・透明水彩等)で描き分けられた各ページの絵が楽しいという・・・・


 私にとっての圧巻は、最初のページの色鉛筆で描かれたお菓子の家でした。


 そして各ページに貼られた切手も印象的でした。


 山猫達イーハトーブのからの手紙の切手は、宮沢賢治のあの”学生帽を被った歩く電信柱”だったりと、何回見ても新たな発見のある絵本でした。


{ 堀内誠一・作 }
南空知文庫


 ここに紹介した本で、「のんびりおじいさんとねこ」以外は未だに手元にあるという・・・・


 捨てずにとっておいてくれた亡母に感謝・・・・であります。



 では~こどものとも編~、これにて・・・・・了。