2008海外競馬リポート

2008海外競馬リポート

2008海外競馬リポートブログ

Amebaでブログを始めよう!
Arlington Million
アーリントンミリオン(G1)
2008/8/9 米・アーリントンパーク競馬場 芝 1 1/4マイル(約2000m) 3歳以上

4月に行われたG1クイーン・エリザベスII世Cの勝ち馬で、管理する南アフリカ人調教師マイク・ドゥコックが英国のニューマーケットに構えた調教基地に移って緒戦となった前走のG2サマーマイルも快勝していたアーチペンコ(牡4歳)が、単勝2.2倍の圧倒的1番人気に推された今年のアーリントンミリオン。アーチペンコは道中好位から直線で良く伸びたものの、僅差の2着に惜敗した。
勝ったのは、フランスから遠征したスピリットワン(牡4歳)。今季緒戦のG3エクスビュリ賞を3馬身差で快勝し、2歳9月以来1年半振りの重賞制覇を果たしたものの、その後G1ガネイ賞ではデュークオヴマーマレイドの4着に敗れ、超一線級に入るとやや力不足というのが、地元におけるこの馬の評価だった。ここも単勝14.7倍の5番人気と米国のファンによる評価も低かったのだが、これを覆して見事な逃げきり勝ちを収めたスピリットワン。海外遠征でG1初制覇を果たしたのは確かに立派だが、一方で、同型馬のスーダンが前日に出走を取り消し、先に行く脚のある2番人気のアインシュタインがスタートで躓き後方からの競馬になるなど、多分に展開に恵まれた面があったことは否定出来ない。
3番人気に推されたアイルランドからの遠征馬マウントネルソン(牡4歳)は、前走G1エクリプスSで発揮したような破壊力ある末脚が見られず、3着に敗退。ゴール前でこの馬がもたついたことで、アーチペンコの進路がなくなり、結果としてアーチペンコが脚を余した形で敗れたのは、残念であった。
結局のところ、3頭出走した欧州調教馬が上位を占めることになったアーリントンミリオン。北米におけるこの路線のレベルは相変わらず高いものではなく、先のG1マンノウォーSで初めて芝を走って2着に敗れ、凱旋門賞遠征を断念したカーリン陣営の選択は、至極真っ当なものであったと言えそうである。
King George VI and Queen Elizabeth Stakes
キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス(G1)
2008/7/26 英・アスコット競馬場 芝 2400m 3歳以上

4馬身差の快勝を演じた前走ロイヤルアスコットのプリンスオヴウェールズSを含めて、今季ここまでG1・3連勝中のデュークオヴマーマレイドが、単勝 1.67倍の圧倒的1番人気に推されることになったキングジョージ。G1ばかり6戦していずれも入着しながら、1つも勝ち星を挙げることが出来ず、イマイチ君のキャラクターが定着していた3歳時のイメージを完全に払拭していたこの馬にとって、唯一の懸念材料が、ここで初めて経験する12ハロンの距離だった。
直線早めに先頭に立った後、外から追い込んだ伏兵のペイパルブルに一旦交わされた時には、スタミナ切れかと思われたが、そこからファイトバック。真に力のある馬でなければ出来ない競馬で、芝10~12ハロン路線では現役最強であることを改めて証明することになった。
デュークオヴマーマレイドを管理するエイダン・オブライエン調教師は、今季絶好調。これが14個めのG1制覇となり、北米のボビー・フランケルが持つ25勝という年間G1最多勝記録を敗れるかどうかが、今季後半の世界の競馬の大きな見どころとなりそうだ。
大健闘だったのが、あわやの競馬で半馬身差の2着となったペイパルブルだ。今季緒戦のG1コロネーションCでいきなり強豪相手に4着となるなど、ジャパンカップに来日して7着に終わった昨年に比べるとひと皮むけた印象のあったペイパルブルだが、ここまで強くなっているとは驚きだった。テン乗りだった鞍上のオリビエ・ペリエによると、「切れる脚が無いので早めに勝負に出てくれ」との指示を受けていたとのこと。むしろもう一呼吸追い出しを我慢していれば、デュークオヴマーマレイドの寝首を掻く場面もあったかもしれない。もし秋に再来日すれば、今年は日本馬にとって脅威の存在となりそうだ。
折角望んでいたハイペースになったのに、これを活かしきれなかったのが2番人気で3着に終わったユムゼインだ。直線で2度にわたって進路が塞がれる局面があったが、不器用で追い込む競馬しか出来ないこの馬にとっては、常につきまとうリスクと言えそうだ。
Darley July Cup
ジュライカップ(G1)
2008/7/11 英・ニューマーケット競馬場 芝 1200m 3歳以上

グローバルスプリントチャレンジ第4戦(英国ラウンド第3戦)のジュライC。英国ラウンド2戦目のゴールデンジュビリーS(6月21日、ロイヤルアスコット)で上位8着までに入った馬から、4着馬テイクオーバーターゲットを除く7頭が顔を揃え、前走の再戦といった趣だったが、結果はおおいに異なるものとなった。
勝ったのは、前走では2番人気を裏切り6着に敗れていた、フランス調教馬のマルシャンドール。一昨年・昨年とドーヴィルのG1モーリス・ド・ゲスト賞を連覇するなど、フランスにおけるトップスプリンターとしての地位を確立している馬だが、ロイヤルアスコットにおける前走は、この馬には馬場が固すぎたようだ。中間かなりの降雨があって馬場が渋ったここは、最後の1ハロンで本来の末脚が炸裂し、日本で短期免許を取得して騎乗したこともあるダヴィー・ボニヤ騎手に、英国における初のG1制覇をもたらした。
マルシャンドールを管理するのは、フランスにおける往年の名騎手フレディー・ヘッド。1996年にアナバーに騎乗して制しているこのレースを、今度は調教師として手中にすることになった。マルシャンドールの次走は言うまでもなく、3連覇がかかるG1モーリス・ド・ゲスト賞(8月10日、ドーヴィル)の予定だ。
2着は、前走のゴールデンジュビリーSでは5着だった、エイダン・オブライエン厩舎のユーエスレンジャーで、遠征馬同士の1・2フィニッシュとなった。3着のウォーアーティストは現在は英国調教馬だが、生産地はオーストラリアで、昨年までは南アフリカで競馬をしていた馬である。更に4着も、2着馬同様に愛国のエイダン・オブライエンが管理するアストロノーマーロイヤルで、実質的には上位を外国馬が独占する結果となった。6月のロイヤルアスコットでも、行われた7つのG1のうち6つまでを遠征馬が制覇。今季ここまで英国で行われた16のG1のうち、地元勢が制したのはわずかに3つと、英国調教馬にとっては屈辱的なシーズンとなっている。