母との確執..② | 比翼連理 ~執事の愛が重い件~

比翼連理 ~執事の愛が重い件~

当ブログは、年の差11歳の主従が送る日常の風景。ネグレクトの母から赤子の私を引き取り育ててくれた付き人の白侶(ハクロ)は、その美貌と優雅さで見る者を虜にする外面の良い悪魔。そんな彼のドス黒い“本性”を主人ならではの目線で書き綴るノンフィクションです。

一言一句、私の予想を覆すことなく発せられた母の返答───


えぇ、私は貴方が
何を考えているのか解らなくて、

嫌いなんだと思う

あの時、胸に込み上げてきた感情はきっと「悲しみ」ではない。

答えは予想していた物そのままだったし、悲しいよりも『ああ、やっぱりな』が先にきた。

母の意見、思いも十分聞けていたし、その上で、自分でもこれだろうと言う答えを予想していたつもりだったから。




───そして、母は続けた。


貴方は美しいわ・・・

仕草も、表情も、
堂々とした態度も、みな気品に溢れてる・・・・・


『私が教えたわけでもないのに、誰に教わることなく・・・』
『ねぇえ? 貴方は本当に、私の子なの?』




────母は、「女」が嫌いだと言った。


「女は汚い」、と。
『自分も「女」なのに、変ね』とも。

そこには母の子供時代に隠された悲話があったので、私も何となくそうかな感じていた。


ただ、息子である私の存在を、何故「女」と思うに至ったかは、流石の母も言葉を濁した。


母が私を、【女として毛嫌い】し始めたのは・・・・・・

ある事件からだ。



───そこも、予想通りだった。


小4で一回、小6で再度被害に遇った事件。
それをキッカケに、中学高校と、成人してからも被害に遇い続けた性犯罪。

母は、それらを全て、私が悪いと決めつけている。

と同時に、『そんな目に遭って立ち直れる筈がない』、とも。


そうやって決めつけている母は、「立ち直った人間」を決して認めない。
だからそういう人間は、母の中では元から、「そういう人間」なのだ。

私が立ち直れた理由は一重に白侶の精神的なアフターケアのお陰だ。
あれがなければ今日まで生きてないし、「男」に対してここまで開き直ることも出来ていないだろう。


が、勿論母は、そんな事情は知らない。
知ろうともしなかったから。


───そうして何時しか、母は私を避けはじめたのだ。



貴方は綺麗ねぇ...

母は頻繁に、そう呟く。


そう言いながら、母は自分と私との差を広げる。

全ては勝手な“思い込み”によるものなのに、自分を劣等化し、相手をこうだと決め付ける事で、自分勝手に納得する。

だから、私との話し合いの場も、これまで一度も持たなかったのだ。


ずっと、そうだった。

子供の頃から、此方が譲歩して話し合いの場を持とうと思っても、『貴方は“こう”だから!』。
勝手に決め付けて、勝手に納得して、逃げ行く。

ずっとずっと、これを子供の頃から繰り返した。


どちらかと言うと、母より私の方が母を理解してる。
・・・・・母は私の事を、殆ど解っていないけど。




そんなものだから───

私にはあの人(夫)と山都さえいてくれれば良いの!と、繰り返すのだ。



母曰く、私は何を考えているか分からない息子らしい。
当人が、私がこれまで何度となく設けた話し合いに応じないのだから、当然と言えば当然の結果だが。


実家にいる間、私はこの言葉を二週間は聞き続けただろうか。

極めつけは、これ・・・



貴方には立花さえいれば良いの!



この台詞は、聞いた時とても違和感があった台詞だ。

案の定、母がそう“思い込んで”、“決め付けて”発した言葉故だろうが。



あの時正直、「ショック」を受けても良かったのだが。
『ああ、やっぱりか』と思ったら、涙も出なかった。

すんっ、と何かが、胸に落ちたようだった。



・・・・・・もしかしたら・・・、
ひょっとすると・・・

私の中で意外にも、あの言葉は、胸に突き刺さったののかも知れない・・・



《私の父+山都=大切》な母の方程式と、
《みつ=最優先事項、私=所詮はみつの魂が入っただけの器》な白侶の方程式の中で───


自分はいったい、どこへ帰れば良いというのだろう・・・。


『貴方には立花さえいれば良いのよ!』

どんなつもりで発した言葉だったのだろう。
今となっては聞く気もないが。


せめて、私としては、親としてそこは最後の砦になってもらいたかった所だ。

まぁ所詮、親も一個人。
「親だって人間」なのである。


一度口から出た言葉って、なかなか取り消せないよねぇ・・・



立花はあくまで付き人

そう思っているのは父だけで、母の方はそれでは納得行かないらしい。


自分がこう思っていると楽だから、これで良いの

そう思って、思い続けて。
いつしか周りの人間にもそれを押し付けてくる。


それが母の、母なりの事故防衛の仕方。




奥様も、奥様なりのご苦労があってのこと..
心的外傷後ストレス障害は、貴方も、よくご存じでしょう?

ただ、貴方の傍には私が居た..

奥様には当時そういう方いらっしゃらなかった・・・・・

ですから、奥様とお話しなさる時は十分に、
言葉を、お選びになってあげて下さいね..


『奥様の様なタイプの方とお話しする時は、
「先に退路を断つ」喋り方をしてはなりません』


奥様と貴方は、そこでぶつかり合うのですから..





実家に連れて行った長男にも、白侶と同じことを言われた。


10才の子供と使用人の方が、よほど私達母子を分かっているようだ・・・・・


それとも、何だろう?
尊敬する人がパパじゃなくて「白侶おじちゃん」だから、長男は頭の回転も早いのだろうか??

ああ、末恐ろしい・・・。