CFAを受験される方の多くは、キャリアのオポチュニティを拡げるという明確な目的を持ってCFAを受験されていると思いますが、私の場合は完全に自己啓発が目的でした。会社には3社勤務したので、もう会社員は嫌だと思っていたため、CFAを転職に活用する気もありませんでした。また当時勤務していた会社でも補助とか手当とか何かメリットがあったわけでもなんでもなく、本当に自己啓発としか言いようがないですね。ただ自己啓発で始めた勉強を活かしてビジネスをしているわけですから、不思議なものです。

以下で紹介するように、自己啓発の目的は果たせましたが、「独立後有利かな」と欲をかいた部分に関しては、まったく役に立ってません。


1.MBAの復習:狙い通り

私はビジネススクール留学前は外資系コンサルにいたのですが、CRMとかSCMとかIT戦略とかの仕事がメインで、ファイナンスにかかわることはなく、まったくのファイナンス素人でした。留学時もマーケティングでも専攻しようと思っていたのですが、イントロのファイナンスの授業の面白さにひかれて、ファイナンスとアカウンティングを専攻しました。しかし、素人だった上に、1年制のプログラムで、また経験者以上に詰め込んだので、消化しきれない部分もあり、帰国後業務を行いながら「そういうことか」ということが多くありました。そんなわけで、ファイナンスをもう一回復習しようと思い、以前から知っていたCFAを目指しました(IR時代、外資系のアナリスト、ファンドマネージャは大体CFA保持者が多かったので最難関の資格であることは知っていました)。CFAカリキュラムの勉強を通して、この目的はばっちり果たせました。


2.インベストメント関連の知識の拡充:狙い通り

私はMBAではコーポレートファイナンスによりフォーカスを置いていたので、インベストメントの分野は平均的な知識しかありませんでした。金融機関に勤める気はなかったのですが、独立したらIRのコンサルティングでもしよう、と思っていたので、まさに「敵を知る」みたいな感じで、ファンドマネージャがどのようなアプローチで仕事をしているのかを理解したいと思っていました。Level 3の勉強でこの目的も果たせました。もちろんファンドマネージャの実務はわからないのですが、大まかに「こんなことを気にしているのか」というのがわかったので、IRのコンサルティングをするのには十分な知識を得ることができました。


3.金融機関外では知名度がほぼゼロ:がっかり

独立後はIPOを考えているベンチャーのコンサルもしようと思っていたのですが、CFAという資格を知るベンチャー経営者は皆無であり、サービスの信用性を高める役にはまったく立っていません。ベンチャーでは会計士への信頼が高く、会計士を持ったCFOは多いのですが、アナリスト(CMAでもCFAでも)への理解は全然です。個人的には、会計士CFOはIPOまで頑張ってもらって、その後はアナリスト系CFOが引き継ぐというのが正しいと思っていますが、「アナリストって何?」という感じなので、この分野では当面会計士とU.S. CPAのほうが、CFAよりも有利でしょう。しかし、CFA取得後は予期せぬ部分でビジネスになっているので、CFAの認知度が現状のままでも特に問題ないです。


ということで、CFAは大変な試験ですが、それだけに意味もあるものだと思います。仕事も忙しいのに、最低3年もかかる試験の準備をするのは大変ですが、それだけの価値があるから皆さん頑張っているのだと思います。