たまにCFAかCPAか、という相談を受けることがあります。たしかに名称的にはFとPの違いでしかないので、迷うかも知れませんが、内容や取得後のキャリアの面では大きく異なると思います。当然資格の話なので、難易度とか資格取得後のキャリア、給与の話が出てきますが(つまり投資効果ですね)、自分のキャリアプランに基づいて考えるのが良いと思います。


結論から言うと、金融の道で食べていく、という覚悟ができている人はCFAでさらにオポチュニティーを広げるのが良いでしょう。一方、金融業界にこだわらず、転職(特に早いタイミングでの転職)の切り札にしたい人はCPAが良いでしょう。理由は以下の通りです。


1.合格までの期間

CPA:短期間で全科目合格できる可能性がある

CFA:どんなに知識・経験があっても、Level 1からLevel 3まで順に受験するため、最短でも2.5年かかる


ですから、「よしやるぞー」と思っても、CFAの資格をもらえるのはえらく先の話になりますので、来年転職したい、とか思っても、転職の切り札にはできません(Levelの合格は履歴書には書けるので、Level2に受かっていればプラスにはなると思います)。また、CFAはCPAのように試験頻度が高くないので、特にLevel2とLevel3に不合格になると、また同じ勉強をもう一年することになり、CFA取得まで5年ぐらいかかってしまうことになります。


ですから、CFA試験は金融の道へのコミットメントが高くなければやってられない試験です。CFA協会の立場で考えれば、それぐらいのコミットメントのある人に受験をしてほしい、ということでしょう。でも、これだけコミットメントの高い人でも不合格になってしまう試験なので、やはり楽なテストではないですね。


CPAも1年で全科目合格は大変でしょうが、可能性は存在するので、急ぎの方には良いでしょう。


2.認知度
CFAは金融機関ではリスペクトされる資格ですが、一歩金融から外に出ると、「それってなんかいいことあるの?(私の友人のベンチャー経営者のコメント)」という人の苦労を踏みにじるようなことを言われることすらあります。ですので、金融にこだわらず、事業会社、コンサルティングファームとかを転職先にするのであれば、CPAが良いでしょう。私が勤務していた事業会社の財務にもCPAはいましたし、コンサルティングファームでもCPA保有者はそこそこいました。私もビジネススクールを卒業後、転職活動をしていたときに、「USCPAは持ってないんですよね?」などと人材エージェントに言われたこともあったので(そんなもん別にいりませんけど、と言っておきましたが)、人材エージェントの世界でも有名でしょう(もちろん採用する側も知ってる)。ですから、金融外での転職の切り札なら、CPAです。


また認知度も高いので、受験生も多く、受験のリソースも日本語でばっちり存在する、という(好?)循環もありますね。


3.その他

CFAがCPAと比較して良いのは、①日本で受験可能(外人の数にびっくり)、②大卒なら専攻は何でもOK(単位がどうこう言われません)、ということこでしょうか。4年の職務経験が必要ですが、必ずしもアナリストだったり、ファンドマネージャである必要はなくて、ファイナンス関連であれば可です(審査あり)。私は、コンサルタント→財務→IR→起業して財務アドバイザーという感じですが、財務以降の経歴でOKでした。


CPAもCFAも両方持っている人もいるようですが、おそらくCFA→CPAという人はいないと思います。私も会計(というよりは財務諸表分析)は大好きですが、財務諸表を作ったり、監査したり、というのにはまったく興味がないので、CFAで十分です。