みなさま、こんいのー 照れ



自宅待機週間に入ったGWの4/28からはじまった、この妄想物語も、今日が最終回です。


いつも読みに来てくれたみなさま、本当にありがとうございました!


また、まとめ読みしてくれるみなさま、大変お疲れ様でした!








では、お話しの続きをどうぞ……キラキラ












#20

~ファンファーレ~







マンションの外に出ると雨が降っていた。



いつのまに………



マンションのひさしのある出口のすぐ横に、山田くんの赤い車が止まっていた。





私はドキドキしながら車に近寄った。





そっと助手席の窓から中を見ると、運転席にいる山田くんがおいでおいでと手招きしている。





…………ヤバイ!


…………もうかっこいい!





私は緊張のあまり震える手で、助手席のドアをそっと開けた。




私「……お願いします」




私はそう言うと、雨に濡れないように急いで乗り込んだ。





バタンッ





ドアを閉めると、一気に山田くんの香りに包まれた。




…………これ


…………山田くんの香り……


…………なんていい匂い


…………大人っぽくて甘くて……とろけそう…






本当はこの香りを深呼吸して、たくさんたくさん吸い込みたかった。けれど、そんなことをしたら自分がどうなってしまうのか…………!




なので、私は小さく深呼吸をした。




……………はぁ

……………体が震えるよ……










山「急に降ってきたね」



山田くんの一言で我に返った私。



私「……ホント、知らないうちに降ってたね。」




…………あっ




カバンやドアの内側を見ると少し雨で濡れていた。




私「……ごめん、車の中が濡れちゃった……」




私は慌ててハンカチを取り出すと、雨で濡れたカバンやドアの内側を拭いた。




山「車の中は濡れてもいいから気にしないで 笑」




必死に拭いている私に、山田くんは優しくそう言ってくれた。




私「ごめんね~」




だいたい拭き終わり、顔をあげて山田くんを見た。





……………あ





山田くんは髪から肩から……雨に濡れていた。




私「山田くん……すっごく濡れてる………」


山「あぁ、さっき雨ん中、車取りに走ったから 笑」


私「やだー風邪引いちゃうよ」




夏とはいえ、車の中は冷房が結構効いている。このまま濡れたままだと絶対に寒くなっちゃう。



私はカバンの中から、未使用のタオルを取り出した。




私「よかったら使って。……あ、このタオル使っていないやつだから、……といっても新品ではなくて、洗濯して何回も使ってる訳だけど……でも、今回は使っていないから!」



と、なんだか訳の分からない事を言って、山田くんにタオルを差し出した。




山「いいの?  ありがとう。貸してもらうね!」




山田くんはクスクスっと可愛く笑うと、私の差し出したタオルを両手で丁寧に受け取ってくれた。





…………よかった


…………断られたらどうしようかと思った…





山田くんは私のタオルを使って、肩や腕を軽くポンポンと拭いている。とっても遠慮がちに。





山「ありがとう。……って、濡れちゃったけど、このまま返しても大丈夫?」


私「えっ、駄目だよ~」


山「えっ……」


私「山田くん、ちゃんと髪も顔も拭かないと。一番濡れているよ。」


山「あ……いや、でも髪や顔まで拭いたら悪いでしょ。」


私「そんなこと全然気にしないで、拭いて拭いて。」


山「ありがとう 笑」




そう言うと山田くんはタオルを広げて、顔をポンポンと優しく拭く。そして、こんどは髪も軽く拭いた。


ひととおり拭き終ると、丁寧にタオルを畳んで、私に遠慮がちに差し出した。




山「ありがとう、スッキリした。やっぱり、洗って返そうか……?」


私「大丈夫だよ、はい。」




私は山田くんからタオルを受け取った。






……………ん? まてよ?


……………ヤバイ!


…………このタオル、山田くんのいろいろ…


…………ついてるんだ……!!!






私は急にタオルをもつ手が震えた。

そして、今すぐタオルを抱きしめたい衝動にかられたけれど、グッと抑制しカバンの中に大切にしまった。






…………あ、ぁ、なんて最高のお土産ができたの


…………家に帰ってからも山田くんの香りで


…………幸せになれる!










山「じゃ、駅に行くね」



私「……あ、うん」





山田くんはかっこよくシートベルトを締めると、エンジンをかけ車のライトをつけ、ワイパーを動かし、アクセルを踏み込み、ハンドルをきった。



その一連の動作がとにかくスマートでかっこよくて……





…………やっぱり好きになっちゃうよ……


…………でも……





私は真剣な眼差しで運転する山田くんのきれいな横顔を、横目でずっと見ていた。









車内には小さなボリュームで流れるラジオ音と、雨を拭き取るワイパーのゴムの音と、そして車体を叩く雨の音だけが、二人だけの空間を静かに包み込んでいた。




運転する山田くんの横顔は、車というアイテムで更に男らしさが倍増していて、苦しくなるほどのイケメンだった。






…………はぁ……しんどい


…………こんなに幸せな旅の最後なんて


…………信じられないくらい幸せ………







ただただ顔が緩んでしまう私は、このまま黙って静かにしていることが苦しくて、適当に話題を探した。




私は楽しかった海キャンプを振り返ってみて、他愛もない話をした。山田くんはその話に楽しそうについてきてくれた。












話が楽しかったから?

信号がことごとく青ですいすい来ちゃったから?

それとも、近道を通った?

じゃなくて、本当に駅はすぐ近くだった?






そんな風に疑いたくなるくらい、あっという間に駅に着いてしまった。









…………どうして、もう駅なの……


せっかく山田くんと二人きりになれたと思ったら、もうお別れの時が来てしまった………









山「結構早く着いたね。新幹線、何時だっけ?」



私は腕時計を見てみた。



私「あ………まだ30分以上ある……。でも、大丈夫。売店に寄ったりしていたらすぐだから。」


山「………そっか」


私「うん。ありがとう。」








…………やだやだやだ


…………本当はもっと一緒にいたい


…………本当はちゃんと嘘ついたこと話して


…………私の気持ち伝えて……








けれど、何となくタイミングを失った私は、もやもやした気持ちのまま、ぐっとカバンを持ち直した。


そして、車のドアに手をかけた。













山「待って……」




突然、山田くんに引き止められ、ドキッとした。

私はゆっくりと山田くんの方に向き直った。




私「………なに?」




山田くんは少しだけ困ったような顔をしている。
眉を八の字にして、上目使いで私を見る。




…………な、なに


…………か、かわいい





山「あのさ………………やっぱり連絡先、交換したいなって……………………ダメかな………」




山田くんは遠慮がちに、途切れ途切れに話した。





………………





私「……うん。私も交換したかった。」



山「え!本当!………いいの?」



私「うん」





今度こそ、このチャンスを逃したくない私は、すぐに返事をした。そして、急いでスマホをカバンから取り出した。



山田くんを見ると、嬉しそうにスマホを手に持って、私を見ていた。





山「彼氏がいるの分かってて、こんなこと言ってもいいのか悩んだけど……………よかった!」





………どうしよう。


………早くその事は嘘だって言わなきゃ…


………でもでも、まずは連絡先交換しよう!





私と山田くんはお互い向き合い、スマホを近付けあって連絡先の交換をした。




私「あ、来た 笑」


山「あ、俺も 笑」






………よかったー!


………これでまた、連絡できる!


………会えるチャンスも来るかもしれない!









山田くんがニコニコして話しかけてきた。



山「すぐ連絡してもいいかな?」



私「もちろん!私もするね!」



山「しつこく連絡するかもよ?」



私「へ?笑 いいよ!」



山「本当に? 」



私「うん  笑」



山「それって、俺にもチャンスありって思っちゃうよ ー 笑」



私「………」



山「ごめん、調子にのってちょっと言いすぎた……笑」





山田くんは舌をペロッと出して、可愛く笑う。






山田くんが私に彼氏がいると思い込んでいることに、だんだん胸が苦しくなってきた。







………私、山田くんのこと騙しているんだ……


………やだ………最低……


………ちゃんと言わなきゃ……









私は小さく深呼吸をして心を決めた。






私「あの……山田くん……………実は彼氏がいるって間違いなの………じゃなくて………嘘なの……」




山「………え?」




私「ごめんなさい!! 理由は聞かないで!とにかく私に彼氏はいません!」




山田くんの顔は見えない。
どんな顔しているのか怖くて見れない私は、ずっと下を向いていた。





山「…………そうなの?」



私「………うん」



山「…………本当?」



私「……うん」




…………………




山「よかったーー!じゃ、これで誰にも遠慮せず連絡出来るーー!」



山田くんの楽しそうな声につられて顔をあげると、目の前にはニコニコと屈託ない笑顔の山田くん。




…………よかった




私「………本当にごめんね。だから、遠慮せず連絡して。私もしつこいくらい連絡するから!笑」


山「おう!」






私の嘘はこれで解消した。

あとは…………






私「………山田くんは彼女……いないの……?」


山「俺?いない、いない  笑 」


私「みくちゃんと付き合ってる……とか……」


山「え? 付き合ってないよ 」


私「……そ、そっか。ごめんね変なこと聞いて……笑」


山「俺、今さ、気になる人いるから………」


私「…………」








………山田くんに告白するなら今かも



………勇気を出して!



………よしっ











山「あ、雨あがったね!」




山田くんが窓越しに空を見上げた。

少し上を向いたときの山田くんの横顔は、顎のラインが超絶美しすぎて、つい見とれてしまった。




山「ちょうど雨あがってよかったね!」


私「あ………うん。よかった。」


山「そろそろ時間だよね………。」


私「うん…………そろそろ……だね。」


山「………だね。」


私「うん………。楽しかった!ありがとう。」


山「うん。俺も。」







…………言えかなかった……


…………言わなくていいの?


…………どうしよう…







私は再度カバンを持ち直した。でも、言い残したことが、喉の奥に詰まったままだ。

私はもやもやしたままドアを開けようとした。





すると、バタンという音と共に、山田くんが運転席からいなくなった。





………え?






ガチャ




突然、助手席のドアが開いた。


驚いて外を見ると、そこにはドアを開けてくれている山田くんがいた。






………王子様……







山「どうぞ!笑」


私「びっくりした 笑」




私は山田くんにエスコートされるように車から降りた。





目の前に立つ山田くん。

山田くんは柔らかく微笑む。






………大好き………大好き……


………山田くん、大好きだよ……









山「気を付けてね。」


私「……うん。ありがとう。」


山「新幹線の中、一人で寂しくならない?」


私「どうかなぁ~、寂しくなるかなぁ~笑」


山「俺。すぐにメールするから 笑 しつこいくらい!」


私「ありがとう。楽しみに待ってる。」







山田くんがすっと手を差し出した。




…………え




私がどうしたらいいのか戸惑っていると、山田くんが私の手を取り優しく握った。




山「気を付けてね、の握手。」


そう言うと優しくギュッとする。


山「また会おうね、の握手」


また、優しくギュッとする。







山「それから………」







山田くんは私の手を握ったまま、じっと私を見た。








山「彼氏いるから、我慢してたけど………もういいよね………言っても………」




私「………え」




山「好き………になりました」




私「……………」







…………やだ


…………泣きそう…





涙が溢れる





私「…………」



山「…………」





山田くんが私の顔をのぞきこむ。


私は恥ずかしくて、手で涙を拭こうとしたけれど、片手に荷物、もう片手は山田くんに握られていて、涙が拭けない。






山「どうして………泣いてるの」






山田くんの甘くて優しい声に体が震える。







私はゆっくりと顔をあげると、美しい顔で私を見る山田くんをしっかりと見て言った。







私「……嬉しかったから……私も好きなの………」







すると、山田くんは繋いでいた手をそっと離すと、今度はきつく私を抱きしめた。






………………






山「……よかった。勇気だして言って……笑」









山田くんの胸の中にいれたのは、ほんの少しの間だったけれど、とてもとても長い時間に感じた………











本当はこのままずっと一緒にいたい気持ちでいっぱいだったけれど、私はそっと山田くんから離れた。





私「そろそろ行かなきゃ……」


山「………うん」


私「またすぐに会おうね。」


山「うん。俺、すぐに会いに行く。」


私「うん。………じゃあ、行くね……」








私は幸せな気持ちと、寂しい気持ちと、ごちゃ混ぜになりながら、新幹線へと急いだ。



















新幹線に乗り込んでから、ずっと私は手にスマホを握りしめている。

山田くんから本当に連絡が来るのか、期待していた。










ピロン



………あ


………来た!山田くんからだ!




私は嬉しくて嬉しくて、ドキドキしながらメールを開いた。








 無事に新幹線に乗れた?

もう会いたくてしかたないよ

本当、すぐに会いに行くから

今度会ったときは………

もっとたくさん抱きしめていいかな
 
好きがとまんない!



ヤベー!!

メールで恥ずかしいこと言った 笑












幸せ過ぎて苦しい!


そのあとも、ずっと山田くんからのメールは途絶えることなく、私が布団に入るときまで、ずっとずっと一緒にいてくれた…………

















The beginning on summer

もう誰にも止められやしない ………







end....















ウインク 最後までお付き合いありがとうございました。


そは主人公の、なんとも自己満足な妄想物語。書いててウハウハ楽しかったけど、読んでもらえる人には申し訳なく思ってここまで書き上げました。


しっかり自分に置き換えて、読んでいただけたでしょうか?





#ステイホーム週間
#おうちにいよう
#自粛生活に潤いを



お役に立てたでしょうか




では、また デレデレ




きのこそはきのこ