しゃべるの苦手 | Minahei

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ライター戸塚美奈のブログです。

しゃべるのが苦手で、ほんとに困る。

人前でしゃべるのは全くダメ。何回か会合で話さなければならない場面があったけれど、ことごとく失敗してきた。

詳細にメモをつくって何度も練習しても、人前に出ると全部忘れて頭真っ白になる。

夫に言わせると、それは単に準備が足りないだけ、と。彼は何か人前でしゃべる用事があると、推敲を重ねて原稿を書き、何度も何度も大きな声を出して読み、練習をして本番に備える。たいしたもんだ、と思う。

そういえば、村上春樹さんは、英語のスピーチのときは、完璧な原稿を作り、そして、その原稿をすべて完璧に暗記して、スピーチするという。素晴らしい。

そんなことできない。

何度も原稿を読み返すということは推敲することであり、読み返すたびに修正が入り、推敲は永遠に終わらないのであり。繰り返しの練習や暗記には耐えられない。

しっかりした原稿を準備しろ、ということか。

しかし。

このところ、これは努力が足りないせいももちろんあるが、私は、しゃべるときに、通常の人よりたくさん頭を働かせないと口から言葉が出てこないのだ、ということがわかってきた。

というのは、私ときたら、しゃべりながら、夫の世話ができないのだ。

介助をしながら、「今日さぁ~」なんてしゃべっていると、完全に手がお留守になる。話を始めると、ズボンを着替えるだけなのに全部脱がせてトイレにつれて行こうとしたりしてしまう。「何するの~?」「どこに行くの~!」と夫の心配そうな声ではっと我に返る。

最近では夫もあきれて、介助されているときは口をむすんでいる。私が何かしゃべろうとすると、「…集中してね♡」といさめてくる。そこまで言うか!とも思うけれど、手違いでこけたりしたら命にかかわるので、もっともなことだ。

しかし、しゃべらないでいると、つい、庭木の様子など観察して「ああ、そろそろ剪定しないとなぁ」なんて考え事していたりするから困ったモノだ。視線に気づくと夫がおびえているのがわかる。まぁでも、考え事は、しゃべるよりはましだ。私の場合。

 

夫の送迎をしてくれているドライバーYさんからおいしい玉ネギをいただいた。とても甘くて、サラダでおいしいので、それを伝えなくては!と思っていた。夫を乗せたり降りたりにはYさんも神経を使っているのがわかるので、意外と伝えるタイミングがないのだ。

それで今朝、車に夫を乗せるとき。私はしゃべりながらやると失敗するから、作業中は絶対に言ってはならない。作業が終わってから、さっと伝えよう。と思った。なんと言うかきっちり練習すれば、スマートに伝えられるハズ。

「玉ネギありがとうございました!甘くて、毎日サラダで食べてます!」と、その一言を頭で練習。Yさんの作業を見ながら頭の中で、言葉をリピート。自分もシートベルトをはめるのを手伝って、作業は完了。Yさんがリフトのボタンを押しているときに、「玉ネギありがとうございましたァ!もう甘くて毎日サラダでいただいてます!」

よし、言えたぞ。

「あ~、よかったです~!」とYさんがドアを閉めようとした瞬間。Yさん「カバン!」。

私は夫のカバンを背にシッカリしょったままだった。セリフの練習に気を取られて、車に乗った夫にカバンを持たせるのを忘れていた。

 

こういう人はどうしたらいいんでしょうか。しゃべるの危険。