前回は、「パートの壁」と「フルタイムの天井」という、働き方の“両端”にある現実を見てみました。

今回はその中でも、“もっと働きたいのに働けない”という人の声に、少し耳を傾けてみます。

週3パートで働く知人が言っていました。
「ほんとはもう少しシフトを増やしたい。でも、130万円を超えると社会保険に入らなきゃいけなくて、手取りが減るからね。」

こういう話、ほんとによく聞きます。

パートで働く人が意識する壁は、106万円・130万円、そして2025年からは所得税の160万円。

（※以前は「103万円のかべ」と呼ばれていましたが、2025年から制度が緩和されました。）

厚労省の試算によると、「もっと働きたい」と考えている人は就業者全体の6.4％ほど。
その多くが、年収200万円未満・週35時間未満で働く層だそうです。
つまり、“働く余力”はあるのに、制度の壁に足を止めている人が少なくないということ。

もしこの壁が少し動くだけで、「週３→週４」「1日5時間→6時間」という人が増えるかもしれません。

仮にもう少し働きたいと思っている人が1時間だけ多く働いたら――
それだけで社会全体で数十万人分の労働力になるのではないでしょうか？

一人の“1時間”は小さくても、集まればすごく大きな力。

「働きたい」を無理なく選べる社会、
そんな方向に近づけたらいいですね。

長井美奈枝（ながいみなえ）

ファイナンシャルプランナー
1970年生まれ。神奈川県川崎市在住。

銀行勤務14年を経て、2007年よりファイナンシャルプランナーとして独立。

金融知識だけでなく、暮らしに寄り添ったアドバイスを大切にしながら、

50代以上の女性を中心に、個別相談やライフプラン講座を行っています。

「お金に向きあうことで、これからの人生に安心を」
そんな思いを込めて、日々ブログを更新中。

「もう少し働けたらいいのに」って思うこと