「ぜんぶなんて無理。でも、”これだけ”と決めるのも、なんだかしっくりこない。」

――そんな感覚、暮らしの中で感じたことはありませんか？

たとえば、スーパーで調味料を選ぶとき。

醤油、ポン酢、ごまだれ…どれも気になるけれど、全部は使い切れないし、ひとつに決めるには迷いが残る。

スマホの料金プランも同じ。

通話、データ、家族割、WI-FI環境…条件が多すぎて、比べているうちに「何が自分に合っているかわからなくなる」

そんな時、私たちは「まあ、無難なやつにしておこう」と選ぶことも多いけれど、本当は”選べない”という感覚そのものが、もっと大事なヒントかもしれません。

投資も、実はそれに似ているんです。

選ばないという、選び方――インデックス投資という言葉を聞いたことがありますか？

これは、ざっくりいうと、「日経平均」や「S&P500」といった市場全体の動きに連動した投資信託を買う方法のこと。

株式を個別に選んで買うのではなく、あらかじめ決まったルール（指数）に沿って”広く分散”されたパッケージを買うようなイメージです。

つまり、「自分で全部選ばなくてもいい」という、日常に通じる考え方です。

なんとなく難しそう、と思っていた「世界の投資」が、この方法なら、自分の生活の延長線上に置ける。

知らないものを選ぶ不安から解放されると、不思議と「持っている」ことに対しての安心感が生まれます。

安心は”ひとつに絞らない”ことから始まる。

昔は「知っている企業の株式なら安心」と言われる時代がありました。

でも今は、知っている＝安心、とは言い切れません。

むしろ、ひとつの会社だけに頼ることのほうがリスクになることもあります。

だからこそ、「よく知らない国の、よく知らない会社」も含めて広く持っておく

そんな考え方が、これからの時代には必要なのかもしれません。

市場全体に緩やかに身をゆだねるようなインデックス投資は、ひとつだけに絞らないという安心感を与えてくれます。

投資は1本でもいい。でも、お金の”置き場”は分けておく

インデックス投資、特に「全世界株式（オルカン）」のような商品は、これ1本でも十分――そう感じられる安心感があります。

私自身も「運用先としてはこれ1本でもいい」と思っている派です。

でも、資産全体で考えると、”投資信託だけ”にはしないという意識を持っています。

たとえば――

・日々の生活費にすぐ使える預貯金

・中長期の備えとしての国債

・成長を緩やかに取り込むインデックスファンド

どれも違う”役割”を持っています。

お金の置き場所をいくつかに分けながら、少しだけ、生活の中に「世界とつながる仕組み」をつくる。

結果的に気持ちの安心につながるように思います。

長井美奈枝（ながいみなえ）

ファイナンシャルプランナー
1970年生まれ。神奈川県川崎市在住。

銀行勤務14年を経て、2007年よりファイナンシャルプランナーとして独立。

金融知識だけでなく、暮らしに寄り添ったアドバイスを大切にしながら、

50代以上の女性を中心に、個別相談やライフプラン講座を行っています。

「お金に向きあうことで、これからの人生に安心を」
そんな思いを込めて、日々ブログを更新中。

決めきれない。でも、それでいい。――インデックス投資という選び方