私の好きな作家さんの原作で、とても豪華なキャストのオムニバス三部作でした。

湊かなえ著「ムーンストーン」

三浦しをん著「炎」

角田光代著「平凡」

三人とも好きな女性作家です。

女性同士の友情の脆さや、女性ならではの葛藤や、妬み嫉みや、コンプレックスが描かれています。

湊かなえさんが描く女性の心の底に潜むどす黒さや、後味の悪さは秀逸です。

三作品を無理矢理繋ぐ、雷と三浦友和の演出は要らなかったと思います。

「ムーンストーン」は原作を読んでいたので、オチは分かっていました。

叙述トリックなので、嘘というより、読者(視聴者)への裏切りです。

それでも永作博美さんの絶望にうちひしがれた演技に引きこまれました。

「炎」は美しい嘘などではなく、卑怯で残忍な仕打ちで、救いがありません。

土屋太鳳さんの顔の丸さと、門脇麦さんの色気と美しさに目を奪われました。

真っ赤なルージュと赤いマニキュアには、何か意味があったのでしょうか。

炎を連想させたかったのか、意志の強さを表現さたのか。

「平凡」は原作とは違う展開のようです。

焼死した松山大介と、教育実習生だった横山先生は別人で繋がりはなく、ハッピーエンドと解釈します。

鈴木京香さんの演じる平凡なパート主婦は、リアリティがないのにグッときます。

この作品が一番感慨深かったです。

もしもあの時~だったら、違う人と、違う人生があったかも。

地味で退屈で平凡な人生と、派手で華やかで波瀾万丈な人生は、どちらが幸せなのか。

自分にとっての平凡は、他人から見たら非日常なのかもしれない。

隣の芝生は青く見えるものです。

つい比べてしまいますし、憧れてしまいます。

腐るくらいのど平凡こそ、かけがえのない幸せ、と思えるようになりたいです。

今ない何かを追い求めるのではなく、今あるものに感謝していきます☆