"誰…?"

そこにはすらっと背が高い青年が立っていた。
その目に光はなく、無表情で彼女を見下ろしていた。

"あなた、誰…"なの?
言い終わる前に青年は困ったように笑い目を閉じると口を開いた。
何を言ったかは聞こえなかった、まるでスローモーション。青年はくるりと向きを変えるとゆっくりと向こう側へ歩きだした。

"あ、待って!ちょっと待って!

行かないで!お願い!"


わけもわからず必死で追いかけた。
なぜか涙がでた。空中に涙のしずくが漂う。
青年はゆっくり歩いているのにもかかわらず、進むのはとても速く彼女は追いつけなかった。

はぁはぁ…
立ち止まって肩で息をする。遠くに見える青年は少し笑ったようにみえた。
彼女は天を仰ぐ、涙が頬を伝った。


そこで記憶は途切れたーーー