土曜に聴きに行ったクラシックコンサートは、
とんでもなく心が震える音だった。


NHK交響楽団と言えば、誰もが知ってる、一度は耳にしたことのある楽団ではないでしょうか。
そんな楽団をバックにして、バイオリニスとやチェリスト、テノールにソプラノ歌手、ピアニストの実力者たちが楽曲を奏でる。

あんなに一つに調和した音は、滅多にない。

特に心に残っているのは、ピアノの楽曲。
3楽章の構成で、1と3は変化に富んだワクワクするような曲調。
その真ん中で呼吸する2楽章は、静けさの中に潜む色々な表情を鮮明に印象付けてくれる。

どこまでも広がる風になびく草原に、朝日の眩しさ。
小鳥のさえずりと温まってゆく空気、陽の光。
夕暮れに染まる空と暗やみの静けさ。
そこに瞬く星と月。

私の目の前には、そんな情景がありありと浮かんでいた。

どんな背景で作られた作品なのかはわからなかったけれど
私の目には、確かにそんな風景が見えていたのです。

涙が流れそうでした。





会いたくて
だから少しでも近づきたくて
だけど途方もなく小さな可能性で
でもゼロではなくて

だからあの場所に
出かけてみようと思った
ここよりも近い あの場所に

少しでも近づければ
それでも嬉しくて
近くなんだと思えることで
心が軽くなる気がして
だから
限りなくゼロに近い可能性を胸にして
私はあの場所に足を向けるんだ

今日は静岡へ出張。
今、新幹線に乗っています。

ふと、3年と数ヶ月前の日々を思い出しました。
あの頃私は、何度この新幹線に乗っただろうって。
父に会うために。
父の最期の日々を一緒に過ごすために。


毎週金曜日。
仕事が終わると夕暮れ時の空を背に、
もしかしたらその空に向かっていたのかもしれないけれど…
キャリーバッグをコロコロ鳴らしながら、
足早に、昼間の熱気を残した道を歩いてたあの頃。
夜へと暮れてゆく空を見つめながら揺られてたあの頃。
着く頃には暗く、人気のないホームに降り立っては言いようのない物悲しい気持ちになってたあの頃。
乗客のほとんどいないバスに乗り換えて、目的地のある高台までの長く感じる道のりを登ったあの頃。

綺麗で静かなその場所が
父の最期の場所だった。

私は今、3年と数ヶ月ぶりに同じホームに降りようとしている。
最期の日、もう降りることはないだろうと思った、その場所に。
別の目的で降りようとしている。


がんばろうと思った。
何があるわけではないけど、とにかくがんばろうって、そう思ったんだ。