先週土曜日から始まった『コールドケース』の第2シリーズ『コールドケース2 』。
第2シリーズの第1話は、第1シーズンの第1話(以後、「1-1話」と言う)で、主人公:リリー・ラッシュがまだ迷宮入り事件を扱う担当ではなく、通常の殺人事件を扱っていたときに途中まで担当だった事件だった。

ということで、今日再度1-1話と今回のエピソードを連続で鑑賞した。

1-1話の冒頭が今回のエピソードとなる事件。
バッドランズと呼ばれるアフリカ系アメリカ人が住む地域でチキン・リブ・レストランを営んでいたデラとトムのリンカーン夫妻、そして従業員の少年デレク。
地域の若者たちや救済が必要な人たちに手を差し伸べていたデラとトムの店は常に満員だった。
しかし、ある日、3人は残忍な殺され方をしてしまう。
この事件の捜査を担当したのが、リリーと同僚のヴェラ。
しかし、リリーが途中から未解決事件の担当となったため、捜査はヴェラが引き継ぐ。

ここまでが、1-1話で明かされる事件概要。

今回のエピソードはこの事件の予備審問で幕を開ける。
1年経ち、犯人が逮捕され、予備審問が行われている法廷にリリーと同僚で殺されたデラとトムの旧友でもあった同僚のジェフリーズが行くと、ヴェラが証言をしている最中だった。
しかし、ここで逮捕した犯人が10キロ離れた別の店で強盗をしていた証拠が弁護側から提示されたことで、誤認逮捕であったことが発覚。
事件は再調査することとなる。

地域の中心だった店が1軒なくなってしまったせいで、すっかりすさんでしまったバッドランズ。

なかでも、ギャングたちの力関係も変わり、デレクの親友だったジョエルが仕切るようになっているのは忍びなかった。
デレクとジョエルだけはその環境から抜け出そう、と真面目に2人で考えていたのに。

さらに、ジョエルは、再捜査のさなか、殺人事件を起こしてしまう。
そんなジョエルに、自分もデレクのような親友と救い出してくれた恩人がいたから、こうして生きているのだ、犯罪は悪の限りを尽くした終点だと諭す同じバッドランズ出身のジェフリーズ。
今のジョエルにとって、かつてのデラのような存在がジェフリーズなのだ。
ジョエルもジェフリーズの言葉に心を動かされたようだったし、これからまたやり直してくれることと信じたい。

そして、他にもデラがずっと気にかけていた彼氏からDVを受けていたウェイトレスのタイラー、そして、精神的に不安定なウエイターのフランク。
タイラーは相変わらずDVを受けていた彼氏と一緒だし、フランクはホームレスになってしまっていた。

デラとトムの存在は、この地域には大きな存在であったことを改めて気付かされる。

そんな中、1人更生していたのは、デレクの兄トレー。
薬物依存症であったが、更生施設に入り、そこで勧められ入隊。
かつての姿が別人のようになっていた。

周囲の人のすさみように比べ、弟を失ったのに、1人更生し、冷静なのはなぜ?と思って見ていたのだが、その理由が発覚。

彼が真犯人だったのだ。

彼の薬物依存がひどかったため、デラはデレクを更生するまで預かることとし、兄トレーには更生するまで戻らないように伝えたにもかかわらず、お金が欲しかったがために、デラとトムの店に再度戻って来たトレー。
お金を盗もうとしたのを弟デレクに止められ、その騒動を聞きつけたトムを撃ち、さらにデラを銃撃。
弟に彼らをトイレに運ぶのを手伝わさせるが、デレクは助けを呼ぶ、と兄に訴える。
しかし、兄は自分の保身のため、それを許さない。
その時点でデラの息がまだあったため、デレクは彼らは家族なのに、といったことでトレーの感情を逆撫でしてしまう。
「おまえの家族は俺だ!」
そう言うと、兄のことを大好きなのに、と訴える弟を射殺する。

大好きだと目の前で涙ながらに訴える弟を混乱していたからとはいえ、射殺するなんて、そんなことどうしてできるのだろうか?
しかも、それを自分から償おうとせず、逮捕されるまで自分の人生を生きようとしていたとは、どうしても私には理解出来ない。
さらに、デラも、デレクのことを更生させようとしてくれていた。
自分を救ってくれようとしていた人をどうして手にかけることができるのだろう。

昨今日本で起こっている事件のことを考えても、親子関係がうまくいかなかったり、地域社会が昔のように機能していないことによって引き起こされる事件が多い。
特に今回は、今回はデラとトムの店があったときと失った後を見ることができ、改めて地域社会の重要性を考えさせられるエピソードだった。

しかし、それで物語は終わらない。
最後にはまた地域社会に一筋の光が差す。

トムとデラの一人娘ノーラは、事件当時、大学院に通っている優秀な子だった。
彼女は再調査が開始されたことから事件のあと初めて店に入り、事件当時そのままの大量の血痕など生々しい傷跡を見てしまい、店を売りに出すことにしていた。
しかし、事件が解決した後、彼女は店を開き、当時のウェイターだったフランクも呼び戻す。
盛況の店内を訪れるリリーとジェフリーズ。
ジェフリーズにはトムとデラが笑いかけ、リリーはデレクの姿を見る。
この店はきっとかつて両親と同じように、ノーラがこの地域の心臓部分にしてくれることだろう、そんな風に温かくなれるラストだった。

今回は2003年と比較的新しい事件だったコールドケース。
注目の音楽も聞き覚えのある曲が多かった。
次回はうって変わって60年前の事件のようだ。
どんな曲が聞けるのかな?
それも楽しみである。

やっと帰って来た『コールドケース2』。
毎週の楽しみがまた増えて嬉しい限りである。