今週も何とも言えない結末だった。
ある殺人事件の現場に呼ばれたラッシュたち。
被害者クリーマンは、過去に迷宮入りになった殺人事件の被害者であるヴァネッサの所持品や写真を集めているコレクターだった。
ヴァネッサは、大統領選のボランティアをしていたが、パーティの日に殺害される。
あまりにも仲良すぎる姉アビーと弟デビット・レイク。
弟は今や下院議員にまで上り詰めた。
しかし、この兄妹は兄妹を超える関係であり、それを知ってしまったヴァネッサとクリーマン。
二人に秘密を知られたからと言って、姉アビーが2人の殺人を自供し、逮捕される。
本当の真実は違うのに。。。
ヴァネッサを殺害したのは、本当は当時ヴァネッサと交際していたデビットだったのだ。
しかし、姉は弟をかばって刑務所に入り、弟は姉に罪を負わせてそのまま政治活動を続けた。
アビーが逮捕されるのを悲しげに見つめるヴァネッサ。
自分が愛した人に殺されるだけでもやるせないだろうに、その罪を本人は認めてもくれなかったのだから。。。
そんなヴァネッサの幻影を刹那そうに見つめるリリー。
リリーのやるせなさが伝わってきた印象的なラストだった。
さて、今回は、ストーリーもさることながら、以下の2点も注目してみた。
まずは、下院議員であるデビットに疑いの目を向け、捜査を進めていたところ、上層部から邪魔が入って、結局、デビットが真犯人であったに捜査も満足にできなかったこと。
政治家が絡むと、どこの国でも圧力がかかるものなのだろうか?
本当の真実がそこにあるのに、アメリカでもフィラデルフィア市警程度では、政治家は、踏み込んではいけない領域なのだろう。
日本でも同様のことが起こったら、最初は多分圧力がかかるのだろう。
政治家は、国を良くするために選ばれたはず。
でも、人間である以上、過ちは起こす。
国のためを思ったら過ちを潔く認めるような人が政治家であるべきではないのだろうか?
また、もう1点は、デビットがオフレコであることを条件に真実を語り出す場面。
リリーの相棒であるスコッティ・バレンズが上からの圧力で姉が犯人ということで幕を引こうとしているのに納得がいかず、デビットのところに直接押しかけて、こう切り出すのだ。
「君はロースクールの出身だろ?だったら、黙秘権の説明なしに話したことは証拠にならないということは分かっているはずだ。」
この言葉を聞き、デビットはヴァネッサの死の真実を語り出す。
黙秘権は、人種差別のせいで正当な裁判が受けられなかった黒人たちが戦って勝ち取った、あの有名な「ミランダ判決」で得られた人権の1つだ。
よくドラマで、「君には黙秘権がある。弁護士を付ける事も出来る。弁護士を付ける費用がなければ国選弁護士を雇うことができる」と言っている、あれだ。
(日本でもこのミランダ判決がベースとなっている。)
しかし、今回はそれを逆手にとって、スコッティはオフレコとした。
権利を言わなければ、正当な手続きとは認められないということだろう。
なるほど、そういう手があるのか、と感心した反面、そこに真実があって、判明しているのに証拠として採用できないなんて、、、とやるせなさも感じた。
刑事事件の現場の奥深さを垣間見られたエピソードだった。
しかし、見終わった私の心は複雑であった。。。
今回は、リリーとカイトがうまくいったので、それだけは救いだった。
<コールドケース 迷宮事件簿> http://www.wowow.co.jp/drama/cold/contents.html