データ形式
ワープロソフトや表計算ソフトなどのアプリケーションソフトを使って、データを保存するときの記憶方式をデータ形式という。
一般的に、アプリケーションソフトは独自のデータ形式で保存するために、他のアプリケーションソフトでは読み書きすることができない。これをデータに互換性がないという。
データをやり取りしたい場合は、アプリケーションソフトやOSに依存しない共通のデータ形式(共通フォーマット)で保存する必要がある。
文書データの共通フォーマット
種類 特徴
テキスト形式 文字コードと改行コードのみで構成されるデータ形式。文字を扱うほとんどのアプリケーションで読み書きできる。
CSV形式 文字、数値データをカンマで区切り、レコード間は改行で区切って記録する。文字データは引用府でくくることが多い。
PDF Webや電子メールで閲覧や配布によく使用される電子文書の形式で、配信先と配信元のハードウェアやアプリケーションの違いをほとんど意識せずに、画像を含むオリジナル文書の体裁を再現できる。
マルチメディアデータ
音声データや静止画、動画などのマルチメディアデータをデジタル化すると、膨大なデータ量になるため、データのサイズを小さくすることが必要になる。ある決まりにしたがって、データのサイズを小さくすることを圧縮といい、逆にもとに復元することを伸張または、解凍と呼ぶ。
データ圧縮技術には、圧縮したデータを完全に復元できる可逆圧縮方式と、完全には復元できない不可逆圧縮方式がある。
たとえ完全に復元できなくても、利用者にとって許容範囲や認知限界以下であれば使うことができる。
種類 特徴
BMP(ビットマップ) Windows標準の静止画像形式。フルカラー(16,777,216色)を扱えるが、基本的には圧縮されていない。壁紙などに使われる。
GIF(ジフ) 静止画像の圧縮形式。可逆圧縮。256色までしか扱えないので、イラストやアイコンなどの圧縮に使われる。
PNG(ピング) 静止画像の圧縮形式、可逆圧縮。フルカラーの写真などを劣化なしで圧縮できる。
JPEG(ジェーペグ) 国際規格になっている静止画像の圧縮形式。不可逆圧縮。フルカラーで圧縮率が高いため、写真などの圧縮に使われる。
MPEG(エムペグ) 国際規格になっているカラー動画の圧縮方式。不可逆圧縮。MPEG-1は
Video CD、MPEG-2はデジタル放送やDVD-Video、MPEG-4はインターネット配信や携帯電話で使われる。
MP3(エムピースリー) ISOで規格化されたデジタル動画データの音声部分の圧縮規格の一つで、インターネット上での音楽データ配信やポータブルプレイヤーでも利用されている。
MIDI(ミディ) コンピュータとシンセサイザなどの電子楽器を接続して、音色や音の高さなどの演奏データのやり取りを行う規格。
アナログとデジタル
音声などのように連続的に変化する情報をアナログ情報といい、連続するアナログ情報を細かく区切って"0"と"1"に置き換えた不連続的な情報をデジタル情報という。
これは、アナログ時計とデジタル時計のイメージと同じ。デジタル時計では、"1秒"の次は"2秒"が表示されるが、アナログ時計では、"1秒"と"2秒"の間でも秒針が連続的に動いている。
コンピュータの内部では、例えば、"電流が流れている"と"流れていない"、"ON"と"OFF"などの2つの異なる状態を"0"と"1"に対応させて表現している。
PCM(Pulse Code Modulation)は、音声のアナログ信号をデジタル信号に変換する方法の一つ。まず、連続したアナログ信号をある一定時間ごとにサンプルを採る。これを標本化(サンプリング)という。サンプリング周波数が11kHzとは、1秒間に11,000回サンプルを採るという意味。次に、標準化したデータを決められたビット数の整数値に変換する。これを量子化といい、デジタル信号として記録する。サンプリング周期が短く、量子化の段階数(例えば、ビット数が8ビットの場合は28=256段階)が多いほど元の音に近くなる。
さらに得られた整数値を1と0の2進数に変換し、一定の方式で並べることを符号化という。
マルチメディア
ハイパメディアは、文字や静止画、動画、音声、音楽などで表現された情報同士をリンクさせ、そのリンクをたどって次々と関連情報に到達できるようにしたもの。
マルチメディアオーサリングツールは、画像、音声、文字などの素材を画面上で組み合わせて、マルチメディアコンテンツをつくるためのツール。
キャプチャカードは、ビデオデッキなどの映像機器から、映像をデジタルデータとしてコンピュータの中に取り込む装置。
ストリーミングは、データをダウンロードしながら同時に再生できる技術。これにより、動画や音声をリアルタイムに配信することができる。
コンピュータグラフィックス(CG:Computer Graphics)は、コンピュータを使って画像を処理、生成する技術、またその画像をいう。
バーチャルリアリティ(VR:Virtual Reality)は、コンピュータで模倣した物体や空間を、コンピュータグラフィックスなどを使用して実際の世界のように知覚できるようにすること。
アーカイブ
記憶媒体の有効利用やバックアップ、配布などの効率化を目的として、複数のファイルを一つにまとめる処理。
いろいろなシステム構成
処理形態や利用形態から、コンピュータシステムの構成を分類できる。
それぞれ特徴があるので、システム構築時には、目的にあったシステム構成を選択する。
処理形態
代表的な処理形態に、集中処理と分散処理などがある。
集中処理は、1台のホストコンピュータに複数の端末を接続し、ホストコンピュータに集中して処理させる形態。
分散処理は、複数のコンピュータを接続し、分散して処理する形態。
集中処理と分散処理の比較
集中処理は、一部の装置の故障がシステムの停止につながることが多いのに対し、分散処理は、障害の影響範囲を局所化できる。
集中処理は、機能の拡張や業務量の増大に対応したシステムの拡張が困難であるのに対し、分散処理は新技術に対応した拡張が容易である。
集中処理は、センタに集中して対策することによって、機密保持やセキュリティの確保、運用管理が容易になるのに対し、分散処理は複雑になることが多い。
システム構成
2組のシステムを用意して、信頼性を高めるシステム構成がある。
デュプレックスシステム
2組のシステムで構成され、一方のシステムが正常に機能しているときに、他方のシステムが待機状態にある。
デュプレックスシステムには、コールドスタンバイシステムとホットスタンバイシステムがある。
コールドスタンバイは、現用系(現在動作しているシステム)に障害が発生したときは、待機系で実行していた処理を中断し、代わりに現用系で実行していたオンライン処理プログラムを起動して切り替えて、処理を実行する。
ホットスタンバイは、現用系に障害が発生したときは、現用系と同じオンライン処理プログラムをあらかじめ起動している待機系に速やかに切り替えて、処理を実行する。
まとめると、"障害が発生してからオンライン処理プログラムを起動する"のか、"障害が発生する前にあらかじめオンライン処理プログラムを起動しておく"のかが、"コールド"と"ホット"の違い。
デュアルシステム
2組のシステムで構成され、同じ処理を行い、処理結果を照合することで処理の正しさを確認している。
どちらかのシステムに障害が発生した場合は、切り離して処理を続行する。
高信頼性が要求されるシステム構成に適用される。
クラスタシステムとグリッドコンピューティング
複数のコンピュータを連携させ、あたかの一つのシステムのように利用できる形態がある。
クラスタシステムは、システムの一部のコンピュータで障害が発生した場合は、他のコンピュータに処理を肩代わりさせるもの。
グリッドコンピューティングは、処理能力に余裕のある複数のコンピュータを連携させて、処理能力の高いシステムを作り出すもの。
CPUパワーをかき集めて、スーパーコンピュータ並みのシステムを作り出そうとするイメージ。
バックアップサイト
システムが稼働不能になった際のバックアップ体制も考えておく必要がある。
災害などを考慮して、稼働しているシステムとは別の場所にバックアップ用のサイトを設置する。
ホットサイト
待機系サイトとして稼働させ、ネットワークを介して常時データやプログラムの更新を行い、障害発生時に速やかに業務を再開する。
ウォームサイト
予備のサイトにハードウェアを用意して、定期的にデータやプログラムを搬入して保管しておき、障害発生時にはこれら保管物を活用してシステムを復元し、業務を再開する。
コールドサイト
予備のサイトをあらかじめ確保しておいて、障害発生時には必要なハードウェア、データやプログラムを持ち込み、業務を再開する。
障害発生時から復旧までの時間が短い順
ホットサイト、ウォームサイト、コールドサイト
BCPとBCM
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、災害やシステム障害など予期せぬ事態が発生した場合でも、重要な業務の継続を可能とするために事前に策定される行動計画のこと。
災害を想定したBCPを策定する場合に行うビジネスインパクト分析では、業務が停止した場合の影響などを分析し、許容される最大停止時間などを決定する。
BCPを策定し、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)で維持・向上を図るマネジメント活動をBCM(Business Continuity Management:事業継続管理)という。
利用形態
代表的な利用形態に、バッチ処理やオンラインリアルタイム処理などがある。
バッチ処理
データを一定期間あるいは一定量をまとめて処理する形態。
例えば、給与計算、マークシート答案の採点 など
オンラインリアルタイム処理
ネットワークを通じて端末から処理要求を受け付け、即時に処理して結果を返す形態。
オンライントランザクション処理とも呼ばれている。
例えば、銀行のATM、チケットの予約 など
対話型処理
対話型処理は、ユーザが、ディスプレイ上に表示されたアイコンを選択したり、キーボードからコマンドを入力することによって、コンピュータと情報のやり取りを行い、人間の判断を加えながら処理する形態。
クライアントサーバシステム
最近は、複数のコンピュータをネットワーク化し、プリンタなどのハードウェア資源を共有したり、データベースを一元管理してデータを共有したりすることが一般的になった。
クライアントサーバシステムは、プリンタやデータベース管理などのサービスを提供するサーバと、要求するクライアントの2種類のコンピュータで構成されている分散処理の形態で、今日では最も普及している形態となっている。
サーバは、"どのようなサービスを提供するのか"によって、ファイルサーバやプリンタサーバ、データベースサーバなどと呼び分けられる。
インターネットの世界ではWebサーバ、メールサーバなどがある。
名前を見れば"どのようなサービスを提供しているか"がわかる。
ファイルサーバやプリンタサーバなどのようにサーバが専用化されている場合は、比較的容易に個々のサーバの性能を向上させることができる。
主なサーバも種類と機能
ファイルサーバ…ファイルを共有する機能を提供するサーバ。文書や表計算ソフトのひな形(テンプレート)の配布・更新などに使われる。
プリントサーバ…プリンタを共有する機能を提供するサーバ
データベースサーバ…データベースを一元管理し、クライアントからの問い合わせに対して処理を実行するサーバ
Webサーバ(WWWサーバ)…Webページなどを格納し、管理するサーバ
メールサーバ…電子メールの送受信を管理するサーバ
ピアツーピア
ピアツーピアは、ネットワークに接続されているコンピュータ同士が、それぞれのもつデータなどの資源をお互いに対等な関係で利用する形態。
シンクライアントシステム
会社の机の上に置いてあったPCの盗難や、社外に持ち出したノートPCの盗難・置き忘れ、USBメモリに保存して持ち帰ったデータの紛失などによる情報漏えいのニュースが絶えない。これらの対策として登場したのが、シンクライアントシステム。
シンクライアントシステムは、クライアント側であるPCの機能を最小限にしたシステム。
機能は、キー入力や画面出力を行うユーザインタフェースと通信インタフェースなどに限られている。thinには、「薄い」という意味があり、極力機能をもっていないというイメージ。
サーバ側でアプリケーションやデータを管理するので、セキュリティが強化できるメリットがある。
サーバの仮想化技術
サーバの仮想化は、1台のコンピュータ上で複数の仮想的なサーバを動作させるための技術。
それぞれの仮想サーバに別のOSやアプリケーションを動作させることができる。
複数台のサーバをまとめることで、サーバ費用を削減でき、管理対象のサーバ台数が減るので運用コストを削減することができるなどのメリットがある。
ブレードサーバとラックマウントサーバ
ブレードザーバは、CPUやメモリ、ハードウェアなどのコンピュータの主要部品を1枚の基盤上に実装し、複数枚を同一筐体内に差し込んで使うサーバ。
従来のサーバが個別に備える電源装置や外部インタフェースなどをサーバ間で共有し、高密度化、省スペース化を実現している。
大容量のデータを扱うデータセンターなどでは、ラックマウントサーバが使用されている。高さ5cm弱の薄型サーバで、サーバラックと呼ばれる収納棚にサーバを積み重ねるように設置して使用する。
省スペースで大量のサーバを設置することができる。
NAS(Network Attached Storage)
LANに直接接続される記憶装置で、ファイルサーバとして利用される。
ネットワークプロトコルにTCP/IPを用いているため、異なるOSの複数のコンピュータでファイルを共有することができる。
システムの性能評価
コンピュータAとコンピュータBのどちらが良いかを評価するには、評価する指標が必要になる。
スループット(Throughput)
コンピュータシステムによって単位時間あたりに処理される仕事量という。
ターンアラウンドタイム(Turnaround Time)
コンピュータシステムに対して一連の仕事をコンピュータに依頼してから、完全な処理結果を受け取るまでにかかる時間をいう。
レスポンスタイム(Response Time)
コンピュータシステムに対して処理の実行を指示してから、利用者端末に最初の処理結果のメッセージが出始めるまでの時間をいう。応答時間ともいう。
ターンアラウンドタイムとレスポンスタイムの違い
両方とも、コンピュータシステムに処理を依頼してから、結果を受け取るまでも時間のことで、区別しにくい。
ポイントは、処理の依頼にも、処理結果の応答にも時間がかかること。
処理依頼ーー→処理ーー→処理応答
→ → → →
依 依 応 応
頼 頼 答 答
開 終 開 終
始 了 始 了
←レスポンスタイム→
←ーーターンアラウンドタイムーー→
ベンチマークテスト
ベンチマークテスト(Benchmark Test)は、測定用のソフトウェアを実行し、システムの処理性能を数値化して、他の製品と比較する。
SPEC(Standard Performance Evaluation Corporation)は、ベンチマーク(指標)の標準化を目的として設立された非営利の業界団体で、整数演算を評価するSPECintなど、目的に応じた様々なベンチマークソフトを提供している。
システムの信頼性
機械は故障した場合、修理して再び使う。コンピュータシステムも同じ。
故障して使えない時間が短いほど、システムの信頼性は高いとえる。
この観点から考えられたシステムの信頼性を評価する指標として、平均故障間隔と平均修復時間、稼働率がある。
平均故障間隔(MTBF:Mean Time Between Failures)
その名のとおり、故障と故障のあいだ、つまり稼働している平均時間。
平均故障間隔が長いほど信頼性が高いといえる。
平均修復時間(MTTR:Mean Time To Repair)
その名のとおり、修理している時間の平均時間。
平均修復時間が短いほど保守性が高いといえる。
稼働率
その名のとおり、システムが正常に稼働している割合。
次のしきで求まる。
平均故障間隔 MTBF
稼働率 = ーーーーーーーーーーーーー = ーーーーーーー
平均故障間隔+平均修復時間 MTBF+MTTR
直列システムと並列システムの稼働率
複数の装置で構成されているシステムの稼働率には、直列システムと並列システムがある。
直列システムの稼働率
直列システムでは、一方の装置が稼働しなくなると、全システムが稼働しなくなる。
システム全体が稼働するのは、両方の装置とも稼働しているときだけ。
直列システムの稼働率は、"稼働率A×稼働率B"で求まる。
並列システムの稼働率
並列システムでは、一方の装置が稼働しなくなっても、他方の装置は稼働し続ける。
システム全体が稼働するのは、少なくとも一方の装置が稼働しているとき。
逆に言えば、両方の装置が稼働していない場合以外は、システム全体が稼働している状態であるといえる。
並列システムの稼働率は、"1-(1-稼働率A)×(1-稼働率B)"で求まる。
バスタブ曲線
各装置の故障率と時間の関係をグラフにすると、一般にバスタブのような曲線を描く。その形から、バスタブ曲線と呼ばれている。
①初期故障期間:初期導入時には設計・製造のバグ(誤り)などにより、故障率が高くなる。
②偶発故障期間:初期故障のバグを修正し、故障率がほぼ一定し安定してくる。
③摩耗故障期間:時間が経つにつれて、摩耗などにより故障率が高くなる。
予防保守
予防保守は、定期的にシステムをメンテナンスし、故障の前兆をとらえて部品を交換すること。
システムの予防保守は、MTBFを長くするために行う。
信頼性設計
信頼性の向上を目的とした信頼性設計の考え方に、フォールトアボイダンス(故障排除技術)とフォールトトレランス(耐故障技術)がある。
フォールトアボイダンスは、構成部品の信頼性を高めて、故障が起きないようにする技術で、故障を排除するという考え方。
フォールトトレランスは、システムを構成する重要部品を多重化するなどして故障に備える技術で、あらかじめ故障を想定しておき、故障してもシステムを動かし続けるという考え方。
フェールセーフ
システムの一部が故障したとき、システム全体に致命的な影響を与えないように、あらかじめ定めた安全な状態に移行する。
故障したときは、安全性重視という考え方。
例えば、作業範囲への人の立ち入りを検知するセンサの故障が疑われる場合、ロボットアームを強制的に停止させる。
フェールソフト
システムの一部が故障したとき、機能を低下させてもシステムの運転を継続する。
故障したときは、継続重視という考え方。
例えば、専用回路に障害が発生した場合、すぐに公衆回線に切り替え、システムの処理能力が低下しても処理を実行する。
フールプルーフ
不特定多数の人が操作しても、誤作動が起こりにくいように設計する。
意図していない操作をしても故障しないという考え方。
例えば、数字入力フィールドに数字以外のものが入力された場合、システムから警告メッセージを出力して正しい入力を要求する。
信頼性設計の例
信号は故障を感知すると赤信号のままとなる。これはフェールセーフ。
公衆電話は、停電時でも硬貨なら通話はできる。これはフェールソフト。
電子レンジは動作中に扉を開けると動作が止まる。これはフールプルーフ。
ネットワークの構成
職場のネットワークは、LAN(ラン)(Local Area Network)やWAN(ワン)(Wide Area Network)で構成されている。最近は、自宅でもLANを構築している人が多くなっている。
LANは、同じ建物の中など、比較的狭い範囲内のコンピュータ間で高速通信を実現するネットワーク。
WANは遠隔地にあるコンピュータ間やLAN同士を接続したネットワーク。
インターネットは"ネットワークのネットワーク"といわれるように、世界最大規模のWANといえる。
ネットワークの構成要素
ルータ
LANやWANを相互接続する装置で、受信データのIPアドレスを解析して経路選択や中継を行う。
ADSLやFTTHなどの高速な回線で使うルータをブロードバンドルータといい、無線に対応したルータもある。
LAN間接続装置
ルータの他に、LANを相互に接続する装置がある。
リピータは、ケーブル上の電気信号を再生して中継することで、LANケーブルを延長する。受信データは、すべてのコンピュータに転送する。
ブリッジは、受信データのMACアドレスを解析して宛先のコンピュータに転送する。
ハブ
コンピュータから接続されているLANケーブルを束ねる集線装置で、接続口である複数のLANポートを備えている。
ハブは、リピータハブとスイッチングハブがある。
リピータハブは、受信データをすべてのLANポートに転送してリピータとして機能する。
スイッチングハブは、受信データを宛先MACアドレスが存在するLANポートだけに転送し、ブリッジとして機能する。
ネットワークインタフェースカード(NIC:Network Interface Card)
伝送媒体とコンピュータを接続する装置で、LANアダプタともいう。
LANボードやLANカードなどがあり、無線に対応したものもある。
最近は、PCに内蔵されていることが多い。
MACアドレス
MACアドレスは各ネットワーク機器に割り振られた固有のアドレスのこと。
IEEE(米国電気電子技術者協会)が製造メーカ番号を管理し、各製造メーカは一意となる製造番号を製造時に割り振っているため、世界で一意の番号となっている。
MACアドレスはLANボードなどのNIC(Network Interface Card)にあらかじめ割り当てられており、ユーザは変更できない。
LANケーブル
ルータとハブ、ハブとコンピュータなどを接続するケーブル。
PLC
PLCとは、電力線通信ともいい、電力配線を通じてLAN接続する方式。
PLCアタプタは、電力と通信用信号の重ね合わせや分離を行う。
LANの規格
LANの規格は、IEEE(米国電気電子技術者協会)が決めており、有線LANはIEEE802.3、無線LANはIEEE802.11として規格化されている。
データ伝送速度は理論上、有線LANで100Mbpsや1Gbps、最新の無線LAN規格のIEEE802.11nで最大600Mbps。
データ伝送速度の単位である"bps(bits per second)"は、1秒あたりに転送できるビット数を表す。
無線LAN
無線LANは赤外線や電波を利用しているので、有線LANのようにLANケーブルを敷設する必要がなく、信号が届く範囲であれば自由な位置にPCを配置することができる。
その反面、無線LANは情報漏えいや盗聴の危険性があるので、暗号化や接続を許可するPCのMACアドレスを事前に登録しておく(Macアドレスフィルタリング)などのセキュリティ対策が必要になる。
無線LANでは、接続先のネットワークを識別するためにSSIDを用いる。
最大32文字までの英数字を設定し、PCとネットワークのアクセスポイントのSSIDが一致すれば、通信できるようになっている。
複数のアクセスポイントを設置したネットワークに対しても使用できるように拡張したものがESSID。
セキュリティ対策のため、ESSIDを隠してPC上のアクセスポイント一覧に表示されないようにするステルスモードを使用することも推奨される。
Wi-Fi
Wi-Fi(ワイファイ)(Wireless Fidelity)は、IEEE802.11に準拠した無線LAN装置の互換性を検証するWi-Fi Allianceという業界団体が付けたブランド名。
ロゴの認定を受けた無線LAN装置は、「お互い無線でつながるよ」という意味になる。
パケット(Packet)
インターネットやLANで標準的なプロトコルとして利用されているTCP/IPでは、データを小さなデータに分割して、送信する。
この小さく分割したデータをパケットという。
パケットには小包という意味があり、小包(データ)に送付状(ヘッダ情報)が付加されているイメージ。
ヘッダ情報には、送信元IPアドレスや送信先IPアドレス、送信元ポート番号、送信先ポート番号などの情報がある。
大きなデータをそのまま送信すると、そのデータだけで回線が占有されてしまう。エラーが発生した場合、大きなデータを再び送信しなければならない。
パケットに分割して送信すれば、エラーのパケットだけを再び送信すればよく、回線上のトラフィックを軽減することができる。
パケットごとに別の回線を利用することもできるので、回線の利用効率が良くなるというメリットがある。
VoIP
VoIP(Voice over IP)は、音声データをパケット化し、リアルタイムに送受信する技術。IP電話やLANを用いた社内電話などに応用され、通信コストを下げることができる。
通信プロトコル
日本語を話す人とフランス語を話す人とでは、会話が成立しない。そこで、お互いに英語を通して会話することにした。このように、共通の言葉で会話が行われれば、誰とでも意思の疎通ができる。
コンピュータの世界でも同じ。情報の発信側と受信側で情報をうまく伝達するためには、共通する規則に従ってやり取りする必要がある。
通信上の約束事をプロトコルという。
共通のプロトコルを使えば、メーカが異なってもつなげることができる。
プロトコル
プロトコルとは、もともとの意味は「外交儀礼」。
他の国との円滑な交流やトラブル防止のための約束事=プロトコルが、通信用語としては他の層との円滑なデータのやり取りのための約束事という意味として使われる。
TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)
TCP/IPは、インターネットで広く使われているプロトコル体系で、その名のとおり、TCPとIPという2つのプロトコルを中心として構成されている。
インターネットの前身といわれるARPANETで採用され、インターネット普及にともなって世界的に普及した。
現在はインターネットのみならずLANにおいても採用されている。
このように市場原理によって最も多くのユーザを獲得し、事実上の標準となったものをデファクトスタンダードという。「みんなが使っているので、事実上の標準になっている」という意味。
TCP/IPの体系
アプリケーション層…HTTP, FTP, TELNET, SMTP, POP など
トランスポート層…TCP, UDP
インターネット層…IP
ネットワークインターフェース層…PPP, イーサネット など
各種プロトコル
TCP/IPは複数のプロトコルから構成されている。
HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)
WebサーバとWebブラウザ間でデータを送受信するときに使われるプロトコル。
FTP(File Transfer Protocol)
ファイル転送するときに使われるプロトコル。
WebページをWebサーバにアップロードする(クライアント→サーバ)ときや、アプリケーションをダウンロードする(サーバ→クライアント)ときに使われている。
不特定多数の利用者が自由にファイル転送を行えるようにした仕組みにanoonymous FTPがある。anonymous(アノニマス)には、「匿名」という意味がある。
Telnet(テルネット)
遠隔地にあるコンピュータを操作するときに使われるプロトコル。
遠隔地のコンピュータがあたかも目の前にあるかのように操作できる。
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)
メールを送信・配送するときに使われるプロトコル。
POP(ポップ)(Post Office Protocol)
メールを受信するときに使われるプロトコル。
POPとIMAP
電子メールを受信するプロトコルとして、POPのほかにIMAP(アイマップ)(Internet Message Access Protocol)というプロトコルがある。
POPは、メールをユーザのPCにダウンロードしてから、メールを読んだり、削除や振り分け、検索などを行う。
IMAPは、メールをダウンロードせず、サーバ側にメールが保存され、サーバにあるメールを読んだり、削除・振り分け、検索などをすることができる。
会社や自宅で、異なるPCからアクセスしても、未読・既読の情報が保たれる。
NTP(Network Time Protocol)
ネットワークに接続されている機器間で時刻を同期させるプロトコル。
IPアドレス
インターネットやLANなどのTCP/IPネットワークに接続されているコンピュータやネットワーク機器には、IPアドレスと呼ばれる一意の(重複しない)番号が割り振られている。
これは、家の電話や携帯電話に世界で一つしかない電話番号や携帯番号が割り振られているのと同じイメージ。
重複しないから相手を一つに特定できるということ。
IPアドレスは、2進数32ビットで表現されている。
2進数の羅列はとても見にくいので、表記する場合はまず8ビットずつに分ける。
8ビット単位でそれぞれ10進数に変換する。
最後は".(ドット)"で区切る。
IPアドレスは、"219.101.198.4"のように表記される。
ドメイン名
"219.101.198.4"は技術評論社のWWWサーバに割り振られたIPアドレス。
10進数で少しは見やすくなったが、人間にとっては数字の羅列はまだまだ分かりにくい。
そこで、IPアドレスに対応するアルファベットと数字、一部の記号で別名を付けるようにしている。これがドメイン名(ホスト名)。
DNS(Domain Name System)サーバ
DNSサーバは、コンピュータに分かりやすいIPアドレスと、人間に分かりやすいドメイン名を関連づけるサーバ。
グローバルアドレスとプライベートアドレス
IPアドレスには、グローバルアドレス(グローバルIPアドレス)とプライベートアドレス(プライベートIPアドレス)がある。
インターネットに接続する場合、世界で一意であるグローバルアドレスを割り当てる。これは、NIC(Network Information Center:アドレス発行期間)が発行する、世界中で重複のないアドレス。
LANなどのローカルなネットワークでは、プライベートアドレスを割り当てる。NICに申請しなくても組織内で一意であれば、決められた範囲内でシステム管理者が自由に割り当てることができる。
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)
LAN内のPCの台数が多くなると、1台1台に重複しないIPアドレスを付与することは大変な作業になる。
DHCPは、PCからの要求によって動的にIPアドレスを割り当てることで、IPアドレスの管理が効率的にできるプロトコル。
DHCPを利用する場合、PC側では"IPアドレスを自動的に取得する"に設定する。
IPアドレスの枯渇
現在広く利用されている、IPアドレスを32ビットで表現するIPv4(Internet Protocol Version 4)では、表現可能なアドレス数は約43億(=232)。
当初はこれで十分足りると考えたが、インターネットの急速な普及により、とうとう新規に割り当てることができるIPv4のIPアドレスはなくなってしまった。IPアドレスも石油と同じで限りある資源ということ。
そこで、IPアドレスを128ビットまで拡張するIPv6(Internet Protocol Version 6)への移行や、NATやNAPTなど、32ビットのIPアドレスの有効利用の技術が進められている。
NAT(Network Address Translation)
一般的に、LANのPCにはプライベートアドレスが割り振られている。
インターネットを利用する場合、グローバルアドレスが必要になる。
プライベートアドレスとグローバルアドレスの相互変換をする技術がNAT(ナット)。
NATは、グローバルアドレスとプライベートアドレスを1対1に対応させる。
NAPT(Network Address Port Translation)
NAPTは、1個のグローバルアドレスで複数台のPCを同時にインターネットにアクセスさせることができる技術。
IPマスカレードとも呼ばれている。
IPアドレスの他に動的にポート番号を対応させることで認識している。
NAPTは、グローバルアドレスとプライベートアドレスを1対複数に対応させ、グローバルアドレスを有効に使用する。
一般的に、NATやNAPTは、ルータに備えられている。
ポート番号
IPアドレスで通信相手のコンピュータを一意に特定することができる。
通信相手のコンピュータは、複数の通信サービス(アプリケーションソフトウェア)が稼働しているので、さらに"どの通信サービスとやり取りするのか"というところまで指定しなければならない。
通信サービスの指定は、サービスごとに設定されている0から65,535までのポート番号によって行う。
インターネット上の通信サービスを利用する際にはポート番号も必要で、HTTP(80番)、FTP(20番・21番)、SMTP(25番)、POP3(110番)などのよく使われるサービスはあらかじめ番号が決められている。
普段は陰に隠れた存在だが、ポート番号はIPアドレスとペアで用いられる重要な番号。
ブロードバンド
ブロードバンドには、広帯域という意味がある。
道路で例えると、車線が多く幅の広い高速道路を、たくさんの車がスイスイと走行できる状態。
通常、ブロードバンドはADSLやFTTH、CATVなどによるインターネットをいい、高速・大容量が特徴。
ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)
ADSLは、アナログ電話とデータ通信とで使用する周波数帯域を分けることによって両者の同時利用を可能としている。
ADSLのA(Asymmetric)には「非対称」という意味があり、上り方向(利用者→インターネット)より下り方向(インターネット→利用者)の方が通信速度は速くなっている。
通信速度は下りで数Mbps~数十Mbps。
アナログ電話網を使って比較的簡単に導入でき、データ通信が高速という利点があるが、伝送距離が短いので、電話局(収容局)から遠い場合は導入できなかったり、導入できたとしても通信速度が遅くなったりする欠点もある。
スプリッタは、データ用の高周波の信号と音声用の低周波の信号を分離・合成する装置。
ADSLモデムは、通信回線上のアナログ信号とPCのデジタル信号との相互交換を行う。
FTTH(Fiber To The Home)
各家庭まで光ファイバを施設し、電話やインターネット、テレビなどと統合したインターネットサービス。
FTTHはADSLに比べて高速で安定した通信が行える。
最近は、通信速度100Mbpsを超えるものもある。
CATV(Community Antenna TeleVision)
CATVは、テレビ放送用のCATV(ケーブルテレビ)の回線を利用したインターネットサービス。
ADSLと同じく非対称で下りの方が速くなっており、通信速度は数Mbps~数十Mbps。
利用できる人は、CATV局のサービス地域に限定される。
PBX
PBX(Private Branch eXchange)は、公衆電話回線と内線電話機との接続、及び内線電話同士の接続を行う装置。
コンピュータがPBXと連携して、電話やFAXに対して自動応答をしたり、最適な着信者に振り分けたりする技術をCTI(Computer Telephony Integration)という。
電子メール(E-mail)
メールアドレスは、例えば、"xyz@abc.co.jp"のように、"@"をはさんで2つの部分に分かれる。
"@"の左側がユーザ名(ユーザID)で、右側がドメイン名(ホスト名)。
はがきで例えると、ドメイン名が"宛先の住所"、ユーザ名が"宛先の氏名"にあたるイメージ。
メールアドレスは、ドメインの中で一意になるようにユーザ名を付ける必要がある。
MIME(Multipurpose Internet Mail Extension)
MIME(マイム)は、電子メールで送信できるデータ形式として、テキスト(文字)だけでなく、音声や画像などのマルチメディア情報を取り扱えるようにする規格。
同報メール
通常、メールソフトでメールを送信する場合、送信先のメールアドレスは"TO"に入力するが、同じメールを複数人に送信したい場合は"CC"や"BCC"にメールアドレスを入力する。同報メールと呼ばれる機能。
CC(Carbon Copy)で送信した場合、入力したメールアドレスは他の送信相手全員に表示される。したがって、お互い誰が同じメールを受信したのかがわかってしまうので注意が必要。
例えば、取引先へのメール内容を上司にも見てもらいたいとき、CCで送信すれば、取引先は上司も同じメールを読んでいることがわかる。
BCC(Blind Carbon Copy)で送信した場合、入力したメールアドレスは他の送信相手には表示されない。したがって、お互いに誰が同じメールを受信したのかがわからない。
例えば、新製品情報を複数の取引先に一度に知らせたいとき、BCCで送信すれば、取引先はお互いのメールアドレスを知ることはない。
メーリングリストは、あらかじめ登録されているメンバーに同報メールを送信することができるサービス。
スパムメール
スパムメールは、不特定多数の人に対して広告や勧誘が目的で、受信者の意向とは無関係に短時間のうちに大量に送られるメールのこと。場合によってはメールサーバのダウンにもつながる恐れがある。
チェーンメール
チェーンメールは、不幸の手紙のように、送られてきたメールと同じ内容のメールを不特定多数の人に転送するような指示が書き込んであるメール。
特定電子メール法
スパムメールやチェーンメール対策の法律として、特定電子メール法がある。
特定電子メールとは、広告や宣伝など営利目的で送信される電子メールのこと。
特定電子メールの送信者は、メールの送信に際し、あらかじめ受信者の承諾を得ておく必要がある(オプトインメール)。また、メールの中に送信者の名称や、受信拒否の連絡用の送信者アドレスを表示することが義務付けられている。
ワープロソフトや表計算ソフトなどのアプリケーションソフトを使って、データを保存するときの記憶方式をデータ形式という。
一般的に、アプリケーションソフトは独自のデータ形式で保存するために、他のアプリケーションソフトでは読み書きすることができない。これをデータに互換性がないという。
データをやり取りしたい場合は、アプリケーションソフトやOSに依存しない共通のデータ形式(共通フォーマット)で保存する必要がある。
文書データの共通フォーマット
種類 特徴
テキスト形式 文字コードと改行コードのみで構成されるデータ形式。文字を扱うほとんどのアプリケーションで読み書きできる。
CSV形式 文字、数値データをカンマで区切り、レコード間は改行で区切って記録する。文字データは引用府でくくることが多い。
PDF Webや電子メールで閲覧や配布によく使用される電子文書の形式で、配信先と配信元のハードウェアやアプリケーションの違いをほとんど意識せずに、画像を含むオリジナル文書の体裁を再現できる。
マルチメディアデータ
音声データや静止画、動画などのマルチメディアデータをデジタル化すると、膨大なデータ量になるため、データのサイズを小さくすることが必要になる。ある決まりにしたがって、データのサイズを小さくすることを圧縮といい、逆にもとに復元することを伸張または、解凍と呼ぶ。
データ圧縮技術には、圧縮したデータを完全に復元できる可逆圧縮方式と、完全には復元できない不可逆圧縮方式がある。
たとえ完全に復元できなくても、利用者にとって許容範囲や認知限界以下であれば使うことができる。
種類 特徴
BMP(ビットマップ) Windows標準の静止画像形式。フルカラー(16,777,216色)を扱えるが、基本的には圧縮されていない。壁紙などに使われる。
GIF(ジフ) 静止画像の圧縮形式。可逆圧縮。256色までしか扱えないので、イラストやアイコンなどの圧縮に使われる。
PNG(ピング) 静止画像の圧縮形式、可逆圧縮。フルカラーの写真などを劣化なしで圧縮できる。
JPEG(ジェーペグ) 国際規格になっている静止画像の圧縮形式。不可逆圧縮。フルカラーで圧縮率が高いため、写真などの圧縮に使われる。
MPEG(エムペグ) 国際規格になっているカラー動画の圧縮方式。不可逆圧縮。MPEG-1は
Video CD、MPEG-2はデジタル放送やDVD-Video、MPEG-4はインターネット配信や携帯電話で使われる。
MP3(エムピースリー) ISOで規格化されたデジタル動画データの音声部分の圧縮規格の一つで、インターネット上での音楽データ配信やポータブルプレイヤーでも利用されている。
MIDI(ミディ) コンピュータとシンセサイザなどの電子楽器を接続して、音色や音の高さなどの演奏データのやり取りを行う規格。
アナログとデジタル
音声などのように連続的に変化する情報をアナログ情報といい、連続するアナログ情報を細かく区切って"0"と"1"に置き換えた不連続的な情報をデジタル情報という。
これは、アナログ時計とデジタル時計のイメージと同じ。デジタル時計では、"1秒"の次は"2秒"が表示されるが、アナログ時計では、"1秒"と"2秒"の間でも秒針が連続的に動いている。
コンピュータの内部では、例えば、"電流が流れている"と"流れていない"、"ON"と"OFF"などの2つの異なる状態を"0"と"1"に対応させて表現している。
PCM(Pulse Code Modulation)は、音声のアナログ信号をデジタル信号に変換する方法の一つ。まず、連続したアナログ信号をある一定時間ごとにサンプルを採る。これを標本化(サンプリング)という。サンプリング周波数が11kHzとは、1秒間に11,000回サンプルを採るという意味。次に、標準化したデータを決められたビット数の整数値に変換する。これを量子化といい、デジタル信号として記録する。サンプリング周期が短く、量子化の段階数(例えば、ビット数が8ビットの場合は28=256段階)が多いほど元の音に近くなる。
さらに得られた整数値を1と0の2進数に変換し、一定の方式で並べることを符号化という。
マルチメディア
ハイパメディアは、文字や静止画、動画、音声、音楽などで表現された情報同士をリンクさせ、そのリンクをたどって次々と関連情報に到達できるようにしたもの。
マルチメディアオーサリングツールは、画像、音声、文字などの素材を画面上で組み合わせて、マルチメディアコンテンツをつくるためのツール。
キャプチャカードは、ビデオデッキなどの映像機器から、映像をデジタルデータとしてコンピュータの中に取り込む装置。
ストリーミングは、データをダウンロードしながら同時に再生できる技術。これにより、動画や音声をリアルタイムに配信することができる。
コンピュータグラフィックス(CG:Computer Graphics)は、コンピュータを使って画像を処理、生成する技術、またその画像をいう。
バーチャルリアリティ(VR:Virtual Reality)は、コンピュータで模倣した物体や空間を、コンピュータグラフィックスなどを使用して実際の世界のように知覚できるようにすること。
アーカイブ
記憶媒体の有効利用やバックアップ、配布などの効率化を目的として、複数のファイルを一つにまとめる処理。
いろいろなシステム構成
処理形態や利用形態から、コンピュータシステムの構成を分類できる。
それぞれ特徴があるので、システム構築時には、目的にあったシステム構成を選択する。
処理形態
代表的な処理形態に、集中処理と分散処理などがある。
集中処理は、1台のホストコンピュータに複数の端末を接続し、ホストコンピュータに集中して処理させる形態。
分散処理は、複数のコンピュータを接続し、分散して処理する形態。
集中処理と分散処理の比較
集中処理は、一部の装置の故障がシステムの停止につながることが多いのに対し、分散処理は、障害の影響範囲を局所化できる。
集中処理は、機能の拡張や業務量の増大に対応したシステムの拡張が困難であるのに対し、分散処理は新技術に対応した拡張が容易である。
集中処理は、センタに集中して対策することによって、機密保持やセキュリティの確保、運用管理が容易になるのに対し、分散処理は複雑になることが多い。
システム構成
2組のシステムを用意して、信頼性を高めるシステム構成がある。
デュプレックスシステム
2組のシステムで構成され、一方のシステムが正常に機能しているときに、他方のシステムが待機状態にある。
デュプレックスシステムには、コールドスタンバイシステムとホットスタンバイシステムがある。
コールドスタンバイは、現用系(現在動作しているシステム)に障害が発生したときは、待機系で実行していた処理を中断し、代わりに現用系で実行していたオンライン処理プログラムを起動して切り替えて、処理を実行する。
ホットスタンバイは、現用系に障害が発生したときは、現用系と同じオンライン処理プログラムをあらかじめ起動している待機系に速やかに切り替えて、処理を実行する。
まとめると、"障害が発生してからオンライン処理プログラムを起動する"のか、"障害が発生する前にあらかじめオンライン処理プログラムを起動しておく"のかが、"コールド"と"ホット"の違い。
デュアルシステム
2組のシステムで構成され、同じ処理を行い、処理結果を照合することで処理の正しさを確認している。
どちらかのシステムに障害が発生した場合は、切り離して処理を続行する。
高信頼性が要求されるシステム構成に適用される。
クラスタシステムとグリッドコンピューティング
複数のコンピュータを連携させ、あたかの一つのシステムのように利用できる形態がある。
クラスタシステムは、システムの一部のコンピュータで障害が発生した場合は、他のコンピュータに処理を肩代わりさせるもの。
グリッドコンピューティングは、処理能力に余裕のある複数のコンピュータを連携させて、処理能力の高いシステムを作り出すもの。
CPUパワーをかき集めて、スーパーコンピュータ並みのシステムを作り出そうとするイメージ。
バックアップサイト
システムが稼働不能になった際のバックアップ体制も考えておく必要がある。
災害などを考慮して、稼働しているシステムとは別の場所にバックアップ用のサイトを設置する。
ホットサイト
待機系サイトとして稼働させ、ネットワークを介して常時データやプログラムの更新を行い、障害発生時に速やかに業務を再開する。
ウォームサイト
予備のサイトにハードウェアを用意して、定期的にデータやプログラムを搬入して保管しておき、障害発生時にはこれら保管物を活用してシステムを復元し、業務を再開する。
コールドサイト
予備のサイトをあらかじめ確保しておいて、障害発生時には必要なハードウェア、データやプログラムを持ち込み、業務を再開する。
障害発生時から復旧までの時間が短い順
ホットサイト、ウォームサイト、コールドサイト
BCPとBCM
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、災害やシステム障害など予期せぬ事態が発生した場合でも、重要な業務の継続を可能とするために事前に策定される行動計画のこと。
災害を想定したBCPを策定する場合に行うビジネスインパクト分析では、業務が停止した場合の影響などを分析し、許容される最大停止時間などを決定する。
BCPを策定し、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)で維持・向上を図るマネジメント活動をBCM(Business Continuity Management:事業継続管理)という。
利用形態
代表的な利用形態に、バッチ処理やオンラインリアルタイム処理などがある。
バッチ処理
データを一定期間あるいは一定量をまとめて処理する形態。
例えば、給与計算、マークシート答案の採点 など
オンラインリアルタイム処理
ネットワークを通じて端末から処理要求を受け付け、即時に処理して結果を返す形態。
オンライントランザクション処理とも呼ばれている。
例えば、銀行のATM、チケットの予約 など
対話型処理
対話型処理は、ユーザが、ディスプレイ上に表示されたアイコンを選択したり、キーボードからコマンドを入力することによって、コンピュータと情報のやり取りを行い、人間の判断を加えながら処理する形態。
クライアントサーバシステム
最近は、複数のコンピュータをネットワーク化し、プリンタなどのハードウェア資源を共有したり、データベースを一元管理してデータを共有したりすることが一般的になった。
クライアントサーバシステムは、プリンタやデータベース管理などのサービスを提供するサーバと、要求するクライアントの2種類のコンピュータで構成されている分散処理の形態で、今日では最も普及している形態となっている。
サーバは、"どのようなサービスを提供するのか"によって、ファイルサーバやプリンタサーバ、データベースサーバなどと呼び分けられる。
インターネットの世界ではWebサーバ、メールサーバなどがある。
名前を見れば"どのようなサービスを提供しているか"がわかる。
ファイルサーバやプリンタサーバなどのようにサーバが専用化されている場合は、比較的容易に個々のサーバの性能を向上させることができる。
主なサーバも種類と機能
ファイルサーバ…ファイルを共有する機能を提供するサーバ。文書や表計算ソフトのひな形(テンプレート)の配布・更新などに使われる。
プリントサーバ…プリンタを共有する機能を提供するサーバ
データベースサーバ…データベースを一元管理し、クライアントからの問い合わせに対して処理を実行するサーバ
Webサーバ(WWWサーバ)…Webページなどを格納し、管理するサーバ
メールサーバ…電子メールの送受信を管理するサーバ
ピアツーピア
ピアツーピアは、ネットワークに接続されているコンピュータ同士が、それぞれのもつデータなどの資源をお互いに対等な関係で利用する形態。
シンクライアントシステム
会社の机の上に置いてあったPCの盗難や、社外に持ち出したノートPCの盗難・置き忘れ、USBメモリに保存して持ち帰ったデータの紛失などによる情報漏えいのニュースが絶えない。これらの対策として登場したのが、シンクライアントシステム。
シンクライアントシステムは、クライアント側であるPCの機能を最小限にしたシステム。
機能は、キー入力や画面出力を行うユーザインタフェースと通信インタフェースなどに限られている。thinには、「薄い」という意味があり、極力機能をもっていないというイメージ。
サーバ側でアプリケーションやデータを管理するので、セキュリティが強化できるメリットがある。
サーバの仮想化技術
サーバの仮想化は、1台のコンピュータ上で複数の仮想的なサーバを動作させるための技術。
それぞれの仮想サーバに別のOSやアプリケーションを動作させることができる。
複数台のサーバをまとめることで、サーバ費用を削減でき、管理対象のサーバ台数が減るので運用コストを削減することができるなどのメリットがある。
ブレードサーバとラックマウントサーバ
ブレードザーバは、CPUやメモリ、ハードウェアなどのコンピュータの主要部品を1枚の基盤上に実装し、複数枚を同一筐体内に差し込んで使うサーバ。
従来のサーバが個別に備える電源装置や外部インタフェースなどをサーバ間で共有し、高密度化、省スペース化を実現している。
大容量のデータを扱うデータセンターなどでは、ラックマウントサーバが使用されている。高さ5cm弱の薄型サーバで、サーバラックと呼ばれる収納棚にサーバを積み重ねるように設置して使用する。
省スペースで大量のサーバを設置することができる。
NAS(Network Attached Storage)
LANに直接接続される記憶装置で、ファイルサーバとして利用される。
ネットワークプロトコルにTCP/IPを用いているため、異なるOSの複数のコンピュータでファイルを共有することができる。
システムの性能評価
コンピュータAとコンピュータBのどちらが良いかを評価するには、評価する指標が必要になる。
スループット(Throughput)
コンピュータシステムによって単位時間あたりに処理される仕事量という。
ターンアラウンドタイム(Turnaround Time)
コンピュータシステムに対して一連の仕事をコンピュータに依頼してから、完全な処理結果を受け取るまでにかかる時間をいう。
レスポンスタイム(Response Time)
コンピュータシステムに対して処理の実行を指示してから、利用者端末に最初の処理結果のメッセージが出始めるまでの時間をいう。応答時間ともいう。
ターンアラウンドタイムとレスポンスタイムの違い
両方とも、コンピュータシステムに処理を依頼してから、結果を受け取るまでも時間のことで、区別しにくい。
ポイントは、処理の依頼にも、処理結果の応答にも時間がかかること。
処理依頼ーー→処理ーー→処理応答
→ → → →
依 依 応 応
頼 頼 答 答
開 終 開 終
始 了 始 了
←レスポンスタイム→
←ーーターンアラウンドタイムーー→
ベンチマークテスト
ベンチマークテスト(Benchmark Test)は、測定用のソフトウェアを実行し、システムの処理性能を数値化して、他の製品と比較する。
SPEC(Standard Performance Evaluation Corporation)は、ベンチマーク(指標)の標準化を目的として設立された非営利の業界団体で、整数演算を評価するSPECintなど、目的に応じた様々なベンチマークソフトを提供している。
システムの信頼性
機械は故障した場合、修理して再び使う。コンピュータシステムも同じ。
故障して使えない時間が短いほど、システムの信頼性は高いとえる。
この観点から考えられたシステムの信頼性を評価する指標として、平均故障間隔と平均修復時間、稼働率がある。
平均故障間隔(MTBF:Mean Time Between Failures)
その名のとおり、故障と故障のあいだ、つまり稼働している平均時間。
平均故障間隔が長いほど信頼性が高いといえる。
平均修復時間(MTTR:Mean Time To Repair)
その名のとおり、修理している時間の平均時間。
平均修復時間が短いほど保守性が高いといえる。
稼働率
その名のとおり、システムが正常に稼働している割合。
次のしきで求まる。
平均故障間隔 MTBF
稼働率 = ーーーーーーーーーーーーー = ーーーーーーー
平均故障間隔+平均修復時間 MTBF+MTTR
直列システムと並列システムの稼働率
複数の装置で構成されているシステムの稼働率には、直列システムと並列システムがある。
直列システムの稼働率
直列システムでは、一方の装置が稼働しなくなると、全システムが稼働しなくなる。
システム全体が稼働するのは、両方の装置とも稼働しているときだけ。
直列システムの稼働率は、"稼働率A×稼働率B"で求まる。
並列システムの稼働率
並列システムでは、一方の装置が稼働しなくなっても、他方の装置は稼働し続ける。
システム全体が稼働するのは、少なくとも一方の装置が稼働しているとき。
逆に言えば、両方の装置が稼働していない場合以外は、システム全体が稼働している状態であるといえる。
並列システムの稼働率は、"1-(1-稼働率A)×(1-稼働率B)"で求まる。
バスタブ曲線
各装置の故障率と時間の関係をグラフにすると、一般にバスタブのような曲線を描く。その形から、バスタブ曲線と呼ばれている。
①初期故障期間:初期導入時には設計・製造のバグ(誤り)などにより、故障率が高くなる。
②偶発故障期間:初期故障のバグを修正し、故障率がほぼ一定し安定してくる。
③摩耗故障期間:時間が経つにつれて、摩耗などにより故障率が高くなる。
予防保守
予防保守は、定期的にシステムをメンテナンスし、故障の前兆をとらえて部品を交換すること。
システムの予防保守は、MTBFを長くするために行う。
信頼性設計
信頼性の向上を目的とした信頼性設計の考え方に、フォールトアボイダンス(故障排除技術)とフォールトトレランス(耐故障技術)がある。
フォールトアボイダンスは、構成部品の信頼性を高めて、故障が起きないようにする技術で、故障を排除するという考え方。
フォールトトレランスは、システムを構成する重要部品を多重化するなどして故障に備える技術で、あらかじめ故障を想定しておき、故障してもシステムを動かし続けるという考え方。
フェールセーフ
システムの一部が故障したとき、システム全体に致命的な影響を与えないように、あらかじめ定めた安全な状態に移行する。
故障したときは、安全性重視という考え方。
例えば、作業範囲への人の立ち入りを検知するセンサの故障が疑われる場合、ロボットアームを強制的に停止させる。
フェールソフト
システムの一部が故障したとき、機能を低下させてもシステムの運転を継続する。
故障したときは、継続重視という考え方。
例えば、専用回路に障害が発生した場合、すぐに公衆回線に切り替え、システムの処理能力が低下しても処理を実行する。
フールプルーフ
不特定多数の人が操作しても、誤作動が起こりにくいように設計する。
意図していない操作をしても故障しないという考え方。
例えば、数字入力フィールドに数字以外のものが入力された場合、システムから警告メッセージを出力して正しい入力を要求する。
信頼性設計の例
信号は故障を感知すると赤信号のままとなる。これはフェールセーフ。
公衆電話は、停電時でも硬貨なら通話はできる。これはフェールソフト。
電子レンジは動作中に扉を開けると動作が止まる。これはフールプルーフ。
ネットワークの構成
職場のネットワークは、LAN(ラン)(Local Area Network)やWAN(ワン)(Wide Area Network)で構成されている。最近は、自宅でもLANを構築している人が多くなっている。
LANは、同じ建物の中など、比較的狭い範囲内のコンピュータ間で高速通信を実現するネットワーク。
WANは遠隔地にあるコンピュータ間やLAN同士を接続したネットワーク。
インターネットは"ネットワークのネットワーク"といわれるように、世界最大規模のWANといえる。
ネットワークの構成要素
ルータ
LANやWANを相互接続する装置で、受信データのIPアドレスを解析して経路選択や中継を行う。
ADSLやFTTHなどの高速な回線で使うルータをブロードバンドルータといい、無線に対応したルータもある。
LAN間接続装置
ルータの他に、LANを相互に接続する装置がある。
リピータは、ケーブル上の電気信号を再生して中継することで、LANケーブルを延長する。受信データは、すべてのコンピュータに転送する。
ブリッジは、受信データのMACアドレスを解析して宛先のコンピュータに転送する。
ハブ
コンピュータから接続されているLANケーブルを束ねる集線装置で、接続口である複数のLANポートを備えている。
ハブは、リピータハブとスイッチングハブがある。
リピータハブは、受信データをすべてのLANポートに転送してリピータとして機能する。
スイッチングハブは、受信データを宛先MACアドレスが存在するLANポートだけに転送し、ブリッジとして機能する。
ネットワークインタフェースカード(NIC:Network Interface Card)
伝送媒体とコンピュータを接続する装置で、LANアダプタともいう。
LANボードやLANカードなどがあり、無線に対応したものもある。
最近は、PCに内蔵されていることが多い。
MACアドレス
MACアドレスは各ネットワーク機器に割り振られた固有のアドレスのこと。
IEEE(米国電気電子技術者協会)が製造メーカ番号を管理し、各製造メーカは一意となる製造番号を製造時に割り振っているため、世界で一意の番号となっている。
MACアドレスはLANボードなどのNIC(Network Interface Card)にあらかじめ割り当てられており、ユーザは変更できない。
LANケーブル
ルータとハブ、ハブとコンピュータなどを接続するケーブル。
PLC
PLCとは、電力線通信ともいい、電力配線を通じてLAN接続する方式。
PLCアタプタは、電力と通信用信号の重ね合わせや分離を行う。
LANの規格
LANの規格は、IEEE(米国電気電子技術者協会)が決めており、有線LANはIEEE802.3、無線LANはIEEE802.11として規格化されている。
データ伝送速度は理論上、有線LANで100Mbpsや1Gbps、最新の無線LAN規格のIEEE802.11nで最大600Mbps。
データ伝送速度の単位である"bps(bits per second)"は、1秒あたりに転送できるビット数を表す。
無線LAN
無線LANは赤外線や電波を利用しているので、有線LANのようにLANケーブルを敷設する必要がなく、信号が届く範囲であれば自由な位置にPCを配置することができる。
その反面、無線LANは情報漏えいや盗聴の危険性があるので、暗号化や接続を許可するPCのMACアドレスを事前に登録しておく(Macアドレスフィルタリング)などのセキュリティ対策が必要になる。
無線LANでは、接続先のネットワークを識別するためにSSIDを用いる。
最大32文字までの英数字を設定し、PCとネットワークのアクセスポイントのSSIDが一致すれば、通信できるようになっている。
複数のアクセスポイントを設置したネットワークに対しても使用できるように拡張したものがESSID。
セキュリティ対策のため、ESSIDを隠してPC上のアクセスポイント一覧に表示されないようにするステルスモードを使用することも推奨される。
Wi-Fi
Wi-Fi(ワイファイ)(Wireless Fidelity)は、IEEE802.11に準拠した無線LAN装置の互換性を検証するWi-Fi Allianceという業界団体が付けたブランド名。
ロゴの認定を受けた無線LAN装置は、「お互い無線でつながるよ」という意味になる。
パケット(Packet)
インターネットやLANで標準的なプロトコルとして利用されているTCP/IPでは、データを小さなデータに分割して、送信する。
この小さく分割したデータをパケットという。
パケットには小包という意味があり、小包(データ)に送付状(ヘッダ情報)が付加されているイメージ。
ヘッダ情報には、送信元IPアドレスや送信先IPアドレス、送信元ポート番号、送信先ポート番号などの情報がある。
大きなデータをそのまま送信すると、そのデータだけで回線が占有されてしまう。エラーが発生した場合、大きなデータを再び送信しなければならない。
パケットに分割して送信すれば、エラーのパケットだけを再び送信すればよく、回線上のトラフィックを軽減することができる。
パケットごとに別の回線を利用することもできるので、回線の利用効率が良くなるというメリットがある。
VoIP
VoIP(Voice over IP)は、音声データをパケット化し、リアルタイムに送受信する技術。IP電話やLANを用いた社内電話などに応用され、通信コストを下げることができる。
通信プロトコル
日本語を話す人とフランス語を話す人とでは、会話が成立しない。そこで、お互いに英語を通して会話することにした。このように、共通の言葉で会話が行われれば、誰とでも意思の疎通ができる。
コンピュータの世界でも同じ。情報の発信側と受信側で情報をうまく伝達するためには、共通する規則に従ってやり取りする必要がある。
通信上の約束事をプロトコルという。
共通のプロトコルを使えば、メーカが異なってもつなげることができる。
プロトコル
プロトコルとは、もともとの意味は「外交儀礼」。
他の国との円滑な交流やトラブル防止のための約束事=プロトコルが、通信用語としては他の層との円滑なデータのやり取りのための約束事という意味として使われる。
TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)
TCP/IPは、インターネットで広く使われているプロトコル体系で、その名のとおり、TCPとIPという2つのプロトコルを中心として構成されている。
インターネットの前身といわれるARPANETで採用され、インターネット普及にともなって世界的に普及した。
現在はインターネットのみならずLANにおいても採用されている。
このように市場原理によって最も多くのユーザを獲得し、事実上の標準となったものをデファクトスタンダードという。「みんなが使っているので、事実上の標準になっている」という意味。
TCP/IPの体系
アプリケーション層…HTTP, FTP, TELNET, SMTP, POP など
トランスポート層…TCP, UDP
インターネット層…IP
ネットワークインターフェース層…PPP, イーサネット など
各種プロトコル
TCP/IPは複数のプロトコルから構成されている。
HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)
WebサーバとWebブラウザ間でデータを送受信するときに使われるプロトコル。
FTP(File Transfer Protocol)
ファイル転送するときに使われるプロトコル。
WebページをWebサーバにアップロードする(クライアント→サーバ)ときや、アプリケーションをダウンロードする(サーバ→クライアント)ときに使われている。
不特定多数の利用者が自由にファイル転送を行えるようにした仕組みにanoonymous FTPがある。anonymous(アノニマス)には、「匿名」という意味がある。
Telnet(テルネット)
遠隔地にあるコンピュータを操作するときに使われるプロトコル。
遠隔地のコンピュータがあたかも目の前にあるかのように操作できる。
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)
メールを送信・配送するときに使われるプロトコル。
POP(ポップ)(Post Office Protocol)
メールを受信するときに使われるプロトコル。
POPとIMAP
電子メールを受信するプロトコルとして、POPのほかにIMAP(アイマップ)(Internet Message Access Protocol)というプロトコルがある。
POPは、メールをユーザのPCにダウンロードしてから、メールを読んだり、削除や振り分け、検索などを行う。
IMAPは、メールをダウンロードせず、サーバ側にメールが保存され、サーバにあるメールを読んだり、削除・振り分け、検索などをすることができる。
会社や自宅で、異なるPCからアクセスしても、未読・既読の情報が保たれる。
NTP(Network Time Protocol)
ネットワークに接続されている機器間で時刻を同期させるプロトコル。
IPアドレス
インターネットやLANなどのTCP/IPネットワークに接続されているコンピュータやネットワーク機器には、IPアドレスと呼ばれる一意の(重複しない)番号が割り振られている。
これは、家の電話や携帯電話に世界で一つしかない電話番号や携帯番号が割り振られているのと同じイメージ。
重複しないから相手を一つに特定できるということ。
IPアドレスは、2進数32ビットで表現されている。
2進数の羅列はとても見にくいので、表記する場合はまず8ビットずつに分ける。
8ビット単位でそれぞれ10進数に変換する。
最後は".(ドット)"で区切る。
IPアドレスは、"219.101.198.4"のように表記される。
ドメイン名
"219.101.198.4"は技術評論社のWWWサーバに割り振られたIPアドレス。
10進数で少しは見やすくなったが、人間にとっては数字の羅列はまだまだ分かりにくい。
そこで、IPアドレスに対応するアルファベットと数字、一部の記号で別名を付けるようにしている。これがドメイン名(ホスト名)。
DNS(Domain Name System)サーバ
DNSサーバは、コンピュータに分かりやすいIPアドレスと、人間に分かりやすいドメイン名を関連づけるサーバ。
グローバルアドレスとプライベートアドレス
IPアドレスには、グローバルアドレス(グローバルIPアドレス)とプライベートアドレス(プライベートIPアドレス)がある。
インターネットに接続する場合、世界で一意であるグローバルアドレスを割り当てる。これは、NIC(Network Information Center:アドレス発行期間)が発行する、世界中で重複のないアドレス。
LANなどのローカルなネットワークでは、プライベートアドレスを割り当てる。NICに申請しなくても組織内で一意であれば、決められた範囲内でシステム管理者が自由に割り当てることができる。
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)
LAN内のPCの台数が多くなると、1台1台に重複しないIPアドレスを付与することは大変な作業になる。
DHCPは、PCからの要求によって動的にIPアドレスを割り当てることで、IPアドレスの管理が効率的にできるプロトコル。
DHCPを利用する場合、PC側では"IPアドレスを自動的に取得する"に設定する。
IPアドレスの枯渇
現在広く利用されている、IPアドレスを32ビットで表現するIPv4(Internet Protocol Version 4)では、表現可能なアドレス数は約43億(=232)。
当初はこれで十分足りると考えたが、インターネットの急速な普及により、とうとう新規に割り当てることができるIPv4のIPアドレスはなくなってしまった。IPアドレスも石油と同じで限りある資源ということ。
そこで、IPアドレスを128ビットまで拡張するIPv6(Internet Protocol Version 6)への移行や、NATやNAPTなど、32ビットのIPアドレスの有効利用の技術が進められている。
NAT(Network Address Translation)
一般的に、LANのPCにはプライベートアドレスが割り振られている。
インターネットを利用する場合、グローバルアドレスが必要になる。
プライベートアドレスとグローバルアドレスの相互変換をする技術がNAT(ナット)。
NATは、グローバルアドレスとプライベートアドレスを1対1に対応させる。
NAPT(Network Address Port Translation)
NAPTは、1個のグローバルアドレスで複数台のPCを同時にインターネットにアクセスさせることができる技術。
IPマスカレードとも呼ばれている。
IPアドレスの他に動的にポート番号を対応させることで認識している。
NAPTは、グローバルアドレスとプライベートアドレスを1対複数に対応させ、グローバルアドレスを有効に使用する。
一般的に、NATやNAPTは、ルータに備えられている。
ポート番号
IPアドレスで通信相手のコンピュータを一意に特定することができる。
通信相手のコンピュータは、複数の通信サービス(アプリケーションソフトウェア)が稼働しているので、さらに"どの通信サービスとやり取りするのか"というところまで指定しなければならない。
通信サービスの指定は、サービスごとに設定されている0から65,535までのポート番号によって行う。
インターネット上の通信サービスを利用する際にはポート番号も必要で、HTTP(80番)、FTP(20番・21番)、SMTP(25番)、POP3(110番)などのよく使われるサービスはあらかじめ番号が決められている。
普段は陰に隠れた存在だが、ポート番号はIPアドレスとペアで用いられる重要な番号。
ブロードバンド
ブロードバンドには、広帯域という意味がある。
道路で例えると、車線が多く幅の広い高速道路を、たくさんの車がスイスイと走行できる状態。
通常、ブロードバンドはADSLやFTTH、CATVなどによるインターネットをいい、高速・大容量が特徴。
ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)
ADSLは、アナログ電話とデータ通信とで使用する周波数帯域を分けることによって両者の同時利用を可能としている。
ADSLのA(Asymmetric)には「非対称」という意味があり、上り方向(利用者→インターネット)より下り方向(インターネット→利用者)の方が通信速度は速くなっている。
通信速度は下りで数Mbps~数十Mbps。
アナログ電話網を使って比較的簡単に導入でき、データ通信が高速という利点があるが、伝送距離が短いので、電話局(収容局)から遠い場合は導入できなかったり、導入できたとしても通信速度が遅くなったりする欠点もある。
スプリッタは、データ用の高周波の信号と音声用の低周波の信号を分離・合成する装置。
ADSLモデムは、通信回線上のアナログ信号とPCのデジタル信号との相互交換を行う。
FTTH(Fiber To The Home)
各家庭まで光ファイバを施設し、電話やインターネット、テレビなどと統合したインターネットサービス。
FTTHはADSLに比べて高速で安定した通信が行える。
最近は、通信速度100Mbpsを超えるものもある。
CATV(Community Antenna TeleVision)
CATVは、テレビ放送用のCATV(ケーブルテレビ)の回線を利用したインターネットサービス。
ADSLと同じく非対称で下りの方が速くなっており、通信速度は数Mbps~数十Mbps。
利用できる人は、CATV局のサービス地域に限定される。
PBX
PBX(Private Branch eXchange)は、公衆電話回線と内線電話機との接続、及び内線電話同士の接続を行う装置。
コンピュータがPBXと連携して、電話やFAXに対して自動応答をしたり、最適な着信者に振り分けたりする技術をCTI(Computer Telephony Integration)という。
電子メール(E-mail)
メールアドレスは、例えば、"xyz@abc.co.jp"のように、"@"をはさんで2つの部分に分かれる。
"@"の左側がユーザ名(ユーザID)で、右側がドメイン名(ホスト名)。
はがきで例えると、ドメイン名が"宛先の住所"、ユーザ名が"宛先の氏名"にあたるイメージ。
メールアドレスは、ドメインの中で一意になるようにユーザ名を付ける必要がある。
MIME(Multipurpose Internet Mail Extension)
MIME(マイム)は、電子メールで送信できるデータ形式として、テキスト(文字)だけでなく、音声や画像などのマルチメディア情報を取り扱えるようにする規格。
同報メール
通常、メールソフトでメールを送信する場合、送信先のメールアドレスは"TO"に入力するが、同じメールを複数人に送信したい場合は"CC"や"BCC"にメールアドレスを入力する。同報メールと呼ばれる機能。
CC(Carbon Copy)で送信した場合、入力したメールアドレスは他の送信相手全員に表示される。したがって、お互い誰が同じメールを受信したのかがわかってしまうので注意が必要。
例えば、取引先へのメール内容を上司にも見てもらいたいとき、CCで送信すれば、取引先は上司も同じメールを読んでいることがわかる。
BCC(Blind Carbon Copy)で送信した場合、入力したメールアドレスは他の送信相手には表示されない。したがって、お互いに誰が同じメールを受信したのかがわからない。
例えば、新製品情報を複数の取引先に一度に知らせたいとき、BCCで送信すれば、取引先はお互いのメールアドレスを知ることはない。
メーリングリストは、あらかじめ登録されているメンバーに同報メールを送信することができるサービス。
スパムメール
スパムメールは、不特定多数の人に対して広告や勧誘が目的で、受信者の意向とは無関係に短時間のうちに大量に送られるメールのこと。場合によってはメールサーバのダウンにもつながる恐れがある。
チェーンメール
チェーンメールは、不幸の手紙のように、送られてきたメールと同じ内容のメールを不特定多数の人に転送するような指示が書き込んであるメール。
特定電子メール法
スパムメールやチェーンメール対策の法律として、特定電子メール法がある。
特定電子メールとは、広告や宣伝など営利目的で送信される電子メールのこと。
特定電子メールの送信者は、メールの送信に際し、あらかじめ受信者の承諾を得ておく必要がある(オプトインメール)。また、メールの中に送信者の名称や、受信拒否の連絡用の送信者アドレスを表示することが義務付けられている。