ヤクザのおじちゃーん!
 部長ー!



あ、メソが呼んでますね。
そうそう、一緒に遊ぶ約束をしていたんでした。
明日でお別れは、やはりさみしいですね。


私ですか?
私は…
霊界空港では“部長”なんて呼ばれてますね。
生きていたころには、部長をしていたもので。


…しかし、
私は部長なんて、
なるべきではなかったのかもしれません。


私は、ある大手の会社で働いていました。
曲がったことが嫌いで、
真面目すぎるくらい真面目な私は、
日々仕事のことだけを考え、
追われる毎日でした。

朝は、娘が起きるよりも先に出社し、
帰宅するころには、もう寝ている…
娘と話さない一日なんて、
そう珍しいことではありませんでした。


私が見ていたものは、
昇進への道だけ。

自分の体調の悪さなんて、
気にも止めませんでした。


そして、過労死…
私の人生、あっけないものでした。


家族を置き去りにしていたことに気付いたのは、
恥ずかしながら、
ここに来てからでした。


メソをかわいがっていると、
もっと娘と遊んでやればよかったと、
そればかり思うのです。


私は、天国行きのパスポートを持っていません。
パスポートをもらうためには、
ここで必死に働かなくてはいけません。


…また仕事です。


でも、今日ばかりは、
メソと一緒に過ごしたいのです。

もう後悔はしたくありません…


では、お先に失礼いたしますね。
またどこかでお会いしましょう。



~三田祭まで残り3日~



$みみろぐ