妻の浮気 9 | みみぴの小説ブログ

妻の浮気 9

一度目より 二度目。 二度目より三度目。


抱いていた罪悪感は 徐々に演技力になり 外出の回数が増えるたび気が軽くなった。



茜は夫と目も合わせなくなっていった。


メールでやりとりして すべてが解決する生活が さほどすさんでいるとも思えないほど


以前から 会話は少なかったのだと しみじみ思いながら メールを打つ。





信哉へのメールは 送信と同時に消去し 受信と同時に削除することも


技術として 身についたな と思えた。





もし ばれたら 離婚になるだろう? そうなったら 俺が出ていくから。






信哉のその言葉は 茜にはありがたかったが そこに 息子たちの気持ちや


未来は どうしても組み込まれていない というのを 痛いほど感じてはいた。


抱かれたいのも 時間を紡ぎたいのも 微笑を返したいのも 触れていたいのも


信哉だ。


けれど その時間の全ては 2人で出来上がっている。


2人の息子が 入ってこれる隙間も 余裕もないと 茜は気づき始めてもいた。


そのことを 考えるのが一番辛かった。




夫と別れることよりも 夫の両親に挨拶をすることよりも 自分の両親に話すことよりも


何よりも 苦しかった。






一度 4人で食事でも と信哉が言い出した時 茜は 信哉の覚悟に感謝をしたが


それでも この状況で 子供たちが 父親以外の男性と食事することが


どういう意味として 心に反映するかまで 考えは至らないのか と愕然とした。


それが他人の子供ということなのだろうか。


それとも 子供を持ったことがない大人の 普通の反応なのだろうか。。。


やんわりと断りながら 自分が描きたい未来が どこにあるのか 


茜の思考は 真っ黒に塗りつぶされ その苦しみから逃れたくて 信哉を求めた。






午前中に 時間を過ごすときは 信哉のマンションに 場所を決めて 通った。


土日に 会いたくなると 茜は実家に子供たちを預けて 数時間 消息を絶った。


時々 出張で 夫の不在があると 夜中に迎えに来てもらって 出かけることもした。





信哉の 子供たちへの対応に 若干の不信感はあっても


茜の行動も感情も 恋に溺れていた。





寝るより 子供たちの宿題を気にかけるより 家事に熱中するより 信哉を求めた。





そして その行動の変化に 一番最初に気がついたのは 茜の母親だった。

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