妻の浮気 7 | みみぴの小説ブログ

妻の浮気 7

悩みに悩んだ茜だったが 喫茶店へ行くことを選んだ。 



ホテルの近く というのが 躊躇わせていたし わざわざ会いに行ったら


信哉のペースに巻き込まれてしまう と怖かったのだ。


そう しかも 期待を持っているからだと 嫌になるほど 知っていたから。。。





『12年 ずっと想っていた。忘れられなかった。 会いたかった。抱きしめたかった。』


あの晩 何度も囁かれながら 茜は 信哉の12年を想ってみた。


想像しても しても しきれない未練を この私に?


その驚きで 信哉を抱きしめてしまいそうだった。


感謝のあまり ひれ伏してしまいそうだった。





夫への小さな 糸くずみたいな不満や 倦怠感が 心いっぱいのワタボコリになってから


茜は 自分に自信をなくしていた。




大事にされない妻。 私って 大事にする価値もないのかしら?



誕生日を無視され 記念日も祝われることなく それが結婚だ と思い込もうとしたけれど


家政婦だったり 子供たちの母親マシーンとしてしか 扱われていない感覚に


悲しくなったし 悲しいと呟いても 無視されそうな怖さに 包まれていたのだ。




大事にされたい。

感謝されたい。

特別扱いされたい。




自分の中に 浮かし文字のように 浮かび上がった思いを 裕也に見せ続けてつもりでいた。


けれど そこに答えも 反応も 反省も感じ取れなくて 茜の悲しみは いつしか


怒りになっていったのだ。





パートナーを怒り続けるというのは 疲労することである。


心の疲労を取り除く 一番手っ取り早い方法は 異性の慰めだと 茜は知っていた。


絶妙のタイミングで 茜の前に現れた 信哉は 茜が期待する以上の優しさを


惜しげもなく 与え続けてくれそうだと 愛に飢えきった心は すぐに察知した。







喫茶店に入ると 予言どおり 信哉はコーヒーの前で 本を読んでいた。


待ち人など いないかのような 余裕ある態度に 茜は笑った。


『こないって 決めてつけて 本を読んでるの?』


茜が 顔を覗き込んだ瞬間 信哉は 茜の首に 手を回して抱きついた。




まるで 訳も分からず留守番をさせれられてた幼児が 母親の姿を見つけて


走りよってきて だきつくかのように。





喫茶店を 懐かしい曲が流れていた。



信哉と出会って 付き合いだした頃によく街を流れていたそのメロディーが


茜の心に 染み渡った。


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