―知っておきたい、いくつかの大切なこと―
うさぎさんは、その愛らしい見た目とおだやかな雰囲気から、「飼いやすそう」「静かで癒されそう」
と思われることが多い動物です。
でも、実はとても繊細で個性豊か。
一緒に暮らすには、“理解”と“準備”がとても大切です。
ここでは、うさぎさんをお迎えする前に知っておいていただきたい基本的なポイントと注意点を、いくつかご紹介します。
■ 食べ物のこと
うさぎさんの主食は「チモシー」と呼ばれるイネ科の牧草です。チモシーは歯の健康維持や消化に不可欠な存在です。
そして副食として与えるのが「ペレット」と呼ばれる栄養食です。
【⚠️注意】
チモシーはイネ科の植物なので、稲科アレルギーがある方は注意が必要です。
お迎え前には、ご自身だけでなく、同居されるご家族にもアレルギーの有無を確認しておくことをおすすめします。
特に花粉症やハウスダストに敏感な方は、一度検査をしておくと安心です。
■ 鳴かないってほんと?
うさぎさんは「鳴かない動物」と言われます。
これは、声帯がまったくないわけではなく、発達していないため、人が感じるような声をほとんど出さない、という特徴があります。
でも実は、まったく音を出さないわけではありません。
【⚠️注意】
強い恐怖や痛みなど「究極の場面」では、声を出すことがあります。
また、鼻を鳴らしたり、後ろ足で床をドンと踏んで意思表示したりと、体全体で感情を伝えてくれる子たちです。
「静かそう」と思ってお迎えしたけれど、
意思表示の豊かさに驚く方もいらっしゃいます。
感情を読み取る楽しさと同時に、
“音がしない=無関心”ではないことを知っておいてくださいね。
■ 毛が抜けます
うさぎさんには換毛期があり、季節ごとに毛が大量に抜ける時期があります。
その量や頻度は個体差がありますが、基本的に抜け毛はつきものです。
【⚠️注意】
うさぎアレルギー(特に毛やフケに対するアレルギー)がある場合は、飼育が難しくなることもあるため、事前にアレルギー検査を受けることを強くおすすめします。
家族の誰かがアレルギー体質の場合は、特に慎重にご判断ください。
■ 臭いについて
うさぎさんは、体臭がほとんどないといわれています。
ですが、お尻のあたりにある「臭腺」から、
まれに自分の匂いを出すことがあります(縄張り行動の一種であったり愛情表現だったり理由は様々です)。
また、おしっこには多少のアンモニア臭があります。
とはいえ、毎日トイレ掃除をしていれば、
「思っていたより気にならなかった」と感じる方が多い印象です。
うんちは基本的にコロコロしていてほぼ無臭。
ただし、もうひとつ「盲腸便(もうちょうべん)」と呼ばれる、柔らかくて少し臭いのあるうんちを出すことがあります。(見た目はブドウの房の様なものが多いですが必ずしもそうではありません。)
これはうさぎさんが自分で食べるための大切な栄養源で、普段はお尻から直接食べるため、人が見る機会はほとんどありません。
ですが、様々な要因で食べずに落としてしまう事があり、独特のにおいが部屋に残ることもあります。
臭いに敏感な方は、これらの点も事前に理解しておくと安心です。
■ 寂しがり屋…って本当?
「うさぎさんは寂しいと死んじゃう」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
これは一種の“都市伝説”のように広まり、
はじめてうさぎさんをお迎えする際に**「寂しそうだから2羽一緒に」**という選択をされる方もいます。
ですが実は、うさぎさんは縄張り意識がとても強い動物です。
基本的には1羽ずつの生活が望ましく、ケージも必ず1羽に1つ必要です。
SNSで見かけるような仲良しうさぎさんたちは、
かなり相性の良いケースであり、決して一般的ではありません。
また、途中で仲が悪くなってしまうこともあるため、
「仲良しだから安心」と思って一緒にしてしまうのは危険です。
【⚠️注意】
さらに重要なのが、繁殖能力の高さです。
男の子と女の子を同じ空間で自由にさせてしまうと、
**あっという間に子うさぎが生まれ、気づけば多頭飼育崩壊に…**という事例が現実に起きています。
去勢・避妊の知識や計画を持たずに多頭飼育を始めることは、
うさぎさんにとっても飼い主にとっても大きなリスクとなります。
最後に
うさぎさんは、言葉こそ持たないものの、仕草や音、行動で全身全霊の感情を伝えてくれ、たくさんの想いを持って生きている動物です。
毎日のケアや、繊細な体調管理も必要ですが、そのぶん信頼関係を築けた時の喜びはとても深いものになります。
お迎えを考えている方は、
“かわいい”の先にある命の重みと責任を、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
うさぎさんも、あなたと同じように、感情のある家族の一員です。
大切な命を預かること、それはとてもあたたかく、同時に覚悟のいることです。
