​不妊治療備忘録その①〜夫の精子が瀕死です〜

私が結婚したのは35歳。

旦那は17歳上なので52歳。いわゆる年の差婚である。

ちなみに、旦那は私とは再婚で前妻との間に子どもがいる。

 

結婚する前から私は子どもが欲しかったので、妊活は意識していたけど、自然と授かれるとどこかでたかを括っていた。

その理由には、旦那が既に子どもをもうけていることもある。ちゃんと種がある、大丈夫口笛、と気楽に考えていた。

 

まずはいわゆる自然妊娠、タイミング法でトライ。

 

しかし、結婚から一年経っても何の音沙汰もない。

段々毎月の生理がくる度に、どよ〜んとした気分になり、言いようのない漠然とした不安を感じるようになっていた。

私は生理が28日周期でちゃんと来るタイプだったので、5日でも遅れようものならば、もしかして・・できたかなゲラゲラ恋の矢とすぐに期待してはその度に玉砕していた。

 

もうこれは一度病院に行って診てもらうしかない、と思い近所の産婦人科を受診することになった。

これが私の不妊治療のはじまりはじまり〜泣き笑いである。

 

私が診察に行った産婦人科はこじんまりとした病院でご夫婦で経営していた。

院長は70歳(推定)近いおじいちゃん先生だった。

 

おじいちゃん先生はとても感じの良い先生なんだけど、とにかく声が小さくて、おまけに声がしゃがれているから私はいつも前のめりで耳を傾けた看板持ち

 

早速、子宮の検査を一通りしてもらい、特に異常はないとの診断を受けた。

まずはタイミング法を試みましょう、とのことでエコー検査のモニター画面越しに子宮の状態を見る。

そして、先生が目の奥を輝かせながら

「今日、明日が狙い目ですねウインク頑張ってみてください。」

といつもの二倍くらいの声量で(それでも小さい)仰るので、私は「はい、よろこんで!!」と鼻息荒く答え病院を後にした。

 

そして、それから数週間が経ち・・・

 

はい、ちゃんと生理きましたーーー泣き笑い泣き笑い泣き笑い

 

そんなこんなで、もしかしたら旦那の方に何か問題があるのでは・・?ということで、私も引き続き診てもらいながら、旦那も一緒に病院に行くことになった。

 

2畳半くらいの個室におじいちゃん先生と私と旦那。

先生「せっかく来て頂いたので、こちらの容器に精子を採って来て頂けますか」

旦那「あ、はい。」

先生「じゃあ2階にお手洗いがありますのでね、そこでお願いします」

旦那「はい・・え!?あ、今ですか!?」

先生「はい、ちょっと難しそうですかね・・?」

旦那「できれば自宅で・・」←モジモジする52歳のおじさんデレデレ

先生「構いませんよ。ご自宅はここから近いですかね?採取してから出来れば30分以内に届けて頂きたいのですが」

旦那「はい、10分以内に届けます!」

先生「鮮度が大切なので、お願いいたします」

旦那「分かりました!」

 

そして、後日、旦那は約束通り採れたてホヤホヤの精子を持ってダッシュで病院に向かい、「はい、お待ち!!」と言わんばかりの勢いで先生に渡した。

 

その場で先生が顕微鏡で旦那の精子をチェックする。

 

そして先生はいつもにも増して小さな声で言った。

 

 

 

 

「あのぅ・・精子がいませんねぇ」

 

 

 

先生からの衝撃の一言。

明日のジョーのようにうな垂れながら帰宅する旦那。

男としてのプライドが折れたことは間違いない。

それもそのはず。

なぜなら旦那は採れたて新鮮な精子を持っていく前に「俺のは激流を逆流する鮭のように生きがいいいから大丈夫だよチョキ

と誇らしげに言っていたのだから。

 

こうして、一筋縄ではいかない私たち夫婦の不妊治療物語が幕を開けたのであるー