昔、専門学校の卒業旅行で、２週間ヨーロッパ４か国をまわりました。
美術系だったので、基本は美術館めぐりです。
そのスケジュールは、パリへ行った場合ルーブルは行くが凱旋門やエッフェル塔は行かない、
という徹底ぶりでした。
（毎日午前は美術館めぐり、午後は昼食も含めて自由時間、という時間割だったので、行きたい人は自力で行く、と。私は一応両方行きました、一人で地下鉄乗って）
ポンピドーセンターも行きました。
流石というか、前衛的な作品も多くて、正直タイトルを見ても理解出来ない作品も多かったのですが（語学能力も関係あり）、一点、とても目を引いた作品がありました。
それは、奥行きのある大き目の、飾り気のない額縁の中に、本物のガスマスクが整然と並べてある、というもの。マスクは、色々な形のが10個前後ありました。
作品名は、『Home Sweet Home』。
いくら私でも、これがかなりのブラックジョーク的作品だという事は解りました。
しかし、笑えない。
しばし見つめていたら、後から来て私の少し前で観ていた現地の方らしい男性が、
物凄くツボにはまった、という感じで笑い出しました。
右手で脚をバンバン叩き、左後ろにいた私に同意を求めるように作品と私を交互に観ながら、
左手で作品を指差しながら。
お付き合いで一緒に笑いましたが、ひとしきり笑った後、先に去った男性の背中を眺め、
文化の違いを痛感したのでした。
……それとも、私が鈍かっただけかしら。