好き過ぎて。 | 猫と病気と頭ン中と。

猫と病気と頭ン中と。

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猫、病気の事、日々の出来事などなど。

猫が大好きです。
猫でさえあれば、仔猫だろうが大人猫だろうが、雑種・野良・ペットショップのコ、見境いなしにちょっかい出したくなります。

道端で出逢えば、取り敢えず声を掛けます。
寄ってくればなでなでし、様子を窺っているコにはなるべく寄って来てくれるよう色々試みたりします。

でも、それはもう昔の私。

ある日、ふと、
ちょっかい出したり、触ったりしたいのは私の都合であり、単なる『好き』って気持ちの押し付けである、相手の気持ちを全く考えていない、ということに気付いてしまいました。

それからは、もう、見るだけでいい、存在してくれているだけでいい。
一応声は掛けるけれど、挨拶程度にして、去ることにしています。


……自分の『好き』より、相手の気持ちを優先する。
これって、もう『愛』かもしれない。


や、それは置いといて。

今までも、出掛けた先にペットショップがあれば、見には行くけれど、
店員さんが「だっこしてみますか?」とお声かけくださっても、
「いえ、うち、ペット禁止なんで…」と断るようにしていました。

しかし、母が助っ人に来ている間、同じような機会がありまして。
やっぱり断り、それでも勧めて下さる店員さん。
予算や立地の関係で、ペット可の物件に住めなかった事まで説明して遠慮したのに、
「大丈夫ですよ」と私が見ていた仔猫をケースから出して下さいました。

ここまでされると、断れません。仕様がない、
「いいんですかあぁ~~」と震える声で仔猫を受け取り、おそるおそる抱っこ。
……ううう、やっぱ可愛い。可愛いよう~。

私のほとばしる愛情が店員さんにも伝わったのでしょうか、遂には「そのアパートで、飼ってる方っていないんですか」とまで訊かれてしまいました。

「お隣の方が、多分。ベランダで時々見掛けたし…でも、最近では全然。理由は判らないです。一緒に暮らしたいのは山々ですけど、万が一があったら猫にも申し訳ないですし……」

説明しているうちに、気付けば、私の両目から塩水が滂沱の如く溢れだしておりました。

悲しくもないのに、涙を流していたりする、感情がコントロール出来ない今の私。
渋る私をショップに誘った母は、
「みみこ、ごめんね」
「違うの、なんで涙が出るのか、私にも分かんないの~」



アパートに帰ってから。

長期休職になりそうだ、と報告した私に、百万単位の援助を申し入れてくれていた母。
それは母のへそくりでした。
そんなもの受け取れないと思ったけどそれは言えず、頼むから止めてくれと懇願していたのですが。
(だって、荷物に紛らわして送ろうとしていたんですもの。小包に札束。想像しただけで恐ろしい。何考えてんだ一体)

わざとその話をもちだすと、断った時、がっかりしていた母は嬉しそうに言いました。

「うん、いつでも用意出来るから。必要になったら言ってね」
「あのね、今の私に大金渡すとねー、引っ越して猫飼っちゃうよ。体力なくても引越し屋さんが全部やってくれるし。だから、やっぱ止しといた方がいいと思うなー」

笑いながら言う私。
母よ、意地悪でごめんね。