ウトウト…とするけれど
ハッと目覚めてしまう。
それを何度も繰り返し
空が薄明るくなった頃
もう寝るのは諦めた。
父は眠ったまま。
やはり夢では無かったんだ…
「おはよう」と
声をかけてみる。
いつもと変わらない寝顔。
体を揺すれば起きるかな?
何度も声をかければ目覚めるかな?
そんなことを思いつつ
そっと見守っていた。
「少しは食べないと」
叔母がおにぎりを持って来てくれたが
半分もしないうちに
喉を通らなくなってしまった。
私がこんなでどうする!と
奮い立たせようと努力したが
なかなか上手くいかず…
何もしてあげられないもどかしさと戦っていた。
「何かあったら連絡して」
みんな気遣ってくれて
父と旦那と私と
3人だけの時間を過ごした。
何をする訳でもなく
何を話す訳でもなく
静かな時間を過ごした。
すると、父が、
「う〜ん」と唸り出した!
えっ?目覚めるの?
と思ったのも束の間
全身を硬直させ
痙攣し始めたのだ。
慌ててナースコールを押す
私は全身の震えが止まらず
発狂した。
「イヤーーーーー!!」
駆けつけた看護師さんが
「○○さん!大丈夫ですか!
○○さん!」と
心臓マッサージを始める
「まだ早いよ!
まだ若いんだよ!
イヤだよーーー!」と
発狂し続け
涙と震えが止まらない私を
旦那が強く抱きしめてくれた。
叫び声を聞きつけてか
もう1人の看護師さんが来て
心臓マッサージをやめさせた。
「○○さん!息して!」
すると、父は再び息をし始めた。
グッと下がった心拍数と血圧が
少しずつ上がってきた。
それでもなかなか
震えと涙は止まらない。
「また何かあったら呼んでください。」
と
呼吸が落ち着くのを待って
看護師さんは退室された。
深呼吸…深呼吸…
意識していたら
少しだけ落ち着いてきた。
旦那はずっと
私の肩を摩ってくれていた。
2時間くらい経っただろうか?
再び父は痙攣し始めた!
すかさずナースコール
一度落ち着いた私もまた
パニック状態に陥る。
父の手を握り
体を摩ってあげると
痙攣は治まる。
そしてまた
生きよう、生きようと
力を振り絞り
呼吸と鼓動を甦させる。
段々と痙攣の間隔は短くなったが
その度に
生きたい、生きたいと
再び呼吸をする。
夜になると
対処法もわかってきて
一応ナースコールを押すが
私が父の手を握り
体を摩って
声をかけ続けた。
もう私はパニックにはならなかった。
痙攣を起こすたびに
苦しそうで
可哀想で
手を強く握り
肩を摩り
頭を撫で
心の準備をさせてくれた
父に感謝した。
「もう頑張らなくていいよ。
今までありがとう。
お疲れ様。」
そう告げて
父を抱きしめた。
既に温もりは感じられなかった。
ずっと頑張って
呼吸をしてきたが、
私の言葉に安心したのか
少しずつ
少しずつ
心拍数と血圧が下がり
ゼロになった。
その時涙は出なかった。
ただただ感謝しかなかった。
ありがとう。
本当にありがとう。
思い出すと涙が出ます。
今日は七回目の月命日。
満月。