6/25 16:30公演 千穐楽
風間由次郎さんの初脚本・演出作品。
しかと受け止めました。
人の才能がリングで管理されている世界。
リングを持つ、オーバーの人間。
リングを持たない、ロストの人間。
まずは世界観が、由次郎さんらしさを感じました。
持つ者と持たざる者。
オープニングはFROGSを連想させるような雨。
あのダンスは何を表現してるんだろう。
生き継ぐ間も無く放たれる言葉。
オーバーリングギフトの振りが好き。
一気に世界観に吸い込まれる演出は、五朗さんの背中をずっと観てきたとこが活かされてる感じ。
猪塚さんが演じるアスターは、何というか、オーバーでの中で生きるには、とてもできた人間。
弱者を助けること=いい事という【常識】がきちんと身についてる。
統率のリングをつけていることから、こういう物語の中での役割としては、力を誇示するような人物像が思い浮かぶけど、アスターは本当に素直に育った感じ。
いい事をすれば、両親は褒めてくれると信じている。
リングを自ら外すという選択の意味を知らない無垢な。
『リングよりも、人の生命の方が大切だ』
『リングがあってもなくても変わらない』
この時点ではアスターは上辺だけしかこの言葉の意味をわかってなかったんだと思う。
アスターの中の常識はロストという世界を知る事で壊される。
両親から捨てられ、ロストでも味方がいない。
たったほんの少しの時間かもしれないけど、初めての孤独。
トトイとの再会。
今度は僕がアスターを助ける番だ。
みぞたく、思った以上に素敵だった…。
ミロコに良く育てられたんだなぁってのが伝わる純粋さと意思の強さ。
動きもスマートだし、歌も安定してるし、器用な感じ。結末を知ってる分、笑顔が切ない。
自暴自棄になってるアスターは本当に見てて痛々しかった。
あんなに好んでいた咲耶さんの歌でさえも撥ね退けて。
咲耶さん。中村百花さん。
本当に好き。
歌の説得力はもちろん、私は間が好き。
アスターの様子を伺う時も、ルージュの相談に乗る時も、ミロコと軽口を叩く時も。
アスターやルージュやミロコと接するときは母星が強いんだけど、イラッシュのことになると途端に女のコになるところが可愛い。好き。
由次郎さんから、その熱さが買われての抜擢となったカゲツことトミーくん。
正直、初日はすごくハラハラしました。笑
猪塚さんって本当に相手に引き摺られやすいから、百ちゃんとかみぞたくと歌うときはいいんだけど、トミーくんの時はもう本当にハラハラした。笑
でも、今日の楽はカゲツのお父さんを思う気持ちが本当に切実で、それを受けてアスターもものすごく入ってたので、満足です。
重要な役だった…。
ルージュ役の島ゆいかちゃん。
私の勝手なイメージだと、トトイより1コか2コ歳下なイメージ。でも危なっかしい(と思い込んでいる)トトイの世話を焼きたい。
トトイのことが気になって仕方がなくて、咲耶さんに相談するところの、自分の感情がわからないとこからの、トトイのことが好きだと自覚する流れが、変化がわかりやすくて可愛かったです。
トトイと背中合わせで2人とも遠くを見つめるところは、初日でも、あ、これフラグだ、と思って辛かったです。
客席を使った演出も、サービス精神旺盛な由次郎さんらしいところの一つ。
アスターがルージュの気持ちに気づいてにやっとする階段でのシーン、今日ものすごく間近で見れてよかったです。通路席万歳。
加藤さんのミロコ。
今日は特にお父さん感増してた。
話し方も何となく棒読み感を出してるのは、大らか感を出したかったからかな。
最初はちょっと違和感だったけど、歌になった瞬間の説得力は、よりこちらの方が増す気がするので、よかったなぁと。
今日は、カゲツがお父さんのことを打ち明ける歌の時、ずっとミロコの表情を見てた。
葛藤してたように思う。
完全に私の想像なんだけど
ミロコ、最初に取引しようとしたけど、あとで何の価値もないリングだと言って、取引をやめたけど、あれって本当に価値がないから取引しなかったんじゃないよね。
『これは君がつけていることで才能を発揮できる』って。
だって、リングには才能が入ってるだけで、どのリングをつけてもその才能は開花するんだよね。
つけている人自身は関係ないはず。
ミロコの中に、人身売買をしてしまった負い目があって、自分もトトイを育ててきたから、父親の気持ちになって、取引しなかったんだと思ってる。
きっと、カゲツの父親も、自分を助けるために自分の子供にロストになって欲しくないと思うに違いないと思ったから。
急にぶっきらぼうになるミロコは極力カゲツと目を合わさないようにしていたような気がする。
本当のところはわかんないけど。
ミロコの父性は本当に暖かい。
中盤で咲耶さんが歌う曲を歌詞変えでミロコがアスターを元気付けるために歌う場面。
ここが一番好き。
トトイを奪ってごめんなさい。
アスターの怯えた心を。
トトイは信念を貫いた。アスター、お前も同じ家族だ。
と、受け入れた。
違う、もう既に受け入れていた。
そのことにアスターは初めて気づく。
もうここが居場所だと。オーバーでも、ロストでもなく、ここが居場所。
あと書いておきたいこと!
咲耶さんとアスターの場面。
リングがなければ何もできないというアスター。
それがオーバーの【常識】。
ここら辺が、オーバーの世界でロストがタブーになってるところと関係してるような気がするんだけども。
どうもこの世界は歪まされてるような。
最大の謎。
イラッシュの存在。
彼ばかりは、情報が少なすぎて本当に謎。
何考えてるかわかんない。
ミロコと咲耶とイラッシュ。
もともと、ミロコ→ほんのり咲耶だったけど、イラッシュの登場で、イラッシュ⇔咲耶…ミロコな図になったのかなって想像してみる。
イラッシュは、たまたまロストに迷い込んで、咲耶と出逢って恋に落ちた、んだよね?
『ロストの娘に恋をするなんて』っていうからには、恐らく本気になったんだよね。
最悪、ロストの実態を知るためにという裏の事情があって、というのも考えたけど、さっきの言葉に繋がらないから却下。
3人で楽しくやってた。
その時から、次期市長であることは周知の事実だった。
じゃあ何のきっかけで、イラッシュはまたオーバーの世界に戻って、ロストの管理に走るようになったのだろう。
ルージュとトトイとアスターを昔の俺たちみたいだと言ってたミロコの言葉からすると、別れるまで、関係は良好であったはずだし、
咲耶さんは歌い続けて、待っている、と言ってる。
『次期市長というな』
2回否定してたけど、単純に現市長だからという理由の他に、その言葉を嫌悪する理由がどこかにあったのか。
例えば、そう呼ばれていた頃の想い出が大切すぎて、現市長となってしまった自分を憂いてるとか……ここら辺は私がイラッシュのキャラクターに救いを求めてるから、本当に勝手に考えてるだけだけど。
ミロコが咲耶さんにイラッシュが来たことを打ち明けた時、咲耶さんが、現市長であることにめっちゃ驚いていたのも気になる。
3人で会ってた時は、そんなつもりはないとか言ってたのかなぁ。
ロストはオーバーにとって、隠しておきたい場所、人であるのは、オーバーの管理者からしたら、リングで全てを決められるのは管理がしやすいからなのかな。
歌の才能のリングがないのに、咲耶さんがあんなに綺麗な歌声で歌うことができるのは、すなわちリングは関係ないってことだよね。
例えば、統率のリングを持つものだけが、オーバーを治めることができると言われていれば、世襲もしやすいし、金で解決できるってことか。
だけど、ロストの存在が知れ渡れば、これまでの価値観が全て崩壊される。
だから、オーバーの管理者は、ロストを世間から隠したがる。
可能性を消去する。
才能が入ったリングは、枷でもある。
オーバーでのリングの取引はご法度。
ロストでは可能?ただ、黙認されてるだけか。
このルールって、オーバーの人間にロストの存在を知られないため、でいいのかな。
アスターは壁の向こう側にどんな世界が広がってるか、知らなかった。
だから、憧れて、リングを外した。…んだよね。
イラッシュ。
ミロコに壁の強化を言いにきた。
過去を忘れ、ミロコのことも咲耶のことも切り捨てたように見えるイラッシュ。
暗に、もう時間がないから、壁を出るなら今だ、と言いにきたって思っていいですか?
それくらいの救いが欲しい。
イラッシュを物語の中の悪者にしたくない。
理由も何も説明されてないから、そのまま受け取れば、切り捨てたとしか見えないけど。
悪者にするほどの情報を受け取ってません。私は。
受取手は無限。
解釈はそれぞれ。
この物語を通して。
約束された才能=親の決めたレールを自ら外し、世界の枠をも超える決断をするアスター。
アスターの、リングがあってもなくても変わらないという何気ない言葉は、トトイに信念を与え、オーバーであるカゲツの心をも動かした。
オーバーでも、ロストでもない、信じるものたちがそばにいるところが居場所。
その居場所は誰にも制限されることはない。
リングがあること自体が悪ではなく、リングを枷にするか活かすかは自分次第。
やっと消化できてすっきり。
由次郎さんの作品、ちゃんと受け止めました。
今日は千穐楽だったので、最後にキャスト1人ずつ挨拶がありました。
百花さんの感極まる姿を見て、胸がいっぱいになりました。
みぞたくが、今日の雨も、(いつもだったら鬱々とするのに)作品の世界観に合っていて、いい気分だと言ってました。
ゆいかちゃんが、初舞台が由次郎さんの演出でよかったと言ってました。
百花さんが、これからも風間由次郎の2歩3歩を見届けてくださいと言っていました。
本当にいいカンパニーだなぁ。
最後に、由次郎さんから、DVD化の発表もありました。会場で歓声があがりました。
猪塚さんが、この空間が好きだと。
この空間を共有できることがうれしいと。
私も同じ気持ちです。
きっと、会場にいた人全員、今日来れなくても、無事幕が降りることを祈ってる方々全員が、場所を超えて、同じ気持ちでいることが素敵。
6月の10日間、初日見てから、ずっと考えてて、充実した日々でした。
DVDでたらまた気づくことありそうなので、それも楽しみだ〜(o^^o)