彼との出逢いは、

私が仕事の合間に建物の外で、

夜の空気と一緒に煙草を吸っているときだった。


彼は、とても緊張していて、

その時の様子を後でからかえるほど、

本当にナーバスだった。


普段は流暢に会話のできるおしゃべりな人だけれど、

言葉がつまりながらも私に一生懸命質問をしている様子を見て、

こういうことに慣れていない人なんだなぁと思った。


助け舟をだすつもりで、

携帯の番号を交換すればいいかと思ったけれど、

彼は携帯電話さえも、持っていないと言った。

仕方がないので、走り書きのメモを渡して、

私は仕事に戻った。


その時の会話は、こんな感じだったと思う。

(数ヶ月前のことなのに、あんまり思い出せない。)



『前にも一度ここで君の事を見かけて、気になってたんだ。

   今日は、思い切って声をかけてみたんだけど・・・・。』


『日本人の女の子に声をかけたのは君が初めてなんだ。』


『僕は、NY出身でxxxxで働いていて、日本に来てまだ数ヶ月なんだ。』


『君は、今彼氏がいるの?

できれば時間がある時に会いたいんだけれど・・・。』



一生懸命、

彼がビブラートな声を響かせながら、話している間、

私は心の中でじっくり彼を吟味していた。


くるりとした巻き毛に、彫りの深い顔、大きな瞳、

その瞳に沿った長い睫毛が印象的だった。


プレイヤにはほとほと嫌気がさして、

クラブにはほとんど行かなくなった私には、

久しぶりで突然な予期せぬ出逢いだった。