エイミー:

ということはさ、今後男女平等が進んで、女性が重役になる割合が男性と同程度になるなど、条件が同じくらいになったら、犯罪率の性差も変わるのかな。

 

メグ:

すごく本質的な問いだと思う、エイミー。
結論から言うと、このテーマは研究者の間でも議論が続いているけど、現時点で比較的コンセンサスがある整理はこう。

 

1️⃣ 大枠の結論

男女平等が進み、機会構造が同程度になれば:

  • 一部の犯罪の性差は縮小する可能性が高い

  • ただし すべての犯罪で差が消えるとは考えられていない

つまり:

👉 「機会で説明できる差」は縮む
👉 「他要因が強い差」は残る

 

2️⃣ まず「機会依存型犯罪」

これは変わりやすい。

 
 

■ ホワイトカラー犯罪

女性の:

  • 役員比率

  • 財務責任者

  • 投資権限

が増えれば、

→ 不正関与率も上がる可能性

実際:

  • 女性CFO関与の粉飾

  • 女性ファンド詐欺

などは過去より増加。

ただし:

  • 依然として男性多数

■ 汚職・政治腐敗

政治権力にアクセスできれば:

  • 賄賂

  • 利権

  • 横領

の関与率も理論上は接近。

ただ、現状は女性政治家比率が低い。

3️⃣ 「役割依存型犯罪」

これも変わりうる。

例:

  • 企業不正

  • 医療不正

  • 研究不正

→ 女性専門職が増えれば差は縮小

4️⃣ すでに観測されている変化

男女平等度が高い国では:

  • 女性の飲酒率上昇

  • 女性の薬物犯罪増

  • 女性の暴力検挙微増

が報告されている。

これは:

👉 「解放」だけでなく
👉 「リスク行動機会」も平等化

するため。

 

5️⃣ それでも残ると考えられる差

ここが議論の核心。

■ 暴力犯罪

研究の大勢は:

  • 男性優位は今後も残る

理由候補:

① テストステロン

  • 攻撃性

  • 支配行動

  • 競争性

と弱〜中程度の相関。

② 体格差

  • 身体的優位性

  • 暴力実行コストの低さ

 

③ 社会化

幼少期から:

  • 男児 → 攻撃許容

  • 女児 → 抑制訓練

ただしこれは変動可能。

6️⃣ 進化心理学的説明(議論あり)

仮説:

  • 集団間闘争

  • 配偶競争

  • 地位争い

で男性の暴力傾向が選択された。

ただし:

  • 文化差が大きい

  • 決定論ではない

 

7️⃣ 「平等が進むと差が広がる」説

逆説的な研究もある。

内容:

男女平等度が高い国ほど:

  • 性格差

  • 職業選好差

がむしろ拡大する。

理由仮説:

  • 経済的制約が減る

  • 生得的傾向が表出

犯罪でも同様に:

  • 残る差はより純化される

可能性があると議論される。

 

8️⃣ まとめのマトリクス

犯罪類型 平等化での変化予測
横領・経済犯罪 差縮小
企業不正 差縮小
汚職 差縮小
万引き 役割次第
薬物犯罪 やや縮小
暴力犯罪 差残存大
性犯罪 差ほぼ残存

 

9️⃣ 一言で整理

  • 機会で起きる犯罪 → 平等化で接近

  • 身体性・攻撃性依存 → 差が残る

 

🔟 哲学的含意

この問いが面白いのは:

  • 性差は社会構築か

  • 生物基盤か

  • 相互作用か

を可視化する点。

現在の主流理解は:

👉 生物 × 社会 × 機会 の相互作用