新年最初のブログ投稿となりましたが、喪中でしたのでご挨拶は今日となりました

本年もよろしくお願いします

 

さて、新年あけてですが、父のいとこにあたる人が去年亡くなっていたことに寒中見舞いの届きにわかって驚き、父と同じ年に亡くなったという事に、ほんと昨年はいろいろなお別れが多かったと思いつつ、新年早々に上原正三さんの訃報にこれまた驚かされた次第です

 

上原正三さんは、知っている方は、ショックを受けられたと思いますが、

ご存知でない方にご説明すると、ウルトラシリーズや特撮ものを中心に多くの脚本を書かれた方です

中でも有名なのが、「怪獣使いの少年」(帰って来たウルトラマン)

初放送の時、リアルで見る機会があったのですが、

その前作にあたる「ウルトラセブン」で特撮には一時燃え尽きたので

次のウルトラマンについてあまり真剣(^^;)には見てませんでした

今、思うと、最大のミステークでした

 

 

 

昨日と今日(セブン今昔物語)

 

 

「君にも変えたいと思う過去はあるだろう!」

私に追い詰められた彼は逆にそう言って私に詰め寄った。

川の向こうでは・・・・ウルトラセブンと星獣が対峙していた。

私は彼から視線を外さないようにするが、向こうで行われている戦いも気になった。

「僕には変えたい過去などありません。第一・・・この時代まだ僕は生まれていません」と、私は答える。

嘘だ!と誰かが私の心に異議を唱える。

・・・お前も幾晩、幾年、あの時自分がこうしていれば、ギエロンやペガッサの悲劇は起こらなかったと後悔したことだろう。

今、R1号の開発を阻止すればギエロン星は破壊されることはなかったろう・・・

あの浮遊都市の軌道修正装置も壊れる前に、ほんの少し角度をずらすだけで地球と衝突することはなかっただろう・・・・

と、誰かが・・・いやもう一人の私が私の心に囁きかける。そんな誘惑に負けまいと私は首を振る。

私が彼に会ったのはつい昨日の朝だ・・・いやそれは今から30数年後だ ・・・

 

 

 

「量子・・物理学研究所ですか」と、言いながらもシマは量子って何だったけと思う。

「そうだ。そこの三田教授が防衛軍に護衛を求めてきた」シラガネが説明する。

「教授の研究成果が何者かに狙われているようだ。それも相手は異星人らしい」

「僕も同行してもいいですか。教授のニュータキオン粒子の研究には興味があるんです」

ミズノが興味深げに聞いてくる。

「悪いが許可できない。教授は極度の人間不信に陥っているそうだ。見知らぬ者が自分の研究室内に立ち入られるのをひどく嫌っている」

「それはどうしてですか。隊長」

「教授の今の研究は、これは軍のトップシークレットで私もよくは知らないのだが、30年以上という月日をかけやっと実用化したというものらしい」

「30年間も・・・すごいですね。俺なら三日も持たない」

「だが、研究を始めた当初は誰にも見向きもされなかったそうだ」

「でも、ニュータキオン粒子の存在が確認され、教授の研究が一躍脚光を浴びたと聞いています」

「しかし、手の平を返したような世間の態度に教授は猜疑心が強くなったようだ」

「自分の研究成果が誰かに横取りされないか・・・ってとこか」

「それでどうして、シマ隊員とカザモリ隊員なのですか?」

「教授がウルトラ警備隊の全員の履歴を参考に二人を指名してきたんだ」

「教授は、人を見る目がありますね。俺たちを選ぶなんて・・・」

「・・・節穴の間違いじゃないの」サトミがちゃちゃを入れる。

シラガネはサトミとシマをにらんでから言った。

「シマ、カザモリ、教授はかなり神経質になっているようだから、慎重に接するように」

「了解しました」

 

 

「君たち、遅かったではないか。一体、何をしていたのだ!」

研究所に二人がやって来ると挨拶より先に三田の雷が落ちた。

三田は、資料によると65歳となっているが、見た目はかなり若い感じだった。

しかし、その振る舞いは年よりずっと老けているようでどこかアンバランスな印象を彼らは受けた。

「こりゃ、想像以上だぞ・・・」シマがカザモリにささやく。

カザモリが頷いていると、「何をこそこそ話しているのだ!」

また彼は怒鳴り、(時間が惜しいのだ・・・)と心の中で呟いた。

「す、すみません。・・・ですが、三田教授。あなたの警護の要請は昨夕あったばかりでした」

シマはややむっとした様子で答える。

「いろいろ手続き上時間がかかります。これでも最優先で伺ったのですよ!」

三田は納得したのかしていないのか、シマたちには分からなかったが、

「それより、早くこちらへ来てくれ」と言って所内の一室へ二人を案内する。

部屋の入口のセキュリティシステムの厳重さに驚く二人を尻目に、彼はさっさと中に入り、

「何をしている。早く来んか」振り向いて彼らにも中に入るように促す。

(この厳重なセキュリティを施している部屋に警護のためとはいえ初対面の人間をこうもあっさり入れてしまうとは・・)

(・・それに教授はなにかしら焦っているようにも思える)と、カザモリはいぶかる。

二人は中にさらに入って驚く。

教室3部屋分ほどのスペースに、所狭しと言わんばかりにいろんな機材が複雑に置かれ配線されていた。

不可思議なようすで部屋を見回す二人。シマはともかくカザモリにもよく分からない装置がいくつもあった。

三田は入口の所に立ってしばらく二人の様子をじっと見つめていた。

それから、「ちょっと、ごちゃごちゃしているが、私の研究は完成に近い」

なぜか声のトーンがさっきより幾分柔らかい。

「そうなんですか・・・それはおめでとうございます。教授」シマがさらに三田の機嫌がよくなるように言った。

しかし、カザモリは何か疑う様子で質問する。

「教授は、人間嫌いとお聞きましたが、どうして我々を研究室の中まで入れたのですか」

「外でも十分警護はできますが・・・」

「・・・君は、随分、単刀直入に聞いてくるな」と、彼はじっとカザモリ見る。

そして、「君たちなら、私の研究が盗まれる心配がないからだ」と、三田はさらりと答えた。

それはどういう意味ですかと言わんばかりにシマが口をパクパクさせるが、

「さあ、無駄話しはここまでだ。私は実験の最終段階に入るから君たちはここで待機していてくれ・・・だが、室内をうろうろはするなよ」

三田はそう二人にクギを刺すと部屋の奥の方へ行ってしまった。

「待機しろって言ったって、一体いつまでだ。ここには椅子を置く場所もないぞ」

辺りを見回しながらシマがぼやく。

カザモリは三田が今作業を行っている周辺の機器に何か見覚えのある感じがして、ずっと彼の様子を見入っていた。

(あの装置の形・・・どこで見たのだったのだろう・・・・何か気になる)

 

 

 

それから、一時間ほどたった頃である。三田が急に二人を呼ぶ。

「すまんが、君たち。こちらに来て少し実験を手伝ってくれないか」

突然、なんで我々がと、二人で顔を見合わしていると、

「何をしているのだ。いいからさっさと来んか!」また三田の雷が落ちる。

二人が慌てて行くと、三田はなにか防護服のようなものを身につけて忙しなく装置を調整していた。

二人は気がつかなかったが、防護服のポケットの一つが妙に膨れていた。

三田は、二人に装置の扱い方の簡単な説明といろいろの指示をしてから、

「それから、君はここで合図あったらこのレバーをゆっくり倒してくれ」

と、シマに言ってから、カザモリに向かい、

「君はこちらでこの目盛りが80を越したところで、彼に合図してくれ」

カザモリは、三田の指示どおり位置につくが、不審げに聞く。

「教授、一体何の実験ですか・・・私たちを使うより誰か助手の方をお呼びになった方がいいのでは」

「なに、ちょっとした実験だ。君たちは私の言う通りすればいいのだよ」

(ちょっとした実験だって、それにしては操作の手順が複雑すぎる・・・)

カザモリはさらに抗議しようとしたが

教授の機嫌をまた損なうのを嫌ったシマは、「いいから言う通りしろ」とカザモリに目配せして、二人は指示どおりに動く。

やがて、装置全体に電源が入り、矢継ぎ早に次々と三田の指示が出る。

最後に、三田が何か台座の上に立つと彼の姿がなぜか霞み始める。

「カザモリ!教授の姿が・・・き、消える!!」と、シマが驚きの声を上げる。

すかさずカザモリが教授を引き留めようと彼に飛びつく。

しかし、三田が消えるのを止められずカザモリまでもが共に消えてしまった。

「三田教授!!カザモリ!!」

シマは二人が消えた方へ叫んだ。

 

 

 

「・・う・・・ん・・」

ゆっくりと私の意識が戻りはじめた。私のそばで誰かがぶつぶつと何か言っている。

「やった・・・この男のせいで・・・ずれたようだが、実験・・・こうしたぞ・・・」

(何が起こったんだ・・・うっ・・)なぜか全身がひどくだるかった。

「み、三田教授・・・だ、大丈夫ですか・・」まだ、目を開けられない私は教授の名を呼んだ。

私が手探りで起き上がろうとしたとき、衝撃が走って私はまた倒れてしまった。

つぎに再び私が気がつくと朝になっていた。

首のあたりがひどく痛む、どうやら誰かになぐられたようだ。

私は、今度はしっかりと目を開けて周りの様子を見た。

研究所に来るときに見た小学校の近くようだった。登校する子どもが見える。

私は、はっとして「教授、どこですか」と三田教授を探すが、何処にもいなかった。

もう一度辺りをよく見回した。

(ここは・・・研究所の近くのようだが、どこか雰囲気がちがう・・・一体なぜだ・・)

行き交う人や車の様子に何か違和感があった。

「あの車の車種は随分前のものだ・・・たしかあの角はビルがあったはずだ」

私は、足元に飛んできた新聞を拾い上げ日付を見て驚いた。

「ここは・・・32年前の過去の世界?・・・そんなばかな・・・」

が、急に教授の研究室で見たあの装置の正体に思い当たった。

 

「思い出した!あれはミーム星で違法に製作されていたタイムマシンに構造がよく似ていたのだ。では、本当に・・・ここは」

その時、「あっ!ウルトラ警備隊の人だ」と、登校中の子どもに見つかる。

あっというまに子どもたちに囲まれた。

「ねえ、どこに怪獣が現れたの」「ポイントターは?」「ホークはどこ?」と、彼らは矢継ぎ早に質問をしてくる。

「い、いま、調査中なんだ。悪いけどじゃましないでくれないか」

それでも子どもたちは「ねえ、何の調査?」と、好奇心まるだしで聞いてくる。

(そうだったこれが30年前の子どもたちだった・・しかし、どうしたものか・・・)

私が困惑していると、パトロール中の警官がやってきた。

「こらこら、ウルトラ警備隊の人のお仕事のじゃまをしてはいけないよ。それにもう学校の時間だ。はやく行きなさい」

と、警官が言ってくれたので私はやっと子どもたちから解放された。

だが、今度は警官の質問攻めに合いそうなので、私は早々に礼を言うとそこから立ち去った。

「このままでは目立ち過ぎるな」

私はダンの姿でなくカザモリの姿のままで変身した。服装も昔のようにジーパンにTシャツの簡単なものにした。

「それにしても、教授はどこへ・・・一体何の目的があって過去へ来たのだろう・・・」

研究所に来る前に読んだ三田教授についての資料を思い出す。

(彼の妻子はなくなっているが20年前だ・・・事故だったそうだが、その人たちを助けるためではなさそうだ・・・一体32年前に何があったのだ・・・・)

 

                                 つづく

その1了

 

 

ここまで読んで頂いてありがとうございます

このお話も、かなり前(2007年くらい)に書いて、とあるサイトに掲載させて頂いたものです

冒頭でお気づきと思いますが、二人のダン(セブン)のお話でもあります

昭和セブンと平成セブンとのコラボです

 

令和になりましたが、令和セブンはてさて登場しますかしら