今日も朝から雨が降っています。

冬の間、葉っぱが落ちて丸裸になっていた楓の木も緑の葉っぱがふさふさ茂ってきました。

雨で葉っぱが生き生き、雨粒がキラキラしています。

緑が鮮やかな季節がきました。

最近、雨の日が続いています。

そんな雨を感じながら、時折江國香織さんの『東京タワー』を読み返しています。

『東京タワー』

江國香織著

新潮文庫

東京タワーの最初の1文にも雨という言葉が入っています。

この最初の1行で読み手である私自身も物語の中に入っていく感覚になるような魅力的な1文です。

東京タワーを読むと、いろんな雨の日を表現する文章や夕暮れ時の空の表現など日常のちょっとした光景や言葉を美しく表現しています。

そして、江國香織さんの小説を読んでいると、登場人物たちの本には書いていない部分の

性格や生活や考えが自分の想像力で読み取れるような気になります。

それは正解とか不正解とか分からない自分だけの妄想みたいなものですが。

文章で書いていないものを想像する不思議な感覚になります。

これは、以前、徳島県の大塚国際美術館に行った時に出会った印象派時代のアンリ・ル・シダネルという20世紀初頭に活躍していたフランスの画家の絵と同じような感覚でした。

それまで私は、シダネルの絵を知りませんでした。

『日の当たるテーブル』と題されたこの作品を見て

テーブルの上に置かれた3つのティーカップにティーポット、ワイングラス、ワインボトル？椅子にかけられた薄いショールのようなもの。木陰なのか木漏れ日がところどころ漏れていて午後からのお茶会？

涼しい木陰で紅茶やワインを飲みながら、何を話していたのかな？

薄いショールのようなものから、1人は女の人もしくは3人とも女性かな。

男の人もいるかもしれない。

紅茶から湯気が出ているような・・・

3人は今はどこにいるんだろうとか、

人が描かれていなくても、そこに人がいたことがわかるような想像力を掻き立てられるような絵にとても心惹かれました。

この絵は原画ではなく陶板ですが、それからほどなくして、我が町に海運王バレルコレクションがやってきて、

初めてシダネルの原画を見ることが出来ました。

『月明かりの入り江』と『雪』という作品です。

このどちらの絵もやはり想像力を豊かにしてくれる淡い色合いの素敵な絵でした。

シダネル自身が描いた絵を見て感動しました。

江國香織さんの小説は、シダネルの絵のように

想像力を掻き立てられるような文章を書かれているような・・・

私だけがそう思うのかもしれませんが

この『東京タワー』を始め、『神様のボート』

『きらきらひかる』

と江國香織さんの小説を3冊続けて読みましたが『きらきらひかる』を読み進めるうちに

いつの間にか主人公の笑子(しょうこ)さんの気持ちに寄り添い過ぎて涙が落ちてきてビックリしました。

笑子さんの気持ちになり、切なくなり苦しくて涙が出たみたいです。

想像力・・・絵も文章もそこに書いている以上のものを想像させる力ってすごいなと思います。

窓の外に降る雨を雨音で想像してみたり、

その雨をどんな言葉で表現するかを考えてみたり

日常生活もそんな風に想像力を豊かに生活していると楽しいかも。

なんて思う雨の日。

でも、何にしろ心にゆとりがないと

そんな気にもならないかもしれません。

ツツジが綺麗に咲いているのを見て癒されたり。

明治スーパーカップバニラ

美味しいおやつを食べて幸せな気分になったり。

雨・・・まだ、降りそう。

今日も雨 想像力を掻き立てられるもの

今日も雨想像力を掻き立てられるもの