今回は、塾講師の経験を通してお話します。

 

まず、私自身のことです。

エピングハウスの忘却曲線のお話はご存知の方も多いでしょう。

要は、勉強しても放っておけば忘れていくというやつです。

 

塾で教えるために、私は30数年ぶりに数学を勉強しました。

その時の感想は…

 

「覚えてる!」

 

自分で感動しました。

 

数学はあまり好きではなかったのですが、一度勉強したことは思い出せるのだなぁと実感したのです。

 

「引き出しに入ってるものは引き出せる」

ということです。

もちろん引き出しへのしまい方もあります。

上手にしまえば、それだけ引き出しやすいわけで、あとで自分が楽になります。

では上手なしまい方とは?

それは個人個人違います。

 

結論から言ってしまうと、それを学ぶこと自体が勉強だと私は思います。

自分で工夫しながら自分なりの勉強の仕方を身につけるということです。

その為には、まずやってみるしかありません。

そして、自分なりのやり方(これなら楽しいし、入っていく)というものを見つけていくのです。

 

すると、勉強を通して自分を知ることもできて、それは当然のことながらその先の人生に役立ちます。

 

また、できないことを振り返ることができる子は、できるようになります。

逆に、振り返らない子は成績が伸びません。

当たり前のことですが、自分を振り返ることができる素直さは、人が伸びるための重要な要素です。

 

子供に「何のために勉強するの?」と聞かれた時、「生きるためだよ」とか「自分のためだよ」とか「必要だからだよ」と言っても、子供には抽象的すぎてわかりません。

 

大人と違い人生経験の少ない子供には具体的で身近なことが伝わりやすいです。

どう伝えるかは、勉強についての個人の価値観によります。

 

私の場合は「自分が色々なことを知っていたり出来たら、人に教えてあげたりやってあげることができる。自分も楽しいし他人も嬉しかったら、みんなが幸せな気持ちになるでしょう」と言いました。

 

子供が大人になり、社会の一翼を担っていくわけですからそれを考えると

 

★自分のためが、他人のためにもなること。

★一人の得意だけでは社会は成り立たず、それぞれの得意が集まって社会が機能していること。

★だから不要な人間はいないこと。

★自分も必要とされるように努力すること。

 

自分のためだけでは、小さな世界でしか生きることができません。

それは一回しかない人生でもったいないことです。

 

社会全体をみる大きな視点で、大人が子供たちに接して欲しいと思います。

それが子供たちの視点も広げることにつながって行きます。