バルテュス展(2) | 東京散歩 * Allons Nous Promener aux Milieux de Tokyo

東京散歩 * Allons Nous Promener aux Milieux de Tokyo

ハイセンスなヘアアクセサリーのセレクトショップMilieux de la Cultureのスタッフブログです。
新着商品情報のほか、東京都内を中心に管理人の独断と偏見(笑)で選んだMilieuxなスポットをご紹介します。

こんにちは!
Milieux de la Cultureです。

今日は、東京都美術館で開催中のバルテュス展についての続きを(前回はこちら)。

20世紀最後の巨匠と呼ばれるバルテュスの絵。
個人的にはちょっぴりデフォルメの効いた平面的な絵のほうが惹かれました。遠近法を多用した奥行きのある絵というよりも、フレスコ画のようにのっぺりしたような絵の数々。写実的なものを見慣れた身には新鮮に映りました。

何よりもバルテュスの絵の構図に興味を持ちました。
例えばこの二つの絵。左は「決して来ない時」(La Semaine des quatre jeudis)、右は「地中海の猫」(Le Chat de Méditerranée)です。

バルテュス展


左の絵の、少女の白い足は、不自然なまでにまっすぐ描かれていて、四角いキャンバス内で「斜め」の線を浮き立たせています。一方右の絵は、水平線やテーブルの直線に対して、虹が描く弧のラインが効いています。メルヘンなこの絵は、レストランの壁に描かれたものらしいです。会場でも、小学生ぐらいの男の子がこの絵を模写していました。色彩も明るくて、観ていて楽しいですよね

さらにこの二枚の絵には共通点があるんですよ。
というのも、ここに描かれている女のコはどちらもジョルジュ・バタイユの娘さんがモデルなんですって
バルテュスの年譜を見ても、バタイユとはかなり親しかったんだな、ということを感じました。

そもそも、バルテュスが若干13歳のときに出版された彼の絵本『MITSOU』は、詩人リルケの後押しによるものだったそうです。

『MITSOU』の絵がかわいくて、思わずグッズを買っちゃいました
これはダブルファイルです。

MITSOU


「スキャンダラス」かもしれないバルテュスの絵をどう観るか?ということについては、すでにいろんな人がいろいろに論じているようですが、中でも彼の妻の節子さんのインタビュー記事は、今回の回顧展に向けてのもので、アートは門外漢の管理人でも読みやすかったです。ご関心があればぜひ!

会場には、バルテュスが晩年を過ごしたスイスの「グラン・シャレ」内にあった彼のアトリエが再現されていて、管理人でも楽しめるような工夫が凝らされていました。お道具類も、ホンモノをわざわざ運んだそうです。

門外漢が楽しめるという意味では、その「グランシャレ」をバックに、写真家の篠山紀信氏が撮影したバルテュスとその家族の写真パネルが複数展示されていて、これも興味深く観ました。

今回展示されていた写真のほとんどは、下の写真集に収められたものでした。


中でもバルテュス本人のポートレートが圧巻で
私のお気に入りの写真は、権利がらみでいろいろあると思うので、あえて遠巻きにぼかしてみました。



グランシャレをバックに、色とりどりのお花が咲き乱れる木陰で、袴姿のバルテュスが赤いバラを手に持って頬杖をついています。
構図も好きだし、写真を彩る色と光のコントラストがとてもきれいです。

先ほど、彼の華麗なる交友関係が垣間見える著名人の名前をいくつか挙げましたが、彼自身貴族の家系に生まれた人物なんですよね。

彼の本名は「バルタザール・ミシェル・クロソウスキー・ド・ローラ」。
そう、「クロソウスキー」。
ピエール・クロソウスキーは彼のお兄さんなんです。

このこともからめて、セイゴオ先生が「バルテュス」を論じているのですが(記事はこちら)、こちらも読み応えがあってとってもおもしろいです。

さらに関連番組も目白押し!
5月17日(土)の21:00からは、NHK BSプレミアムで「バルテュスと彼女たちの関係」が、25日(日)の9:00からのEテレ「日曜美術館」では、『バルテュス 5つのアトリエ」という回が放送予定です。
これを機会に、管理人もバルテュスの世界観に親しんでみたいと思っています。

バルテュス展は、6月22日まで上野の東京都美術館で開かれています。

バルテュス展: http://balthus2014.jp