ターナー展(1) | 東京散歩 * Allons Nous Promener aux Milieux de Tokyo

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こんにちは!
Milieux de la Cultureです。

先日のイベントに合わせて神戸入りした管理人でしたが、昨年末に東京で見逃したあの「ターナー展」がちょうど神戸で開催されていることにはたと気づき、チャンスとばかりに神戸市立博物館に行ってまいりました。

ターナー展


ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(Joseph Mallord William Turner)。
19世紀前半に活躍したイギリスの画家です。

六本木での「ラファエル前派展」に関する回でも触れましたが、管理人は15年ほど前にテート・ギャラリー(現在のテート・ブリテン)に出向き、ターナーの膨大なコレクションを観ています。

とはいえ、ターナーとの最初の出会いがテート・ギャラリーだったわけではなく、ターナーという画家を知ったのは、当時ロンドンに3ヶ月ほど滞在していたときによく通っていた「ナショナル・ギャラリー」でした。
(なんといってもナショナル・ギャラリーは入場無料ですから!)

私が見たのはこの絵でした(今は展示されていないようですが)。


《解体のため最後の停泊地に引かれていく戦艦テメレール号》
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 
(ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵)


ロンドンのナショナル・ギャラリーには、ダ・ヴィンチやラファエロ、モネやゴッホなどの大御所サンの絵ももちろん揃っていますが、私がナショナル・ギャラリーで初めて名前を覚えた画家が、ターナーとコンスタブルでした。二人とも同時期に活躍したイギリスの風景画家で、よく並べて展示されています。コンスタブルの絵はテートにもたくさんありました。

私にとってのターナーの絵の記憶は、水彩画特有のにじみを生かした光、「帆船と波」のモチーフ、そして全体的に「黄色っぽい」ということ。一方、コンスタブルは田園風景が多く、ターナーよりも緻密な絵を描いていた印象です。

ということで、私の場合、ターナーとの最初の出会いが英語環境だったため、細かい英語の解説など(面倒くさくて)全く読んでおらず、ターナーの人となりまで知らずにきましたが…、今回の回顧展で初めてターナーその人のエピソードの数々を目にし、ちょっと笑ってしまいました。

図録にはいろいろな話が。
たとえば知人のおうちに泊めてもらっても「たいがい機嫌は良いものの、教養は乏しく、人づきあいが悪く、食事には遅れるし、泊めてもらった家族に感謝する素振りもあまり見せない」とか、「金を好むこと尋常でなく、金が手元を離れてゆくのを酷く嫌がったともいう。極端にむら気だったらしく、穏やかさと烈しさ、気前の良さとけちの間を躁鬱病のように揺れ動いた」とか、展覧会で自分の隣の絵のほうが鮮やかな色使いであることに気づいたターナーは、自分の絵にもっと目立つ色を塗ったとか。

…なんという書かれよう。
けっこうサイアクなお方じゃないですか。ターナーさんってば

そんなターナーの人となりはさておき、日本語の解説でターナーに再会したことで、なるほどと思ったこともいくつかありました。

ひとつは彼がクロード・ロラン(Claude Lorrain)を非常に尊敬していたということ。

たとえば現在神戸に来ているターナーの「レグルス」。


《レグルス》
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
(テート・ブリテン所蔵)


遠近法を駆使したこのテの構図は、ターナーの絵ではよく見られるんですが、それがロランの影響だというのは、たとえば次のロランの絵を見れば明らかです。

《海港-シバの女王の船出》
クロード・ロラン (ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵)


ちなみにこの「海港-シバの女王の船出」は、ナショナル・ギャラリー内でターナーの次の絵と同じ部屋に展示されています。そうやってロランの隣に展示することを条件に、ターナーは自分の絵をナショナル・ギャラリーに遺贈したとのこと。

Dido
《カルタゴを建設するディド、あるいはカルタゴ帝国の興隆》
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー (ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵)


ターナーさん、クロード・ロラン師匠がめっちゃ好きだったんですね
散々言われてますけど、かわいいとこもあるじゃないですか。

そんなこんなで偶然にも見に行くことができた「ターナー展」。
今回の展示についてはまた日を改めて。

「ターナー展」は4月6日まで、神戸市立博物館で開かれています。

ターナー展: http://www.turner2013-14.jp