話題のエシカルブランド「andu amet(アンドゥ・アメット)」(後編) | 東京散歩 * Allons Nous Promener aux Milieux de Tokyo

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今話題のエシカル・バッグブランド「andu amet(アンドゥ・アメット)」のプロボノの方からうかがったお話、最終回です(長々とすみません)

お話をうかがっていて思ったのは、単に途上国での生産品だとかフェアトレード商品だというだけではなかなか大きな販売につなげることができない現状があるのかな、ということです。

というのも、「andu amet」の話題が広がれば広がるほど、似たような取り組みはいろんな方が以前から行っていたはずなのに、そちらはなぜ今までそれほど話題にならなかったのか、と思ったりするんですよね。

「andu amet」とその他の取り組みとの違い、または「andu amet」のすごいところは、おそらく卓越したストーリーの創り方・載せ方(いわゆる「ストーリーテリング」というヤツですね☆)にあるのかな、と思っています。
商品に/製造工程に/ブランドにリッチな物語性を持たせ、それをマーケティングの段階で最大限活かしきること。
これは、エシカル・ジュエリーブランドの先駆けである「HASUNA」さんの動きを観ても感じる部分ですし、この点が従来のNGO・NPOの同様の活動に少々欠けていた部分ではないかと思います。

一点ひっかかったことと言えば、今回のプロボノさんが、現地の職人さんの賃金が、エチオピアの平均の10倍ほどだとおっしゃっていた点でしょうか。

フェアトレード製品の生産者が、労働搾取された生産者よりもより高い賃金を手にできるのはごく一般的な話なのですが…私の知る限り、10倍という数字は、これまでこのような取り組みをしてきた団体からは聞いたことがない数字だったんですよね…。どのような理由で、給与水準を決めたのか、お聞きしてみたいと思いました。

※2月3日追記:
この点について、後日代表の鮫島さんご本人に確認したところ、10倍はちょっと言い過ぎで、実際は3倍ほどとのことでした。また、ここでいう数値は、一応公務員の平均給与に対する倍数とのことですが、エチオピアは所得格差が非常に大きいため、平均の何倍というのはあまり参考にならないとのことでした。確かに公務員と大手民間企業の管理職クラスの給与の差を考えれば、日本でもそのぐらいの数値になりますものね。納得しました。


「エシカル」というキーワードが広がっていくことは確かに素敵なことなのですが、個人的には何をもってethicalと考えるのか、ということを常に問い直しながら進むことも必要なのではないかと思ったりしています。

なぜアフリカは「貧しい」のか。
世界の富が偏って存在している、という現実をどう考えるのか。

そのことを考えると、例えばアフリカの経済規模や物価水準が先進国並みになるように支援することが果たしてethicalなことだといえるのか、という疑問もでてきます。
そのethicalは、誰にとっての「エシカル」なのか、ということなのかも知れません。

また、エシカルというからには、今までの私たちはエシカル「ではなかった」ということでもあります。
では、そのとばっちりは誰が受けてきたのでしょうか?
そう考えると、「エシカル」がブームになるという現象に小さな違和感を覚えたりもします。

くしくも「エシカルファッションジャパン」代表の竹村さんは次のようにおっしゃっています。

いずれはオーガニックコットンが通常のコットンの作り方となり、適正賃金が当たり前となり、エシカルファッションが一般化され、「エシカルファッション」と呼ばなくても良い世界になることを願っています。

それは、「エシカル」というキーワードがもはや物語性を持たなくなる、ということでもあります。

「エシカル」=100%イイコト!と思い込んでしまう一歩手前で、少し冷静になることも必要かもしれませんね。

とはいえ、途上国の貧困問題は本当に差し迫った深刻な問題ですから、「エシカル」を旗印にこの状況を少しでも変えていく動きがより広がることが大切であることはいうまでもありません!
「andu amet」さんのような動きがもっともっと大きく広がっていくといいなと思っています。

なお、今月15日(水)から六本木ヒルズで「andu amet」の商品を直接手にとって見られるそうです。
関心のある方はぜひお出かけになってはいかがでしょうか?

=六本木ヒルズPop-up Boutique=
期間:2014年1月15日(水)~2月16日(日)
場所:六本木ヒルズ 3階 ウェストウォークワゴン(エスカレーター横)


これからも「エシカル」に注目していきたいと思います