もちろん、最初は真面目な主婦。
まさか自分が婚外恋愛に足を踏み入れるとは、想像もしてなかった。



きっかけは職場の上司だった。
仕事ができて、誰にでもフラットな人。
物腰が柔らかくて、スポーツマン。
50歳になるその人は、本当に素敵な人だった。
忘年会、同じ帰り道。
二人きりになって、自然と体の距離が縮まっていった。
「今度、二人で飲もうか。」そんな誘い方も大人な男らしくてストレート。
思わず頷いていた。


男の人と二人きりでお酒を飲むなんて…。
そんなことにさえ後ろめたさを感じながら過ごしたドキドキの時間。
「もっと一緒にいたいね」
そんな言葉に今まで感じたことのない興奮を覚えた。





結局。
お酒を嗜むだけの関係のまま、彼はある都市へと異動していった。
さみしくて、せつなくて、
彼に触れてみたくて…


一度だけ、会いに行った。


でも。
彼はもう変わってしまっていた。
昇進した猪突猛進の支店長になってしまっていた。
仕事のこと以外、考えられない。


今の私なら、そんな男の人の気持ちも理解できるけど。
その時は傷心して、自分の存在価値なんて何にもないんじゃないかって心から落ち込んだ。

落ち込んで落ち込んで、
「誰でもいいから私を必要として!
私を女として見て!」
って心の中で叫んでた。


そんな心の声を聞いてくれた人がいたんだな。