折り畳み傘? 絆創膏?
以前付き合ってた彼女から、突然のメール。
「少しだけ、お時間ありますか?」
「……大丈夫やけど」
久しぶりに会った彼女は、少し窶れて見えた。
「急にどうしたん、珍しいな。」
「別に…」
「彼氏と、喧嘩でもしたんか?」
「違うよ。
もう別れたから…」
「そんなら、どないしたん?」
「別に…」
相変わらずの、沢尻エリカ様口調…やな。
でも彼女の、表情や仕草を見て、何かあったのは、直ぐに分かる。
余計な詮索は止めにして、他愛のない会話と、仕事の愚痴を聞く。
1本だけ飲んだビールのせいか、別れ際にふと、彼女を抱き寄せた…
間近で見る彼女の頬には、薄っすらと涙の跡が…
「お前は、ホンマにしゃあない奴やなぁ~」
彼女の車のテールランブを見送った後、ふと考えてしまう。
折り畳み傘…
いつも鞄の底に転がってて、時折降る、彼女の涙の雨を防ぐ、折り畳み傘になろう。
絆創膏…
純真無垢な彼女の心が、もし傷ついたら、そっと優しく貼る、心の絆創膏になろう。
もうとっくに終わってるはず…やのに何で?
ホンマにしゃあない奴やなぁ~、俺は…
先日、親しい友人から、土産に貰った「縁結びの赤い糸」
早く誰かに渡して、新しいご縁を、見つけよう。
元彼女とは、切っても切れない糸…
もう抗うのは、無理だと思うから…
