昔は文章を書くことが得意だった。本を読むのが好きだった。
家にはバランスボールがあって、そこにねっころがりながらよく本を読んだ。
日が暮れるのも忘れて読むから、部屋が暗いよとよく注意されたものだ。
カタカナの言葉など発音に慣れていないものが出てくるとその言葉が珍しくて口に出しながら読んだ。
読んだ量はとても多かったと思う。
だからか、自分の複雑な気持ちを上手く言葉に表すことも得意だった。
気持ちがうまく表せなくてうざいとかきもいとかその場限りの短い言葉でごまかしたり、手が出てしまうこともなかった
私はその時その時で上手く言葉を使うことができていた
けどそれが最近うまくいかない。この気持ちは何て言う言葉が適切なのか、どんな表現が一番近いのか、出てこない。
生きている年月はあの頃の約2倍にはなっていて、確実に触れた言葉の数は多いはずなのに。
この現象は私が大人になって本に触れる機会が極端に少なくなってしまったからだと思った。
だからまた、本をたくさん読もう。
自分を表現し、守るために。