”完璧”と言う言葉が好きだった。
小さな頃から完璧を目指していた。
それはつまり、完璧を演じるということであり、見せ方を知ったのはいつ頃だっただろうか。
なにもかもが完全に整っている。そんな状況に胸はいつも高鳴った。
スターバックスでカフェモカを頼んで時間が経つに連れ少しずつ氷が溶け分離していくあの瞬間なんて、とうに許せないのだ。だから、私はトールサイズ以上の大きさを選ばない。飲み物が旬を逃して行く前に私の胃に収めてしまうのだ。あぁ、なんて完璧な昼下がり。
それが今この瞬間、私は時間が経ったカフェモカを受け入れようとしている...!
自分の思い描く通りに全て人生が上手く行くとは限らないことを私はつい最近学んだ。
そう、ある時は溶けきったカフェモカまでもを受け入れなければならない時もある。
スタイルを持つこと、強い信念を持つこともそれはそれは大事だ。
皆、それを持った魅力的な人間になろうと自己啓発本に必死にかぶりついている。
しかし、そんな素敵すぎる人生を生き続ける事は不可能であることをある日突然知らされる。
そこで、初めて分かるのだ。
不完全さを認めてこそ、完璧さがより際立つことを。

