先日来、世間では著名ママさんタレントの不倫ラプソティがネットや週刊誌を賑わせています。
ラプソティのヒロインは、日本アカデミー賞主演女優賞の受賞歴もある、あの人気女優さん。
高知出身、幼少期より芸能界への憧れを持ち、「小さな頃から、将来は『テレビに出る仕事』をしようと決めていた。(中略) 自分にとっては、現実的な将来設計のつもりでもあって、周囲には、高らかに公言もしていた」(フォトエッセイ「sketch」より)そうです。中学1年生の時の文集には「15歳の時-輝くモデルデビュー、18歳の時-芸能界に入り女優になる」と書いていましたが、見事にその夢を実現させ、中学2年生の時にニキビ治療薬発売会社主催のビューティーコンテストに応募してグランプリを受賞、CMデビューを果たします。上京したのち、都内の制服ランキングで常に上位を争う女子高に入学。高3の11月に早稲田大学に自己推薦で合格すると、翌年の2月の入試では一挙に男子の受験者がなんと対前年比約3000人の激増(女子受験者数は+300人)、「××効果」と言われたそうです。
ミッツマングローブさんをして「あのポケベルのCMで」「こんな子にこんな顔されたら大変だろうな、と慄くくらい、明らかに別格」と言わしめ、「清純と穢れの背中合わせ」(同)を体現し時代のアイコンだった10代。
23歳で結婚、出産を経て28歳で離婚。30歳でキャンドルアーティストと再婚、2人の子供をもうける。
この女優さんを語る時、「透明感」というワードがよく使われます。美白肌に涼やかな一重の目元、そしてスッキリ通った鼻筋は、例えば仮に「北欧系の血が入っている」と言われたとしても全く違和感がありません。そんな日本人離れした美貌が「透明感」とうワードとマッチしているのは想像に難くありませんが、もう一つ、彼女の「透明度」upには2007年から放映された「からだ巡り茶」のcmの効果も大きく寄与しているのではないでしょうか。ビルの屋上で白いキャミソールの彼女がお茶を飲むシーンに「浄化計画、始まる」というナレーションが被るcmを覚えてらっしゃる方も多いかと思います。
1980年生まれですから、この方は私の8歳上になります。十(とお)近く離れると同世代、ではないですね。ひと世代上の人、と言っていいでしょう。
私のこの女優さんに抱くイメージは、「自分軸で生きる人」。自分の本音を大切にし、「他人にどう見られたいか」ではなく「自身の価値観にしたがって生きる」。
周囲が驚くほど早い結婚・出産をした後、家庭に入るのではなく、女優業と母親の両立を目指しました。
自ら書いたエッセイの中で、彼女はこう語っています。
「どうして女性だからって結婚か仕事かを選ばないといけないんだろうという疑問があった。男性はお仕事を続けながら結婚できるのに、どうして女性はできないんだろう」
母になることで何かを諦めるのでなく、「母も女優も」を目指す。昔、岡田准一さんがこの方のノートを借りたときにその余白に「二兎追う者だけが二兎を得る」と書かれていたことをバラエティ番組で明らかにしました。
かっこいい。「二兎を追うものだけが二兎を得る」。
「マミートラック」という言葉があります。「母親となった女性が産休・育休から復職した際に、自分の意思とは無関係に職務内容や勤務時間が変わったり、その結果社内における出世コースから外れていったりする事象をさす言葉」とされています。もともとはワーク・ライフ・バランスを慮った企業の配慮の一環だったのですが、今や「子を持った女性が、社内のメインストリームから否も応もなく外されてしまう、無形のペナルティのようなもの」としてネガティブな意味で使われることが多いようです。出世コースから外れたところに「お母さん用のコース」があり、出産して復職するとそのコースに「勝手に」投げ込まれてしまう。「トラック」とは車の種類のトラック(truck)ではなく、レーン(走路)と同義の「進路」「軌道」の意味のtrackなんですね。
旦那はバリバリ働き、上司の覚えもよく、同僚からは頼りにされ部下からは慕われ。社内のヒエラルキーも順調にステップアップしている。仕事一辺倒で家事育児は女房任せか、というとけっしてそんなことはなく、「イクメン」として同僚女性社員からは「奥さんが羨ましい」と評判らしい。たまに保育園に送リ迎えをすれば、園友ママや保母さんからは「あら、今日はパパが送ってくれたの?いいわねえ」と褒めそやされる。
「何か手伝うよ。何すれば良い?」
その言葉にイラッとしてしまう「私」。手伝うって何?この子はあなたの子供でもあるでしょ?手伝うって、本当はキミの仕事だけど関係ない僕がやってあげるよ、ってことじゃない。子育ては全部私の仕事ってわけ?手が空いたときだけアリバイ作りみたいにちょこちょこっと関わって、イクメンでございって周りからも褒められて。そんなの絶対フェアじゃない。なぜ私だけが仕事を諦めなければならないの?
そんな世間・社会の決めつけと有形無形の差別に傷つき、人知れず悔し涙をこぼしたワーキングマザーたちの共感を得た、として、昨年は「ママたちの憧れや目標となる」存在たる「ベストマザー賞」も受賞しました。
しかし、彼女にとって「二兎」は「仕事と母親」の2つの目標、にとどまらなかったようです。有り体に言えば「旦那も恋人も」。
「なんだ、結局、彼女は一つのことに満足できず、あれもこれも、と、単に欲しいものは同時に手に入れたいという贅沢で子供じみた人に過ぎなかったのか」 そう世間は失望したのでしょうか。不倫が明らかになるや「子供が可哀想」「単なる男好き」「自由奔放の恋多き女」と大バッシングを浴びせました。
でもちょっと待って、と私は思います。
「自分軸で生きる女性」である彼女に、勝手に「仕事も母も諦めない憧れのママ像」をお仕着せしたのは世間の方じゃないのでしょうか。CMの刷り込みでこれまた「透明感溢れる女性」と虚像を膨らませて。
世間様曰く「母親業と女優業の二兎を追うのはいい。でも、夫を裏切ってはならん。固い操を守るベストワイフこそがベストマザーの資格あり」ということなのでしょう。元来この国は、夫の浮気には寛容で、妻の不貞には厳しい。今回の大バッシングにも「母親はけっして恋してはならぬ存在」という世間様の決めつけが透けて見えます。
この騒動のさ中、ネット上で「妻であり母でありながら、自分軸で生きる女性が跡を絶たない」という記事を見つけ、書いたのが女性ということもあって、珍しく渦中の女優さんを擁護する意見発見!と思って期待して読んだら、なんのことはない「そういう人が跡を絶たず、困ったものである」というテイストの記事でがっかりしてページを閉じました。よくよくライターの肩書を読めば結婚相談所の主宰者でお歳は結構なご年配。ああ、それじゃあね、と納得した次第ですが。
彼女は単に、自分の価値観に正直に生きているだけなのではないか、と私は思います。今回の騒動は、売らんがために「透明感に溢れ」「仕事も母も頑張る女優」という虚像を膨らませたマスメディアと、そんなメディアに印象操作され、期待を膨らませて、そして勝手に裏切られたと憤る世間の合作にすぎないのではないでしょうか。
私の周りの「マミートラック」に悔しい思いをしている友人知人は、かの女優さんに裏切られたともなんとも思っていません。女優業は彼女たちが直面している「仕事」とはまったく異質なるものであり、そもそも彼女の存在がベストマザー賞主催者の言うように「働くママたちのあこがれと目標」になっていたかさえ、怪しいと思っています。
今回、この女優さんの不倫騒動が耳目を集めた一番の理由は、登場人物たちのキャラが桁違いに立っていることでしょう。
一人で記者会見場の設定から受付まで行い、冒頭、延々と反原発の演説をし、「妻の不倫は今回が初めてではない」と言い放ち、過去、違う不倫相手に話をつけに行ったこともある、と仰天発言をした現夫さん。「きもちくしてくれてありがとう」の名フレーズのある例のラブレターのリークも、この夫さんがした蓋然性が高いし、「精神的に不安定になると濃い化粧をして夜な夜な出歩く」なんてことも暴露してしまって、いくら寝盗られた夫とはいえ、話していいこととと悪いことがあるんじゃない?と、周囲のママ友の評価は最悪です。
かと思うと、雲隠れから突然姿を表し、取材の記者に「ク◯っすよ、あいつは」「まじでああいうやつは抹殺された方がいい」と話し、現夫に対する猛反撃を開始した料理人に対しても、「ク◯はお前」「盗っ人猛々しい、とはこのこと」とこちらも評判は散々で、今のところ、ママ友たちのジャッジは勝者なし、双方敗者のドロー、という雰囲気です。
そんなママ友たちがヒロインの女優さんをどう見ているかというと、「男を見る目が無さ過ぎ」と、ダメンズウォーカーの旧友を慰めるような、同情と哀れみの混ざった視線を投げてかけはいるものの、「母親失格」などと断じていないのは、マミートラックに悔しい思いをしている知人友人と共通です。
まあ、媒体が売れ、ページビューが稼げさえすればそれでいいメディアは、今回のラプソディーは天から降ってきた絶好・極上のネタでしょう。
今後この騒動がどういう形で収斂するのか想像もできませんが、世間一般に迷惑をかけているわけでもないし、あとは三人で冷静によく話し合って、子供さんや、大人の中で唯一、一般人である料理人の奥さんが悲しい思いをこれ以上しないように解決することを祈るだけです。
実は私の夫は、上の子の妊娠中の初浮気に端を発し、以来、相手を変えて延々婚外恋愛にうつつを抜かすしょーもなく女にだらしない男で、私はだから10年以上年季の入ったサレ妻ということになります。今回の騒動で言えば同じ立場である料理人の奥様の視点が一番同一化しやすく、とすれば、略奪者である有名女優さん許すまじ、となるのですが、あのキャンドルアーティストには我慢できなかったんだろうなあ、と女優さんに大いに同情・共感し、全く憤る気持ちが湧いてこないことも打ち明けなければなりません。
今回、なんでこんな話を始めたか、というと、この有名女優さん不倫騒動をきっかけに、もう何年も前ですがある行楽地で「生(なま)不倫カップル」とレストランで隣り合わせとなってドキドキした記憶が蘇り、そのお話をしようと思ったのですが、例によって前置きで相当長くなってしまったので、その話は次回に回すことにします。
今回も超長文の日記(日記ですらない?あはは…そうですね(^_^;) 最後までお読みいただきありがとうございました。