老朽化した城

老朽化した城

ご訪問ありがとうございます!!私のなんのへんてつもない日々、創作小説を書いてます´・ω・
投稿頻度はメタルスライムです。

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 土砂降りな雨の中1人、俺は立っていた。掴めぬものを掴もうと、必死に手を伸ばした。
俺は雨に問いかける。
「どうして俺は約束を果たせなかった。」
雨は答えるわけもなく、空から現れたと思えば、すぐに地へと消えていった。
俺は空に手を伸ばす。しかしそれは、あの子と同じ、届くはずもなかった。
上を向くと雨は俺の顔へと降り注ぐ。・・・俺の涙を隠すかのように。
振り返るとあの子はやはり今日もやってきた。傘も刺さず、びしょ濡れの階段に膝を抱えて腰掛け、俯いた。
俺はその子の隣に座り、微笑んだ。
「風邪を引くよ。」
その子は何も言わず、俯いたままだ。
「何か悩んでるんだったら話してみなよ。」
その子はやはり変わらず黙っていた。
・・・仕方が無い事だ。俺は君には見えないし、触れることだって出来ないのだから。
雨は俺の心のように、激しさを増すばかりである。
叶わぬ夢を追い続ける俺はやはり馬鹿なのだろうか。
「君が心配だよ・・・君の事、好きだから・・・」
死んでしまった俺を、君はまだ恋人だと思ってくれているだろうか。