心療内科を受診して2週間

最悪な精神状態で一周忌を迎えた



外に出てもうまく呼吸もできないのに

移動なんてできるのか

でもお母さんに手を合わせたい



私は帰るという選択をし

その時ばかりはしっかり安定剤を飲んで

飛行機に乗った



フライト時間は1時間半

安定剤なんて全く効かない

飛行機のドアが閉まったと同時に

これまでに味わった事のない恐怖を抱いた

閉鎖された空間から1秒でも抜け出したい気持ちでいっぱいになり動悸が発作のようになり段々とパニックになる

離陸から着陸まで1度も目を開けられないくらい

とにかく早く着いて。早く着いて。

怖い怖い怖い自分がどうにかなりそうだ

今にも荒い声が出そうな深呼吸をしながらひたすら恐怖の1時間半を過ごした



お父さんが迎えに来ていた

お父さんとの話は旦那に任せて

私は無言のまま久しぶりに実家に帰った


やっぱりお母さんはいない……


いつもの家の匂いはなく

お線香の匂いでいっぱいになってしまった家

私はしばらくお母さんの仏壇の前から離れられなかった



しっかりと自分の気持ちと向き合いたかった

もしかしたら仏壇の前に座って

お母さんを想ったら

お母さん哀しいよって涙が出るかもしれない

哀しみを知ったら元気になるかもしれない

亡くなったという現実を理解できるかもしれない

そう思ってたけど

気持ちは更に堕ちていくばかり



久しぶりにお母さんに向かって

出てきた言葉は



ごめんね



その言葉だけだった

お母さんを守れなかった自分を

責めていたんだなと思った



ちょうど1年前のこの日も

初七日も四十九日も

私は肩を落とす事なく

親戚の人達にも

いつも通りの明るく接する自分がいた



はるちゃん……大丈夫?

元気出すんだよ

と声をかけられても

私は本当に無理をしているわけでもなく

普通だったから

大丈夫だよ~!ありがとね!

って明るく答えてた



一周忌

1年が経って

大丈夫?って言葉はもちろんない

本来ならどん底から少しずつ這い上がって11歩前を向いて歩いていたはずの1年間

もう、周りから心配される事もない

明るくお母さんの話をしてる大人達

久しぶりに会った従姉妹同士ではしゃぎ回る子ども達



周りは確実に1年間の月日が経っている



私だけが暗い暗いトンネルの入口さえもまだ見えてない……

これから暗くて長いトンネルに入る事になろうとは思いもせず

あの日から一歩も進んでいない事を思い知らされた一周忌だった